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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第8章 バルディカ帝国編
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第89.5話 ジョン・ド・ゴンドア(その1)

短いです

(時は来た!!)

サマランドの王宮の最奥にいる小柄な男、160㎝程度しかない身長に、全く鍛えた形跡の欠片もない体・・・。服を着ていなければただの軟弱者でしかない男。この男こそ、バルディカ帝国皇帝、ジョン・ド・ゴンドアであった。


サマランドの王宮は何故か、皇帝の執務室が1Fにあった。そして、その最奥は皇帝のみが入れる特別な部屋になっていた。侍女はもちろん、皇帝の家族でさえ入ることが許されない部屋であった。その部屋にある1冊の本・・・。始祖と言われるバルディカ・ド・ゴンドアが書いた子孫への命令書であった。歴代の皇帝はこの書の秘匿し、その指示を守っていた。


(ついに瘴気発生装置を回収したのだ。バルディカ帝国がこの大陸を統一するときが来たのだ)

ジョンは、始祖が書いたと伝わるその本を胸に抱きながら、大陸全土を支配する己を想像し、悦に浸っていた。回収した瘴気発生装置は西北にある遺跡に持ち込み、稼働するように指示済みである。予定では、遺跡に秘められていた訓練用の魔物が出てきて、兵士たちを鍛えることになっていた。どれくらい時間が経ったであろう・・・ジョンは胸に抱えていた本をこの部屋に唯一あるテーブルに置くと、執務室に戻った。


・・・


執務室に戻ると、ローブを着た老人が、ジョンを待っていた。


『陛下。ご指示通り、オスニア国とアントラニア王国に工作員を派遣いたしましたぞ』

ローブを着た老人はそういうと、恭しくジョンに向かって頭を下げた。


『ガスティーユよ。遺跡の方はどうなっている』

ジョンはローブを着た老人に向かっていった。


『はい。ロディア国から回収した装置は、既に運び込んでおります。今日にも稼働させることになっています』

ローブを着た老人が答えた。そう、この老人・・・ガスティーユ・ド・ゴンドアは、ジョンの叔父にあたる。先王の弟であり、ジョンが最も頼りにするバルディカ帝国の宰相であった。


『うむ』

ジョンはガスティーユの報告に満足していた。

(しかし、本当にこの装置で兵士を訓練できるのだろうか・・・)

ジョンが先ほどまで胸に抱えていた本によると、ロディア国に墜落した飛行機から瘴気発生装置を回収し、サマランドの北西にある遺跡の中で稼働させれば、訓練用の魔物を再現できる。これを使って兵士を訓練すれば、他国を圧倒する兵士にすることが出来るとあった。そして、1000年の時を経て、ロディア国の農村として活動させていた帝国兵士たちが、墜落時に張られた結界を突破して装置を回収したのである。


(始祖の指示どおり、村のものを使って、アントラニア王国を脅しに向かわせた・・・。瘴気発生装置の恐怖を植え付け、その後、1000年前のように、瘴気発生装置を稼働させれば、人々はパニックになるだろう・・・。幸い、ローラシア山脈があるので、ロディア国との国境だけ、防備をしておけばよい。他の4国を崩壊させた後に、魔物を討伐できる兵士たちを持って、大陸を占領する・・・。始祖はすごい方だ)

回収後の処置について書かれていた部分を思い出しながら、ジョンは物思いにふけっていた。


『大変です!!』

兵士が一人、駆け込んで来た、よほど慌てていたのだろう、肩で息をしている。


『一体なにがあった』

ガスティーユが兵士に問いただす。


『はい。北西の遺跡で大きな爆発が発生しました。原因は不明です』

『なに!』

ガスティーユは咄嗟に答えた。北西の遺跡での装置稼働は極秘事項なので、ほとんどの兵士、国民には知らせていない。知っているのは、近衛兵の一部のみである。


『近衛隊長に調査に行かせろ!他のものは、遺跡に近寄らないようにさせるのだ』

ガスティーユが大声で兵士に指示を出す。


『わっ・・わかりました。至急伝えます』

兵士は、慌てて部屋を出ていった。


(陛下の指示どおりやっていたが、大丈夫なのだろうか・・・)

ガスティーユは、始祖の指示を信じ込んで自分の世界に行ってしまっている甥を見ながら思っていた。

次回は3/25 9時の予定です。

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