夢 〜 俺さ——
大きな爆発音が聞こえた。様子を見に行こうと思った。
防塵コートを身に纏ってから、錆ついた金属の扉を開き、割れたコンクリートが散らばっている道路を歩いた。すると道路の真ん中に焼け焦げた黒い跡と、赤い血の跡が視界に飛び込んできた。
その中心には何かがあった。もっと様子を見ようとオレは近づいた。近づくにつれて肉の焦げた匂いと、血なまぐさい鉄の匂いが鼻孔を満たす。不快なことこの上ない。
中心の何かは、人間だった。しかし、それを人間と呼んでいいのか多少の抵抗がある。何せ体の色は肌色ではなく、焼け焦げた黒色と血の赤色だったのだから。唯一開いている右目だけは白だったが。腕も足ももはや原形をとどめておらず、様子を見ている今も体全体から鮮血が辺り一帯に流れ出している。見ているだけで体の奥から吐き気がこみ上げてきた。
もはや彼の命は絶望的。あまりに凄惨な光景はただそれだけを示していた。
「あ、れ……。俺、以外に……、人な、んて、いたん、だ」
驚くことに少年はまだ生きていた。潰れていない片目でオレを見ていた。声を出せるなんてもはや奇跡的だ。
「お兄、さんは……、どこ、から来、たの?」
オレは黙っていた。どうせ目の前の人間は死ぬのだから、わざわざ話す義理もない。
「まあ、いい、や……。ねえ、聞いて、くれる?」
息も絶え絶えに、少年は語り始める。オレは何も言わず、何もせず、静かに聞いた。
「俺さ——」