表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名無しの手紙  作者: 山本良磨
第1話 リリアーヌ編
12/72

行ってきます

 事前に名無しに言われた通り、必要最低限のものだけをバッグにまとめ、家をあとにした。そこから村の風景をひとつひとつ、しっかりと記憶しながら、ゆっくりとした足取りで村の入り口へと向かった。もうしばらくは見ることができないのだから。

 入り口に近い場所では、子どもたちが集まっていた。見送りに来てくれたのだ。メールはにっこりと笑いかけた。子どもたちは何も言わない。既にあいさつを済ませたからだ。子どもたちの横を過ぎたとき、小さくしゃくりあげた声が聞こえてきた。しかし、メールはふり返らなかった。

 入り口では名無しが待っていた。

「終わったのか」

「はい」メールは大きくうなずいた。

「じゃ、行くぞ」

 メールは後ろを振り返る。『リリアーヌ』と書かれた村の門が見えた。子どもたちが手を振って送ってくれていた。そして子どもたちの奥におばさんの姿もあった。笑っているのが遠くからでもよくわかった。

「行ってきます」

 メールは小さく呟く。それはまるで自分の決意を確認するように。そして村に向かって大きく手を振った。

「行ってきまーす!」

 行ってらっしゃーい、と子どもたちの元気な声が返ってきた。その中から、小さいが確かにおばさんの声も聞こえてきた。

 メールはくるりと背を向け、名無しの手紙屋と共に、両親を捜す長い、長い旅の一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ