第101話 ワイバーンからの要請
シャールカが、アミアでネオとメリアに会っていたころ、1頭のワーバーンがアミアを目指していた。
(まったく竜使いいがあらい・・・)
・・・
『にゃんか騒がしくにゃいか?』
ネオはようやくシャールカの腕力から解放され、テーブルにある菓子を食べながら、茶を飲んでいたが・・・
窓を見ていたメリアの様子がおかしいことに気が付いた。
『メリア。どうかしたのかにゃ?』
不思議そうメリアを見ると、メリアは窓を指さし
『あれ・・・』
ネオがメリアの指が示す先を確認すると
『なんでお前来るのにゃ!』
窓から中を覗き込んでいるワイバーンを発見したのだった。慌てて窓を開けると
『早く乗れ、ローラシア山脈の中で何か起きてる』
ワイバーンはそういって、有無を言わさず、風魔法でネオとメリアを背中に乗せてしまった。
『待て!私も連れて行ってくれ』
シャールカが叫んだ。次の瞬間、シャールカの体が浮いたかとおもうと、シャールカもワイバーンの背中に乗っていた。
『では行くぞ』
そう言って早々に飛び立つワイバーン・・・地上では、慌てふためく人々の姿が見えた。
・・・
『ここだ!』
ローラシア山脈の中ほど、新生ゴンドア王国(旧バルディカ帝国)側の麓から少し山を登ったあたり、何故か、そこには“H”という文字が円で囲まれている平らな部分があった。
『こんなとことに何故?』
シャールカが叫ぶ。そう、これはまぎれもなく、ヘリコプターの発着場だったのである。
『管制所にあったのと同じ紋様ですね』
メリアが冷静に呟く。
『何かの施設があるのかにゃ?』
ネオはその脇にある崖の不自然さに気が付いていた。
『ネオは気が付いているな。異常はあの先・・・山脈の中からだ』
ワイバーンはそういいながら、ヘリポートに着陸する。
『ホーリーアロー』
『ホーリーアロー』
『ホーリーアロー』
『ホーリーアロー』
『ホーリーアロー』
ネオが続けざまに放った結果、岩のように見えた何かが爆散した。
『ネオ・・・もう少し方法を・・・』
シャールカが文句を言っている途中で、爆散したところの視界がクリアになる
シャールカはもちろん、メリアとネオ、そしてここに連れてきたワイバーンまで、その光景に驚いている。なんと、明かりのついた通路がまっすぐ奥に向かって続いていたのである。
『ダンジョン?』
その完全に真四角に切り取られた空間は、ダンジョンのようにも見えるが、明らかに違うものがあったのである。
『ゴーレムの待機パッド!』
シャールカが叫んだ。
両脇には飛行訓練センターやパラストア空港で倒したゴーレムがちょうど収まるような形をしたポットが並んでいたのである。
『これは、汎用ゴーレムを保管しておくためのものだ。どうしてこんなものが・・・』
シャールカが驚いている。
『特別なものなのですか?』
メリアがシャールカに問いかけた
『そうだ。この待機パッドは王家にのみ使用が許可されたタイプだからだ』
シャールカは叫ぶように答えた。
『ということは・・・』
『バルディカの隠れ施設!』
3人の声が揃った。
・・・
通路はかなり広かったので、ワイバーンも含め皆で中を移動していく。
『これだけのゴーレムがどこにいったのかが気になる』
『特別なものなのですか?』
メリアがシャールカに問いかける。ゴーレムは、街道に置かれていたりしたので、1000年前は珍しくないのではないかと思ったからである。
『そうだ。この待機パッドに納められたタイプは、人に義体できるタイプだ』
『ギタイ?』
シャールカの言葉に首を傾げるメリアとネオ。
『ここにあったはずのゴーレムは、見た目人と区別できないほど似せている』
『ええっ?』
シャールカの言葉に驚くメリアとネオ。
『そんなおもちゃを作っていたのか・・・』
ワイバーンは呆れ気味である。
『こいつらは、ネオ並みの身体能力があるぞ』
((えええええ~!))
これには、ワイバーンも含め、メリアとネオを予想外としか言いようがなかった。
(どうしてパラストアの地下にあったはずのものがここに・・・)
シャールカが待機パッドを横目で見ながら首を傾げる。
・・・
かなり歩いた先には広い空間が広がっていた。
『何かを保管していたようだにゃ』
棚が多数用意され、何かを厳重に保管するために固定金具がある。
『これって・・・』
『見たような固定金具だな・・』
『にゃんか嫌な予感が・・・』
メリア、シャールカ、ネオが残された金具を見て気が付いた。
『これって、飛行機についていた瘴気発生装置を固定する金具ではないか!』
ワイバーンが皆の認めたくなかった言葉を発したのである。
『ここに全てあったとすると・・・100個以上あるにゃ』
独り言のように言うネオ。メリアとシャールカも頷いている。
広い空間の真ん中には、何故かベッドがあり、その脇には騎士のものと思われる鎧があった。
『この鎧、変だにゃ』
ネオは鎧を指さす。
『確かに、突然、装着していた人間が消滅したような重なり方だな』
シャールカもその異常さに気が付いた。
『ベッドにはだれもいません』
メリアが呟いた。
『ん・・・酒の匂いがする。ほう・・・どうやら最近、ここで酒を飲んでいたな』
ワイバーンがテーブルを指さした。そこには、2つのコップに独特のにおいがする酒・・・アミアのダンジョンにあった悪酒の匂いであった。
『これだけの瘴気発生装置を使われたら、大陸が魔物で埋め尽くされるぞ!』
シャールカの顔は引き攣っていた。
大量にあったらしい瘴気発生装置。どこにいってしまったのでしょう・・・。
答えは
狸戦記(仮)
https://ncode.syosetu.com/n8620ht/
です。(9月中には瘴気発生装置が登場しますので・・・)