狩猟
弓を携えて体育座りをしているセンは、さくやたちにワーウルフについての説明をした。
「ワーウルフは基本この雑木林を住みかにして群れを成していて、雑食性でたまに村の作物や家畜を荒らしに村に来る。
すばしっくて気性は荒いからな、基本は向こうに気付かれないよに飛び道具や魔法で仕留めるんだが・・・本当に俺は座っているぞ?」
さくやはセンからの説明を軽く無視しながら、エネとアルマに狩りの手順を話始めた。
「アルマはリオに乗って上空から二人で群れを見つけて報告、エネは円蓋でこの周囲を覆ってリオに驚いたワーウルフが逃げない様にして、検視でブラックベアが居たら報告。狩りは俺が一人でする。二人ともサポートを頼むぞ。『リオ?アルマを頼むぞ?狩ったら空に投げるからキャッチして食ってくれ。』」
さくやからの指示を受けて二人は了承しだがリオは自分に出された指示に対し疑問を抱き質問した。
「『アルマを背に乗せるのは構わないが・・・投げる?キャッチ?主よ、なぜわざわざそんなことを?狩った後置いておけば勝手に食らうぞ?』」
「『ペット飼ったらフリスビーキャッチとかボール遊びしてみたくてな。』」
「『竜種を犬か何かかと同じとは・・・主の感覚は分からんな。』」
リオからの質問に対してあっけらかんと返すと、質問は以上か?と言うと、さくやはセンの方を見て座っているのを確認すると
「リオの餌集めが目的で狩るから、一応尾数は数えるが当てにしないでくれ。円蓋の中に入って来たらうっかり狩るかもしれないからそこら辺で勝手にしてくれ、俺は手伝いはできないが、何かあったらエネに言ってくれ。」
さくやはセンを軽く脅し、リオを虚空空間から出してアルマをリオの上に乗せ、エネは円蓋を発動した。
「じゃあ行って来ますね。『リオよろしくね!落とさないでね?』」
「『空間魔法:円蓋、対象雑木林一体』さくやくん頑張ってね!」
アルマがリオに乗って空に上がり、エネは雑木林一体の空間に蓋をして、空間内のさくやに手を振った。
円蓋の中でさくやは、目を瞑り組手をしていた時のニアの動きを復習し、アルマとリオの報告を待つ。
(踏み出した瞬間に距離を一瞬で詰めるのが瞬歩、一歩の距離、速度を上げるのが縮地、体術はほとんどの武道に準ずるもの、武器操作は日本刀を使った型、抜刀術の一撃必殺系が主だったな・・・一応教わったのはこんな感じか)
頭の中で軽くおさらいをしているとアルマからの念話が届き、さくやは狩りを開始した。
「『サクヤさんの場所から左手に距離およそ500、数は10程度です!』」
アルマが地上を見ながら発見したワーウルフの群れの場所を報告し、さくやの移動とワーウルフの移動をリアルタイムで伝えようと相互の位置を見ていたが、報告を受けたさくやは次の瞬間に縮地を使い群れのすぐ側まで近づき、群れの最後尾にいた個体の首を跳ね、倒れる前にしっぽを掴むと、上空にいるリオの位置を確認して首のなくなったワーウルフをリオの眼下に投げた。
残りの数匹は瞬歩で間合いを詰めると先ほどと同様に首を跳ねて
『時空間魔法:包囲、空間魔法:虚空空間』時空間魔法で包囲した空間の時間を止めて、包囲した空間を虚空空間にしまいこんだ。
アルマはいきなり移動したさくやに驚きながらも
(はやっ!!?・・・まぁあのバグった能力ならあれが普通なんだろうなぁ)
と感心し、次の群れを探しだした。
リオはいきなり飛んで来たワーウルフに驚きはしたものの、空腹に耐え兼ね、様々な疑問を抱いてはいたが目の前に飛んで来た餌をキャッチした。
さくやは次の群れの発見する前にエネに念話を飛ばした。
「『エネ、検視でブラックベアを探してくれ』」
「『了解!』」
センはそんなさくやたちの動きを見てポツリと呟いた
「俺の知ってる駆除職務はこんなんじゃない・・・。」
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