10年前確かに10年後の君が来たんだ。
2019年12月12日。この日は悲しい連絡が来た。
この日は授業が早く終わって友達とショッピングをしていた。友達がトイレに行っている間、携帯が鳴って見ると母からメールが来ていた。『りんが死んだ』と。私たちはりんと花という犬を二匹飼っていた。そのりんが死んだという。もう、十数年生きていて担当の動物病院の先生は「もう、十分生きとって。いつ死んでもおかしくない。こんだけ頑張っているのだから。」ということをおっしゃっていた。寿命はある。いつかは死ぬ。もちろんそれはわかっていても、心のどこかでうちの子は大丈夫、きっといつまでも生きていける、なんて馬鹿なことを考えていた。
今思えば皮膚がんとか脳卒中とかなんとかいわれたり、歩くのがよたよただったり、あばら骨が見えるぐらいやせ細っていたり、した。勝手に家の中に入って廊下をトタトタトタと歩いてきたので外に出すために抱っこしたら、とんでもなく軽かった。本当にいつ死んでもおかしくなかった。本当によく生きていてくれたな、と思う。でも、まだ、生きていてほしかった。
友達がトイレから帰ってきて、泣きたくないのでうんこだったん?と笑わかせてみた。友達は必死に行列ができていたのだと反論した。笑ってはくれなかった。
つい、こないだ私の成人式があった。あれからちょうど1ヶ月だった。20歳の晴れ舞台だ。その日は雨と予報で言われていたのだが、なんとか曇りで持ちこたえた。私は着物を着せてもらい、成人式が始まる前と同窓会が終わった後、りんの小屋の前で写真を撮った。自撮りなんて本来しないはずなのだが、その日はきれいな着物を着て、お化粧もしてもらって少し変わった私でいたので気分が高揚して自撮りをしてしまった。あとで写真を確認すると窓ガラスに白い横長の何かが見えた。
私は普段幽霊を恐れているのにとてもうれしくなった。私は理系の学校に通っていながらも、これはりんだ!と思った。りんの幽霊が帰ってきてくれて、まだここにいるのだと。そう思うと走って母に見せた。母親は何とも言えないような顔をして私を見つめてきた。
あとで冷静になって考えてみればあれは着物のファーが反射して見えていたのだと思う。
だがそうわかって写真を見てみても、どうしてもあれはりんに見えてしまうのだ。
そういえば、私は昔から霊感が強かったように思う。
学校の渡り廊下でボールを持った白い少年を見たり、おじいちゃんのお葬式の時に何か人ならぬものをみてしまったり。それと一緒にこんなエピソードがある。
あれは、たぶん私が小学4年のころ。両親はともに仕事で姉と兄は中学に行っていた。そして小学生の私は誰よりも早くに家に帰ってきていた。庭にりんがいて、家の中にもう一匹花という真黒な犬がいる。
私がいつものようにりんと庭で遊んでいたら家の中からトタトタトタと音が聞こえた。私はその音が何か分かった。犬の爪が廊下に当たる音。いつも散歩に行くときに花が廊下を走る際にいつもなっていた。だから私はその時花が檻から脱走したのだと思った。
その時期ほぼ毎回飼い主がいなくなると花は檻から脱走していた。花は檻の外では至る所におしっことうんこをまき散らすので(特にお風呂場)うんざりして鍵を開けて中に入った。しかし、花の姿は見えない。花の檻のもとに行くとちゃんと檻の中に入っていた。花は檻から出ていくことは幾度もあったが檻の中に入ることは散歩の後のご飯目当てでしかなかった。脱走した際も抱っこして嫌々中に入れるか食べ物でつって中に入れるか、しないと中に入れない。そもそも廊下と檻のある部屋の間にある部屋は 外開きというのか知らないが、取っ手の届かない花は廊下に出ることはできても廊下から入ることはできないのだ。
つまりあのトタトタトタという音は花ではない。今まではネズミかと思っていたが、どこか腑に落ちないところがあった。でも、今わかった。
あれは、りん、あなただったんだよね。10年後のよたよたの君が10年前の家の中に入ってきた。ねえ、そうでしょう?
不思議ですね。悲しいのは悲しいのですが、どうにも、あ、そっかって思うものがあって。
そういうことで、ただただ私の体験したことなどをつらつらと書いています。犬の名前とかはちょっとかえていますが結構私の実体験を書いているんです。幽霊を見たってものも本当なんです。ただ、見たというのが小学校低学年の話なので信ぴょう性はないですけど。笑
そんなこんなで、見ていただいてありがとうございました。