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10/19

時計の針は「10」をさしている

「どうして私の事が好きなんですか?」

あれから毎日会って、毎日話しているのに、聞きたくて。

でも聞けない質問がある。


こんな風に好意を寄せられて、疑問に思わない訳がないと思う。

しかも、相手は先生で。

先生だから「付き合えない」と言ったら「先生を辞めた」。


理由は「付き合って欲しいから」。


どうしよう。

ここまでされているのに、言いようのない不安が募る。

聞きたい事がある。


どうして?どうしてこんな、何の取り柄もない私のことが好きなんですか?

そう聞きたい。


でもっ、でも。

そんな事聞くって自意識過剰というか。


この言葉を口にするだけで、すごい勇気がいる。

よし、練習してみよう。幸いここには誰もいない。

ひとり、声に出して言ってみる。


「どうして、私の・・・・わーーーーっ」


い、言えない!

言えないよ・・・・。私のこと、


「好き?」


だとか!!


要するに、こういう事を聞きたい。

先生の顔を思い浮かべる。


「好き」

そう言葉に出す。


って、あれ?・・・・おかしい。

今、先生に好きって・・・・?

おかしいな。それじゃあ、私、先生のこと、好きみたいじゃない。

いやっ、もちろん嫌い、なわけがない。

先生のこと、好きか嫌いかで言ったら「好き」だけど。

でもその好きは「どちらかと言えば好き」の好きであって、その・・・・ライクかラブかと言われたら・・・・ラブの方だけど・・・


「先生・・・・・好き・・・・」


ち、違う!

いやっ、違わないっ、けど。

恥ずかしすぎて、省略のしすぎ・・・・


好き、なのかな?先生のこと。


どうしよう。・・・・・早すぎる。

だって、先生と私は「告白」から「付き合う」までが短い。

でも、先生を信じていない訳じゃなくて・・・・「生徒を好きになったから、学校辞める」とか、普通そんな事遊びで出来ないから、先生の気持ちは疑ってない。

だから、告白・・・を受けた訳だし・・・


でも、あんなにカッコいい人が私の事、好き。だなんて・・・・


もともと先生の事、カッコイイと思っていたけど、付き合う事になるとは思わなかった。

だから、その、

要するに、・・・・心の準備が、出来てない。


何もかもが、早過ぎる。

いきなり、


「好きとか・・・・いきなりっ、すぎるんだからっ・・・・馬鹿っ!先生の、馬鹿っ!!ばかぁっ!!」

思わず、持っていた箒で地面に八つ当たりをする。集めたゴミが宙を舞った。


「・・・・えっーーと、夕凪さん?」

聞き覚えのありすぎる声。

というか、ここ毎日聞いている声がした・・・・幻聴?


ぽろり、箒が手から離れていく。


「夕凪、さん?」

箒を拾ってくれたのは。


「きゃ、あああああっ!?」


(なんでここに!?)


「!?!?」


「まままま、まさかっ、見てましたか?」

「箒ですか!?」

「ありがとうございますっ!」


差し出された箒を受け取る。箒の受け渡しが完了した。


「「・・・・・・・・」」

お互いの、顔が赤い。


ぱっと、反対側を向く。十分な距離をとってから。


「わ、忘れてください!!」


「・・・・・・・」

反応がない。

ちらり。振り返ると、明後日の方向を向いた先生が見えた。


「その、嬉しかったです」


頭に血が上った。


「~~~~~~~馬鹿っ!!」


忘れてくださいっ!




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