表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名無しの手紙  作者: 山本良磨
第4話 ロウェナ編
48/72

Rides 小さい波

 出産報告の手紙屋をすべて配り終え。メールたちがロウェナを発ったあとの話。

 ヒースクリフ・ターナーは病院にいた。目の前のベッドには母親となったセラ・ターナーと、布にくるまれた赤ん坊がいた。

「……でも実際ヒヤヒヤしたよ。セラはセラで大変だったし、メールちゃんとハイネくんは夜の町へ飛び出したし」

「私、頑張ったわよ。何回か諦めそうになったけどね」

「ああ。本当にありがとう。よく頑張ってくれたよ」

「どういたしまして。あなた」

 部屋に優しい光が降り注ぐ。太陽は真上から少し左へずれる。暑さはこれからがピークだった。

 そう言えば、とセラが口を開く。

「考えた? この子の名前?」

 ヒースクリフはその質問を待ってましたとばかりに、

「そう、閃いたんだよ! 頭にビビッと降りてきたんだよ、名前が」

「名前が? 降りてきた?」

「そう。天から」

 ヒースクリフは左の人差し指を、すっと頭の上に向けた。動きに伴って木製の義手がカランコロン、音を奏でる。セラは微笑む。

「じゃあ聞かせていただこうかしら? その天から降りてきた、この子の名前を」

 そしてヒースクリフは口にした。自分たちの子どもの、名前候補を。

 それを聞いたあと、セラはふふっと優しく笑う。

「あの子の影響を受けたのかしら?」

「あたり。ダメかなあ?」

「ううん、素敵な名前ね」

 素敵な名前……。セラはもう一度静かに繰り返した。

「彼女のように、人の幸せを願い、喜び、共に笑う。人の不幸を悲しみ、寄り添い、共に泣く。そんな、思いやりのある優しい子に育ってほしいわね」

 母親は体をゆっくり横に倒し、赤ん坊と向かい合った。その小さな体を抱きしめ、頬にそっとキスした。ヒースクリフも体を寄せ、二人を優しく見つめる。


「これからよろしくね。『リッド』。リッド・ターナー」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ