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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第9章 間章
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第98話 オークとオケライ

 ニコレッツの街を迂回するように通過していくネオとメリア。

『どうして街に入らないのですか?』

メリアの問いに

『2人だけで国境に向かうと言ったら、街から素直に出してくれるかにゃ?』

ネオは淡々と答える。


『A級冒険者だといえば問題ないのでは・・・』

メリアがそこまで言ったところで気が付いた。

そんなことをすれば、オーク討伐を懇願されるのは明らかだからだ。アミアに早く行くべき2人には受けるわけにはいかなかった。


メリアが理解したことを確認したネオは、ニコレッツの街壁に沿って、街の外を移動していく。

門から少し離れたところで街道に戻り、国境を目指していく。門番の一人がネオに気が付いたらしく何か言っているが、レベル20である2人は、門番の叫びを無視してアントラニア王国との国境に向けて走っていった。


・・・


『どうしてこうなるのにゃ』

国境にある石碑の脇でネオはぼやいていた。


丁度国境のところで、ニコレッツからオケライに向かっていた商人たちの馬車と遭遇した。それだけなら良かったのだが、どういう訳か、大量のオークが馬車を囲むようにしており、護衛の騎士たちが、馬車を襲わせまいと剣を抜いてオークを威嚇していたのである。放っておけば、騎士や馬車に大きな被害が出るのは確実だった。そんな状況だったので、ネオとメリアはオークの背後からトカゲ剣でオークを襲うことになったのである。結果として、50匹を超えるオークの死体が散乱する結果となり、ネオが、アイテムボックスにその全てを収納したところであった。

 普通であれば、商人と騎士から感謝されて終わりのはずだったが、ここで言われたのが、


『女性騎士がオークにさらわれていった』


という話であった。オークという種の性格上、急いで救出する必要があったため、ネオとメリアは、街道を離れ、オークが女性騎士を攫っていった森に突入したのである。ネオが魔物レーダーの反応を頼りに移動した結果、森に入って程なくオークの集落を発見したのだった。面倒になったネオが放った“エリアパラライズ”によって、集落のオーク、及びさらわれた女性たちは皆気絶させられたのだった。


『許せません。皆殺しです!』


メリアが問答無用でオークに止めを刺していく。結局、100匹くらい(途中から数えるのが面倒になった)のオークを倒し、全てアイテムボックスに収納したのち、街道に残っていた騎士たちにも来てもらって、女性たちを救出したところであった。女性騎士はまだ被害に遭っていなかったが・・・。


 疲れ果てて、国境の石碑にもたれ掛かっているネオに

『何とお礼をいってよいのやら・・・』

騎士の隊長と思わる人物がネオに頭を下げている。


『後は頼むにゃ』

ネオはそういうと、少し休憩してからメリアと主にオケライを目指して歩き始めた。何故か、騎士に守られた商人の馬車を引き連れて・・・。


・・・


オケライに到着したのは夕方になっていた。伝令がいたらしく、オケライの近くまで来たところで出迎えがあった。


『やっぱりか・・・』

街門の前で待っている人のなかで、ネオとメリアに見覚えのある人物・・・。オルトラ(ギルマス)が呟いた。


『やっぱりとは何にゃ!』

ネオが叫んだ。


『悪りい悪りい。こんなことが出来るのはネオ達しかいないと思ってたんだ』

オルトラはバツが悪いと思ったのか、右手で頭を掻きながら言った。


・・・


問答無用で、冒険者ギルドに連れていかれるネオとメリア。商人や騎士、そして被害にあった女性たちは街の衛兵たちで対応してくれるらしい。


『結局、オークの集落をつぶしてくれたんだろ』

オルトラの執務室にあるソファーに座るネオとメリアにオルトラが言った。


『そうにゃ』

『間違いないです』

ネオとメリアが投げやりに答える。


『街道に出てきていた分を合わせると約100匹か・・・普通、2人で倒せる数ではないと思うが・・・』

『成り行きで仕方なくやっただけにゃ』

『依頼も受けてないですし』

オルトラの言葉を遮るようにネオが答え、メリアが追加で答えた。


『倒したオークは・・・』

『シャールカへの土産だにゃ』

再びオルトラの言葉を遮るようにして答えたネオにオルトラも困っていた。とはいえ、懸案だったオークは集落ごと壊滅してくれているので結果オーライではある。


『今日は、冒険者ギルドのおごりで宿を手配させてもらう。ゆっくり休んでくれ』

オケライの言葉に手を振って答えるネオ。精神的な疲労と勝手に解釈していたが、体力的には問題なかったので、実際のところ、精神的に堪えたということらしい。


しばらくして、

『ありがとうにゃ。今日は疲れたからもう寝るにゃ。報告は任せたにゃ』

そう言うと、メリアと共に冒険者ギルドを出ていこうとする。


『ちょっと待て!! 宿まで案内を付けるから』

オルトラは慌てて職員に宿まで案内するように指示したのだった。


・・・


オケライは街の最高級宿のスイートを確保してくれたのだが、部屋に入るなり、ネオもメリアもそれぞれのベッドに直行し、朝まで起きてこなかった。にもかかわらず、翌朝、オケライが宿に2人を訪ねると、2人は既に宿を出ていた。

(逃げられた・・・)

オルトラは、昨日襲われた商人や騎士から事象を聞き出し、急ぎ報告書を作成していた。

(急がないと、ネオ達が先にアミアに着いてしまう)

作成した書類を鳩に括り付け、アミアのエルバート(ギルマス)に向けて飛ぼしたのだった。

次回は5/20の予定です

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