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反時計回りに「11」をさしている

お姉ちゃんは、私が何も知らないと思ってる。


それは少し前の出来事。


すぐに分かった。

お姉ちゃんの様子がおかしい。

帰って来た。と思ったら、速攻で部屋に閉じこもった。

襖の向こうからは時折、クッションを「ぼふんぼふん」する音が聞こえてくる。


・・・・・ちらりと見えた顔が赤かったから心配してたんだけど。

こんなに元気そうなら、大丈夫・・・かな。


コンコン、コンコン。


「はーい!」


ドアを開けると、そこには。


その人は、私を見て驚き「香月」という家の表札を確認し、もう一度私の顔を見た。

私も同じ顔をしていると思う。


あなた、誰?


見慣れないーーーーというか、絶対に見たことがない。

一目見たら、忘れられないであろう。不細工なわけじゃない。その間逆。


同じ人間かと疑うほど、綺麗な顔をしたひと。


こんなボロアパートに、ありえない。おかしい。背景が全然あってない。

絶対にありえない、部屋を間違えた?

でも、こんな人が会いにきてくれるようなアパートの住人を私は知らない。


「・・・・夕凪さんは」


え?


心臓がひっくり返えるかと思った。


何で、お姉ちゃんの名前?


お姉ちゃん、どういう知り合い?


聞こうにもお姉ちゃん部屋だし・・・どうしよう。


迷っている間に男は、口を開く。


「あ、の・・・・」

自分の心の声が乗り移ったのかと思った。


「・・・・何か用ですか?」

お姉ちゃんに、とは言わなかった。

この人にお姉ちゃんがここにいる事を教えたくなかった。

・・・・怪しい。この人、綺麗な顔過ぎて、怪しい。


「はい、あのっ、夕凪さんは・・・・」


夕凪、さん。

お姉ちゃんを、下の名前で呼んでる。しかも、男。

あなた、本当に誰。


「ゆ、夕凪さんに会わせてください!!」


いきなり。だった。


・・・・・はっ?


男は土下座でもしそうな勢いで頭を下げた。


え?

なに?


いきなりこんな風にすみませんって、お姉ちゃんに何かしたの?このひと!!

そして逆に、お姉ちゃんこの人に何したの!?


こんな綺麗な、大の大人の男が頭を下げるほど。

こんな風にする程の事があったのか。


「お姉ちゃんに、何をし・・・」


「お願いします!!」


・・・聞いてない!


「だから、何があっ・・・」


「お願いします!」


そんな事が、何回か続き。


「・・・・・・・」


何だろう。


イラッとする。このひと。

頭痛い。


でも。悪い、ひとではなさそう。

この、必死さ。

いい加減、ドアを開け続ける腕も疲れてきた。この人の相手も辛い。

男は一生懸命だった。何でか分からないけど。

もういいや。


「どうぞ」


「お姉ちゃんー、お客さんだよー」


「誰?」


あ、聞いてない・・・。

でもお姉ちゃんに会う為に、私の後ろでそわそわ。

綺麗な顔を赤くしているこの人は・・・


「んー?お姉ちゃんの、彼氏?」


お姉ちゃんの反応は。


えっ。


ついさっきの私みたいな反応をした。

やめてーーーー、その顔。ちょっとまぬけだよ。


「すみません、お姉ちゃん、学校から帰ってきてから少し変なんです。」

フォローをいれておく。


って、ええ?

なんであなたまで顔が赤いんですか・・・・


お姉ちゃんは、口をあんぐりと開けていた。


「・・・・」


馬に蹴られそうなので、星乃(いもうと)は、フェードアウトします。


それから、何かを話して、男はあっさり帰っていった。

あの様子からして、居座りそうだったんだけどな。


そのあとからだ。

お姉ちゃんが幸せそうな様子なのは。


きっとその家にやって来た人が、お姉ちゃんの「彼氏」で。

私はその人の事、何も知らないけど。

お姉ちゃんが、幸せそうならそれでいい。


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