反時計回りに「12」をさしている
新章です。
別視点になります。
私、
お姉ちゃんのこと、何も知らない。
その事に気付いたのは、最近のこと。
最近のお姉ちゃんは、幸せそうだ。
気が付いた時には鼻歌を歌っているし、冷蔵庫のプリンを勝手に食べても怒らないし、カンチョーしても怒らない。
本人は「何もないよ?いつも通りだよ?」と隠しているつもりだろうが、明らかに機嫌がいい。
それに、周りにお花が幻視出来るぐらいには表情が緩んでいる。
「ふふん、ふふーん」
一緒に夕飯を食べ終わって、お皿を拭いている最中。
多分、無意識なのだろう。お姉ちゃんは鼻歌まで歌い出した。
「・・・・・・お姉ちゃん、彼氏出来た?」
「ふんふんふーん、えっ!?」
「うわっ、ととっ」空中で暴れるコップと格闘しだした。
その間に最後の食器を拭き終えて、姉を見守る。
「せ、セーフ」
アウト、だよ。
こんな反応でバレてないと思ってる?
そ、れ、に。
「かっ、カレシなんか出来てないって!!」
「・・・・」
嘘つくな、嘘を。
じぃいいいいいい。
「ほ、星乃にこの話はまだ早いっ!!」
早いって・・・・・お姉ちゃんが、遅すぎなだけだからね?
今どき、中学生で恋話ぐらい普通だし、むしろそれ以外にある?
・・・・それに。
最近お姉ちゃん男の人が訪ねて来たあとから幸せそうにしてるし・・・
耳まで赤くなって、自分の部屋に戻るお姉ちゃんを見ながら思う。
お姉ちゃん、分かりやすすぎ。