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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第9章 間章
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第97話 サンドイッチ

間話的なお話です。

 結局、シャノンに捕まってから色々話しているうちに日が暮れてしまい、この日はシャノンの家に泊めてもらうことにした。そこで、以前、買ってアイテムボックスに収納されていた魚を取り出して、魚料理を作ることにした。


『これなんていう魚?』

シャノンがまな板に載っている魚を指さして、ネオの方を見ている。


『これは、カツオという魚にゃ』

正確には、ネオが熊本にいたとき、カツオという名で呼ばれていた魚によく似た魚なのだが・・・。鍋に水を入れて湯を沸かし、丁度いい大きさの目の粗い籠があったので、その中に切り身にしたカツオを入れて鍋の上に置く。籠の上から蓋をすると、丁度、蒸気が籠の中に入っていく塩梅になった。

(いい感じにゃ・・・)

ダレンの街に買い物に行ったとき、たまたま似たような方法で魚を料理しているのを見かけたのを思い出し、真似てみたのだった。


『こんな真四角のパンは初めて見ました』

シャノンの母親にパンを焼いてもらったが、同度、真四角の鉄の箱のようなものがあったので、これにパン生地を入れて焼いてもらったところ、四角いパンが焼き上がったのだった。

正確には、蓋がなかったため、上には膨らんだのでイギリスパンのような感じだったが・・・。

取り出したパンの膨らんだ部分を切り落としたのち、薄くスライスしていく。メリアに頼んだところ、見事に等間隔にナイフが入り、薄い食パンが出来上がった。

(レベル20だけのことはあるにゃ)


『あの・・・これで何を作るでしょうか?』

厚い紙のような状態になったパンを見ながらシャノンの母親が不思議そうにネオに聞いた。


『ちょっと見ててにゃ』

ネオはパンにバターを少し塗り、先ほど蒸し焼きにしたカツオの実をほぐしてからパラパラと載せていく・・・いやまんべんなく振りかけていくような感じで厚さ数センチのカツオの身の層を作る。この上にパンを被せるように載せてから耳の部分を切り落とす。

 さらに、アイテムボックスに収納していたチーズを取り出し、薄くスライスしてかパンの上に乗せ、先ほどと同じように被せるようにパンを載せたのち、耳を切り落とす。

この作業を繰り返し、結構な高さに積み上がったものに上から板を被せ、重石と言いながら魔石を置いた。


『あの・・・これは何という料理なのでしょうか?』

パンに魚の身やチーズを挟んだ姿はわかるものの、ネオ以外、誰も見たことがなかったのである。


『これはサンドイッチというものにゃ』

(ありゃ・・・この世界にはにゃいのか?)


熊本にいたとき、波高たちがよく似たものをサンドイッチ呼んでいたので、ネオは知っていた。もちろん、作ったのは初めてだったが・・・。蒸し焼きの魚の身と合うとネオは確信していたのだが、四角いパンを作ることが出来なかったので、今まで試したことがなかっただけであったのだ。重石をしたのは、挟んだ感触から、このまま一口サイズに切ると、魚の身がこぼれ落ちそうに見えたから、何となくやってみただけだったりする・・・。


・・・


『あら、美味しい・・・』

『美味しい』

『そのまま掴んで食べれるんだね』

30分後、重石の魔石をとったのち、一口サイズに切ったネオが皆に試食するように言った結果である。

シャノンの母親、メリア、シャノンが呟いた。シャノンは、味よりもその形状に興味があったらしい。


ネオも魚の身を挟んだパン・・・サンドイッチを食べる。

(上手くいったにゃ。これは、なかなか美味いにゃ)

思わずネオの顔がにやける。ネオが回りを見渡すと、先に食べた3人は、次々にサンドイッチを食べていた。


『ネオさん。このパンこの店で売ってもいい?』

シャノンの母親が真剣な顔でネオに言った。


『いいのにゃ。これはサンドイッチという食べものにゃ』

どこまでネオがサンドイッチを正確に理解していたかは疑問であるが、結果としてよく似たものは出来た。

『色々、挟むものを工夫するといいのにゃ』

ネオは上機嫌に言った。


『1つ問題があります』

メリアは冷静だった。


『何にゃ?』

『四角のパンを焼くことは問題ないですが、普通は、薄くスライス出来ないです』

ネオの疑問にメリアは答えた。今回はレベル20のメリアがパンをスライスしたので問題なかったが、普通は四角いパンを薄くスライスするのは無理である。


『うっ!』

盲点を突かれてシャノンの母親は黙ってしまった。ネオも、メリアの指摘を聞いて、驚きながらも納得している。


『何か方法はないの?』

シャノンが言ったとき、シャノンの背中から声が聞こえた。


『パンを固定して刃を当てる道具を作ればいい』

4人が振り向くと、街の衛兵がそこにいた。


『お父さん!!』

シャノンが衛兵に飛びついた。


・・・


『パンが四角なら3面から板を当てて固定してやって、板から決まった幅ずらした刃でパンを切ってやれば出来るだろう』

何のことはない、パン屋さんで見かけるスライサーの手動版である。


『明日非番だから俺が作ってやる』

シャノンの父親が妙に張り切っている。


(やる気があるみたいだからいいのにゃ)


・・・


結局、朝食も、試作したサンドイッチを色々食べることになった。

(後は工夫してくれればいいのにゃ)

ネオとメリアは沢山渡されたサンドイッチの試作品を受け取り、シャノン一家と別れてアントラニア王国との国境を目指していた。

次回は5/19の予定です


この世界には食パンは無かったという前提になってます。

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