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「いやー、今まで苦痛でしかなかった馬車での護衛がこんな楽になるなんて思わなかった。おまえすごいな!」
バンバンと音が出そうな強さで背中をたたいて来るライさん…こんな奴ライでいっか。
あの場所を出発して早々に思ったのが馬車の揺れのひどさだ。ウェリアスが言っていた技術の発展の遅れを早速体感した気分だ。とりあえず馬車を囲い込む形で風をまとうことで風からの抵抗をなくし土属性で進む道を平らにしといたが…大分変わるもんだな。
この後この道を通った人たちが突然道が平らになったことに驚いたのは言うまでもない。
「まぁ、風と土を使えるやつがいればいつでも出来るんだがこれは応急処置みたいなもんなんだよな。ここにゴムとかないのか?」
「ん?ゴムってのは聞いたことねえな。」
「私も聞いたことないわね。」
「わしもないな。よければゴムとやらについて教えてくれんかのう。」
なんか皆興味津々だな…
「私も父から話しを聞いただけだが伸縮性や弾力性が高いもので馬車の車輪などに付けると道の凹凸での衝撃を吸収してくれる物と言っていた。他にも色々用途があってとても便利らしい。」
「ほぉ、わしは色々な国の商品を見てきたが聞いたことも見たことがないのう。そんなものがあるのであれば皆が手に入れたがるじゃろう。旅の道中が楽になるのは誰もが望んでいるしの。商人にとってはぜひ扱ってみたい商品じゃのう。」
ゴムの有用性をすぐに理解したノールは商人の顔になる。しかも私が売りに出すなら自分の所に下ろせという圧力も忘れない。しかし…
「残念だが私は作り方を知らないよ。何かを作って売ったりして生活を整えるのは私の性に合わないしな。」
元の世界なら材料も分かるし作ろうと思えば簡単にできただろう。しかしこの世界に元の世界と同じ材料があるとは限らない。ここで下手に作れると言ったり材料を口に出して言うと後々面倒なことになるかもしれない。
「そうか、それは残念じゃのう。」
心なしかノールとライの表情が暗くなった。ライは乗り物酔いがひどいことはこれに乗ったときの顔からなんとなく察していたがもしかしてノールもそうなのか?商人でそれは辛いだろう…
「まぁ作ることができたらまずノールさん所に持っていくよ。」
おじいちゃん呼びをしなかったことに一瞬落ち込んだように見えたが持っていくと約束すれば笑顔で食いついてきた。商人としての事もあるだろうけどあの顔は8割方揺れが減る事への喜びだろう。
「それにしてもレイラは森の中で過ごしていた割には物知りだよな。」
「物知りというか小さい頃は両親とよく一緒に遊んでいたからその時使っていた物に興味がでて話しをせがんだ結果偏った知識が残っただけだ。」
「そうだったのか、また悪いことを聞いちまってすまない!」
「ライ!あんたはデリカシーって言うのを知らないの!?だからあんたは馬鹿だって言われるのよ!」
「い、今のは悪かったって思ってるよ!俺だって別にわざと聞いてるわけじゃねえよ!」
「そうだぞ、ミィナ。こいつは学習能力がないだけなんだ。」
「そうだったわね。それじゃ何回言っても覚えるわけないわよね。」
「お、おまえらぁぁぁ。二人がかりで俺を馬鹿にしすぎだ!泣くぞ!?」
「ふっ…あはは、っはは、おなか痛い、なにそのコントみたいなの。」
リアルコントを見てつい笑ってしまった。こんなことほんとにする奴がいるなんて…ふふっ,面白すぎでしょ。
「「「「「わ、笑った!」」」」やっぱレイラは笑った顔めっちゃ可愛い!もう大好き!」
「笑っただけでそんな驚くなよ。なんか恥ずかしいだろ。」
「照れてる所も可愛いわ。」
笑った拍子に外れてしまったフードを深く被り直し顔を隠しながらさっきよりも強く抱きしめてくるミィナから逃れようともがくけど全然外れそうにない。力強いな…っ!
「敵が来た。さっきのが変異種と言ったな…多分そいつより強そうなのが2体、同じくらいのが5体、他のが20体ぐらいだな。このくらいなら私一人で大丈夫だから行ってくる。一応結界を張っておくが蒼風はこの商隊の守りを頼む。」
「何を言っているんだ!おまえの強さはさっき見せてもらったがさすがにその数は無理だ。しかもあの辺異種のさらに上位が2体と言うことは番の可能性が高い。そしてさっき戦ったのと今来ている変異種5体はその子供の可能性も。俺たちが自分たちの子供を倒した奴だって事に気づいて群れで敵を取りに来たんだろう。ここは魔法で遠距離で威嚇しながら得きる限りスピードを上げて振り切るのが得策だ。」
「いや、それでは不確定すぎる。大体その仮定が正しかったとしたら敵を取りに来た奴らからんな簡単に逃げ切れるとは限らない。さっき見せた力はほんの少しでしかないから安心しろ。」
「危険すぎる!行くならせめて俺らの誰か一人でも連れて行かないと認められない。」
「足手まといだ。さっきの奴らに相手に押されていたおまえらでは居ても邪魔にしかならないと言われなければ分からないのか?」




