第100話 ローラシア山脈の中
2話だけ追加で書きます。
短いです。
『まったく我の子孫はあまりに不甲斐ない・・・』
ローラシア山脈の中ごろにある山脈内部・・・そこには、2人の男が酒を飲みながら話をしていた。
『バルディカ・ド・ゴンドア・・・君がこんな所を用意していたとは思わなかったよ』
そう言いながら、残り少なくなった酒をコップに注いでいる。
『シャールカがパラストアを脱出したと聞いたからな。シャールカが復活したら、我も復活するはずだったのだ・・・』
そういうとバルディカは下を向いた。
『ああ・・・どうしてここの話を子孫に伝え忘れてしまったのだろう・・・』
『まあ、今更仕方ないのでは、まさか、こんな場所があるとは思ってもいませんでしたから・・・』
バルディカに話かけた男は笑い始めた。新人の神様が召喚したネオによって、瘴気発生装置は全て破壊され、復活したシャールカによってこの大陸に新たな秩序が生まれつつあった。混乱による2回の文明崩壊を目論んだ彼の野望は失敗したかに見えた・・・。そんな彼が、新人の神様に見つからないように、この世界を探索したとき、見つけたのがここ・・。なんと、バルディカ帝国の始祖であるバルディカ・ド・ゴンドアが仮死状態で眠っていたのである。方法はシャールカと同じだったらしい・・。護衛していた男を殺害した結果、バルディカが復活したのである。彼は、復活したバルディカに今、この世界で起きていることを伝えた結果が現在である。
なんと、そこには、沢山の瘴気発生装置が置いてあった。
『しかし・・・なんでこんなもん、たくさん保管していたのだ』
『シャールカが復活したときに、この装置を使って、シャールカを魔物に殺させるためである』
バルディカは、当然と言わんばかりに答えた。
『あいつは生意気だったからな。ただ殺すのではなく、魔物に溢れた大陸を見て絶望を味わって死んでもらう必要があるのだ』
『お~怖!』
バルディカの言葉に肩をすくめる男・・・。
(俺でもこいつが危険なのは判る・・・瘴気発生装置以外は用なしだな)
『バルディカ・・・君はこれからどうしたい?』
男の言葉にバルディカは黙り込む・・・。
『手元にあるこの装置を使って、世界を征服したい!』
バルディカはそう言うと右手に拳を作って持ち上げたが、
『無理だろうな・・・』
自分の作ったバルディカ帝国は崩壊、シャールカが全土を掌握しつつある(とバルディカは理解した)のでは、どうにもなりそうになかった。瘴気を発生させても、今の自分では、魔物から自分を守る方法がないからである。
(こいつは使えるかも・・・)
この世界の人は、瘴気にあたってもすぐに死ぬようなことは無い。魔物の肉も平気で食べることが出来る・・・。
『お前が望むのなら、他の世界で実現させてやろう・・・』
男は、飲んでいた酒を置き、バルディカを睨んだ。
『本当なのか・・・』
バルディカの意識はそこで途切れてしまった。
次回は9/3 7時の予定です。