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5.なろうエッセイ・批判系エッセイ(過去作は検索除外しているのでこちらから)

なろうの底は、ランキング1位よりも「響く」作品であふれてる。

2021/03/27 誤字修正。

2021/04/11 感想欄をログインユーザーに限定しました。

 まあ、最初に結論を書いてしまうとですね。ランキングとは無縁、ポイントも2桁止まりな私のような作者の作品でも、上手くマッチングすれば、読者の心に深々と刺さったりすることもありますよと、そんな話です。


――そして、深々と刺されてしまった読者にとって、その作品はランキング1位よりも価値のある作品になったりしますよと、まあ、そんな話ですね。


 嘘だと思いますか? なら一つ、ちょっとした思考実験をしてみましょうか。


 まず最初に、ランキング作品でもマイナー作品でも何でも良いので、この「小説家になろう」で出会った中で一番面白い作品を一つ、思い浮かべてください。……で、そのままランキングページに飛んで、適当に1位の作品を読んで比較してみたらどうなるか想像してみる、ただそれだけです。


 どうでしょう? ランキング1位の作品は、今までの「一番」を覆すほど面白いと、断言できますか?


……多分、違いますよね。ランキング1位の作品がどれだけ面白かったとしても、「一番」にはいたらないだろう、そう思ったのではないでしょうか。


 まあ、それも当たり前の話です。「鬼滅の刃」とか「天気の子」のような有名な作品だって、その人にとって面白いかどうかは、視聴するまでわかりません。


 そして、そんな有名な作品だって、その人にとっての「一番」を覆えせるかどうかはわからないのです。たとえ面白いと感じても、「一番」を覆すにはいたらない、そんなことも多いはずです。


 評判になる作品と一番になる作品は違います。当然、その2つが重なることもあります。ですが、そうならないことも、珍しいことでは無いのです。


  ◇


 最近、私はあまり「小説家になろう」で作品を探せていないのですが。昔は私も、ランキング以外で面白い作品を探そうと、ユーザー検索から自分とユーザIDが近い人のページに飛んでその人の作品を読んでみるとか、そういうことをしたことがあります。

 こういう探し方をすると、ランキングとは無縁の作品に出会う機会も多くなりますよね。


……まあ、さすがにその探しかたはちょっと特殊かも知れませんが。ただ、好みが合う人を見つけて、その人のブックマークやお気に入りをたどるのは、結構王道的な探し方かなと思います。


 そうして見つけた作品の中には、書籍化されたら即決で買うであろう作品もいくつかあります。……まあ、ランキング外の作品ですし、そう簡単には書籍化されないとは思いますが。


――何ていうか、そういう作品って、ランキング作品よりも「響く」ことが多いのです。


 頑張って探して見つけ出した、自分に合いそうだと感じる作者の作品からは、ランキング上位や有名作品のような「評判で選んだ作品」よりも、濃い「作者色」を感じます。その「作者色」が、響いたり刺さったりするのかなと、そう思うのです。


  ◇


 私の作品、本当のところはどうなんでしょうね。正直、代表作であろう長編2編は、色々と自分の好きなように書きなぐっている感はあります。特に処女作の方は未熟さも目立ちますし、一度大幅に改稿したいと思っているのですけどね。なかなかね、難しいのです。


 自分の思う物語を形にすることを最優先にして書き上げた作品です。色々と、読者から見れば不親切な、自分優先な物語に見えてもおかしくないと思います。当然その分、読者を逃がしてしまっているとも思います。


 短編もちょくちょく書いてますが、短編はねぇ。長編と比べると、細かいところにも気を配って書けているとは思いますが、そもそも短編で響かせるのは難しいのかな、という気がします。短いとね、没入感というか、物語に深く入り込むのが難しいというか。


……と、まあ、至らない点ばかりが目立ってしまうのですが。


 それでもね、そんな私の作品でも、響く人がいるはずなんですよ。刺さる人には刺さるはずだと。それだけの「何か」を込めて全力で書き上げたと自負しています。


 まあ、文章力とか完成度とかの問題で、そもそも自分から刺さりに来る人にしか刺さらない可能性も十分にあるとは思いますが。それでもね、「未熟だから誰にも響かない」なんてことはないと、そう思っています。


  ◇


 最近、久しぶりにエッセイランキングを覗いてみまして。で、ランキング作品がどうで非ランキング作品がどうとか、なろう系作品はこうで非なろう系作品はこうとか、そんな大雑把な括りで対比してるのを見てしまったのです。


……まあ、いつものことだとも思うのですけどね。


 大雑把な括りで批評するのが悪いとか、そんなことを言うつもりはありません。ただ、それでも思うのですよ。――そんな括りで比較をして優劣を論じるのに、どれだけの意味があるのか、と。


 だって、あの超かたよった、多様性皆無だと話題のランキング作品ですら、良作が埋もれてしまっているから探さなくてはいけないという意見もあるのです。

 ランキング外のいわば「平凡ななろう作品」は、もっと混沌とした、色々とごっちゃになった世界に転がっているのは間違いないと思います。


 ランキングだろうがランキング外だろうが、その人にとっての良作は、そうでない作品の中に埋もれてしまっているというのは一緒だと、そう思うのです。


  ◇


 好きなように書くなんて言いますが。その「好きなように書く」の中には、「自分の好む文章、文体を追求する」というのも入っています。決して、「完成度なんてどうでもいい、適当に文章を書きなぐる」なんて意味ではないのです。


 ランキングに載りやすい文体というのは確かにあります。その文体で書けば、小説を読みなれていない人にもわかりやすく、またより多くの人に読まれる作品になるのも確かです。


――ですが、ランキングに載らないような、一見すると読みにくそうな文体で書いてる人だって、その全てが読み手のことを考えずに書いてるという訳ではありません。全力で読者を刺そうと色々と追求を繰り返した結果、その人の文体に行き着いた人も多くいるはずです。


 テンプレを書きたくない作者もいますし、テンプレを書けない作者もいます。テンプレでは刺せないと考える作者もいますし、テンプレで刺したくないと思う作者もいます。もちろん、テンプレこそが一番だと確信して書く作者もいると思います。


 読まれる作品を書くことを重視する作者もいますし、読んでもらった人を突き刺すつもりで書く作者もいます。10人いれば、10以上の考え方が出てくるのが自然です。


 どんな考えで創作をしようが、どんな作品を投稿しようが、それがルールや良識に反しない限り、善悪も、良否も、優劣も無いと思います。たとえ未熟な作品でも、その未熟さを好む読者だっているのです。


――むしろ、そういった作者や読者のさまざまな姿勢こそが、多様な作品を生み出す元になっているのだと思います。


 さまざまな姿勢の作者や読者がいて、さまざまな作品を作り探す環境だからこそ、私は「どんな人も書き続ければ、いつかきっと、誰かに響く」と、そう思うことができるのです。


  ◇


 ランキングなんかで、作品の価値が測れるとは思いません。そうですね、まあ「金銭的な価値」は測れるのかもしれません。ですが、作品の価値はそれだけではないと思います。


 頑張って創ったのに誰にも響かなかった、そんなこともあると思います。

 頑張って探したけど響く作品と出会えない、そんなこともあるでしょう。


 それでも、私の書いた作品もいつか誰かに響く。響いた人から見れば、私の作品はランキング1位の作品よりも価値がある。それは私の作品だけではない、他の作者の作品も同じで、そんな作品がこの「小説家になろう」にはごろごろと転がっている。そして、たまに読む見知らぬ誰かの作品が心に響くこともある。


 だから、今書いている作品もいつか誰かに響けば良いし、探せばいつか心に響く作品に出会うことができる。そんなのんびりとした心持ちで「小説家になろう」の楽しむのも良いんじゃないかなぁ、なんて思うのです。


 誰かの心に響く作品を書けたなら、自分の心に響く作品を見つけられたら、それはランキングで一位を取るよりも価値のあることで……


――きっとそれは、地道に続けてさえいれば誰にでもできることでもあると、私はそんな風に思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最新のエッセイの方を拝見して、その後こちらのエッセイにたどり着きました。 最近、底辺作家という言葉を知って、ズバリ私のことだなぁとへこんでたところでした。 どうしても数字ばかりに目が行って…
[一言] まさに、作者様が言っておられるようなことを考えていました。 好きなことを、好き勝手に書いた作品って、あんまり読まれないです。でも、すごく気に入ってくれる人がいたりします。 人気どころの作品っ…
[一言] 「マッチング」とは言い得て妙だと思いました。 結局のところ小説に留まらず、音楽しかり芸術しかり、創作という世界において創り手とそれを受け取る人間の好みが合致すればどんなにマイナーだったり低…
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