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文字数:792字
「彼女は――メメは、きっと僕たちにまだ何か隠し事をしてる」
アミルの話の切り出しは、そんな言葉によるものだった。
メメが自分たちに嘘をついていると、彼はそう言うのだ。
あまりに信じられなかった。アネラスはあの夜で、メメの心は完全に開かれたと思っていたからだ。
けれど、アミルは続けた。
「でも多分、大丈夫。あの子はきっと、話すべき時が来たら話してくれる。そんな気がするんだ」
アネラスは昔、聞いたことがあった。
まだ城にいた頃だ。ルレリック王国直属の魔法師が、『魔の道を極めた者は、その魔を通して人の心を見、感じることができる』と。
アミルがもし、アネラスの予想通り本物のアミル・ボードネスならば、人の心を読み取ることなど容易くできるのだろう。
だからきっと彼は、魔を通じて、メメの本心を読み取ったのだ。
それ故に、どこか自信に満ち溢れた表情で、そう言い切れるのだろう。
「そう……ですの……」
けれどそれが出来ないアネラスは、そんな返事を返すことしか出来なかった。
何故かアミルがアネラスの知らない気持ちを把握していることに、心の奥が疼いていた。
嫉妬。そんな単語が脳裏に浮かぶ。
アネラスはそれを頭を振って追い払った。
「だからさ、レムクルーゼさん。もしメメがその最後の隠し事を言った時には、きつく言ってやってよ。多分一番心を許してる君に言われるのが、彼女にとっても一番の薬になるだろうからさ」
顔を向けざまにそんなことを言ったアミルは笑っていた。
先ほどまでツボに入っていた時の顔とは違う、優しさにあふれた笑顔。
仲間であるメメのことを想う、純然たる感情。
そこに邪な考えなど一切ない。
けれど。
なのに。
それでも。
アネラスは、嫉妬してしまっていた。
「おーい、なのじゃー」
遠くから聞き覚えのある声がした。
「メメ……ちゃん……」
夕日を背にして、仲間である青髪の少女とともにこの場所に戻ってきた魔女姿の少女を見て。
アネラスは。
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