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時計の針は「8」をさしている
「見つけました」
振り向いたら、いた。今一番、聞きたい事がある人物が。
「せ、先生?」
「あーーー、もう先生じゃないんです。生徒の香月さんは、どうしてここに?」
「生徒の」を強調して「先生じゃない男」は、私の手を取った。
「探してました」
「探してた?」
どうして?
「ああ、先生じゃなくなったんで、香月さん、改めて告白しようと思いまして」
「・・・・・・・・」
胸に込み上げて来る思いがあった。
このひとは、
「僕と、付き合ってもらえませんか?」
「・・・・・はい」
私は、言う。
しっかりと、この時任陽太郎の目を見て。
「あなたと、お付き合いします」
そして、冒頭に戻る。