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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第12章 新生ゴンドアの発展
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第123話 空港レストラン準備

ラオカ空港の建設が進んでいる。滑走路を東西方向に設け、北側にターミナビルを設けた。南側には、空港の保安施設という名のゴーレム詰め所が設けられ、東の端の建物は、何故か崖に接するように出来ていた。


(これでマスターダンジョンの警備は完璧だ!)

施設を確認しているシャールカから笑みが漏れていた。


一方、ネオとメリアは、空港に設置されるレストランのメニューを検討していた。


『オークサンド・・・』

『オークハンバーグ・・・』

『オーク丼・・・』


『オークばかりだにゃ』

メニューの材料が限られることもあり、どうしてもメインがオークになってしまう。インゴニアから米を取り寄せることに成功したので、どんぶり物を提供することを考えたのだが、レストランに安定的に供給できる食材は、この世界では少なかった。


『コーンスープ』

『ジャガイモコロッケ』

メリアが追加でメニューを書いていく。

そう、今、この世界にあるメニュー以外のものを考えていたのである。


『アジの干物はどうかにゃ』

『ラオカでは珍しいですが、この世界には普通にありますから・・・』

ネオとしては、アジの干物をメニューにしたかったのだが、メリアからダメ出しされていたのである。


『川に魚がいませんかねえ・・・』

ネオとメリアは空港のすぐ南を流れる川を見に来たのである。食堂システムの動力として水力を使っているため、川の流れを一部変え、川幅も調整されていた。年間を通じて安定した水量を得るため、滑走路の下にダムが設けられているのは公然の秘密である。


空港のすぐ下流には、川の流れを安定させるために遊水地が設けられており、ちょっとした池・・・小さな湖のような状態になっていた。メリアが出来上がった遊水地を覗き込むと、小さな魚が群れを作って泳いでいる。だが、指くらいの大きさの魚では、食堂のメニューにはなりそうになかった。


『水の中には魔物はいないにゃ』

ネオは水の中に魔物の反応がないことを確かめると


『ここで、魚の養殖をしたらいいのにゃ』

そう言って周辺にいる魚を探すが、小さな魚以外は見つけることが出来なかった。


・・・


『ラオカ空港の開港式典に波高を呼んでほしいのにゃ』

ネオは、出来上がった施設を確認して回り、今回の目玉の1つである空港レストランに来たのである。ネオはシャールカを見つけると叫んだのである。


『それは、“シンジンノカミサマ”に頼んでくれ』

とシャールカが言ったその時、ネオとシャールカのちょうど中間くらいに人(?)が現れた。


『呼んだか?』

新人の神様も新しい空港がマスターダンジョンの警備を兼ねることを理解して、気になってやってきたのである。


『波高をよんでほしいのにゃ』

空港自体はほぼ完成していたが、まだ、BE36が完成していないため、正式開港は1ヶ月先になっていたのである。設備としては出来上がっていたので、波高に来てもらうことは出来るとネオは考えたのだった。


『呼ぶのはよいが・・・事前に依頼しておこうという考えには無理があるように思うが・・・』

新人の神様はネオの企みを、ネオの心を読むことで察知したのである。


『わかっているにゃら、来る前に頼んでおいてにゃ』

ネオはそう言ったのち、川の方に移動していった。


(いくら何でも、養殖用の川魚を持ってこいとは無理があると思うが・・・)

新人の神様はため息をついた。


・・・


『ニジマスですか・・・』

波高は、釣り堀に来ていた。川の中州に作られた池にはニジマスが養殖されており、釣り堀として営業していたのである。九州でもニジマスの養殖をしたいという知人に頼まれ、ニジマスの養殖場・・・釣り堀を見に来たのである。そして、どういう訳か、そのお礼にと、水槽に入った生きたニジマスを10匹ほど渡され、JA4169の貨物スペースに置かれてしまったのである。


『熊本まで無事に運べるかの実験ということで・・・着いたら食べちゃっていいから』

頼んだ知人はそう言って車でどこかに行ってしまった。なんでも、いろいろノウハウを教えてもらうのだとか・・・。


(仕方がない・・・熊本まで飛びますか)

波高は熊本に向けてフライトの準備を始めたのだった。


・・・


九州に入り、ようやく阿蘇の上空まで来た時、JA4169は突然、雲に覆われた。

(えっ?!)

予想外の出来事に驚きながらも計器を確認して姿勢を維持していると、2秒ほどで視界が晴れた。


『ええっ』

周囲の景色が見たこともないものだったのである。


『ようこそ、ゴンドア大陸へ。真下に新空港がありますので、着陸してください』

118.7MHzの周波数にシャールカの声が流れた。


波高が旋回スティーブターンをしながら地上を見ると、東西方向に滑走路のある空港が見えた。

(また異世界だよ・・・)

波高は多少うんざりしたものの、


『了解。着陸します。方角の指定はありますか?』

波高の問いに

『他に飛行機はいないので、好きな方からどうぞ』

シャールカは楽しそうに言った。


波高は、僅かに感じた西の風から、R/W27での進入を行い、着陸した。出来たばかりのように見える駐機場には3人の人がいる。


(たぶん、あそこに行けばよいのだろう・・・)

波高はJA4169をタクシーさせていった。


・・・


『お久しぶりですにゃ』

『久しぶり』

『ご無沙汰してます』

機体から出てきた波高をネオ、シャールカ、メリアが出迎えた。


『今回はどんな御用?』

知った顔を見た波高は思わず言ってしまった。


『実はにゃ。池に魚を養殖したいのにゃ』

いきなりネオは本題を切り出した。


『もしかして、滑走路の南側にあった池?』

『そうにゃ』

着陸時に池が見えたので、何気なく波高は言ったのだが、ネオからの答えに

(こりゃ・・・確信犯だな)

諦めたように貨物室を開けるのだった。


・・・


『これは魚ではないかにゃ?』

『ニジマスという川魚だよ。比較的育てやすくて、雑食だから大抵の川で育つよ』

ネオの予想通りの反応に、養殖場で聞いた受け売りの言葉を返す波高だったが・・・。


『波高・・・この魚が欲しいにゃ』

ネオから予想通りの反応があるのを確認して、

『いいよ。でも早く放流してやらないと死んじゃうよ』

波高の言葉にネオは


解ったにゃ。直ぐに放流するのにゃ

ネオは、そう言うと、重いはずの水槽を持ちあげ、滑走路を横切って池に走って行ってしまった。その姿を呆然と見送る、波高、シャールカ、メリア。


『済まないねえ・・・助かるよ』

シャールカは呟くように言った。


『この1年のジャガイモとトウモロコシの話もしたいから、ちょっとターミナルに来てほしい』

シャールカのお誘いに


『食堂でもあるの?』

波高が何気なく聞くと


『ああ。作ったんだよ。見てくれ』

シャールカは楽しそうに言った。


・・・


『ほほう・・・オークのサンドイッチか・・・美味いね』

波高は、まだ開業前ではあるが、自動システムで作られたオークのサンドイッチを食べていた。

(これは美味しい・・・)


『実は、この店のメニューを考えていて、ネオさんが魚を出したいと言い始めて・・・』

メリアが愚痴をこぼすように波高に言い始めた。


『ニジマスは、はらわたをとってから塩焼きにすると美味しいよ』

思わず答えてしまったのであった。

(絶対わざとだろ)

波高は心の中で叫んでいた。


・・・


(かなり強引だったかな・・)

食堂の様子を遠くから様子を見ているひとりの男・・・新人の神様の姿があった。

今回、新人の神様は地球の神を拝み倒し、波高にニジマスを運ばせたのであった。

(数を増やすだけなら何とかなるからな・・・)

無理やり、大量繁殖させようと企む新人の神様であった。

空港レストランのためにニジマスをもって来させたネオ・・・。実は、自動調理システムで把握しているメニューには、ニジマスのムニエルなどもあることはまだ解っていません。

一旦、ここまで。

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