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月蝕  作者: 檸檬
3章 加護と加護
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虚構の世界に立つ夢幻13

 泥が飛ぶ、雨が上がった空の下で死臭が漂う最中、ルナリアは漂ってくるその匂いに眉を顰め、袖で鼻を覆った。

 簡易的に作られた天幕を見下ろし、ルナリアは今学院の貴賓室へと迎え入れられていた。そして厳格な警戒態勢の中、彼女は濡れた体を手早く拭き、殆ど着替える事もせずにその一室の窓の傍の一角で虚空を睨みつける様にして座っていた。


「ニールロッド、状況は?」


 小競り合いは既に終わり、処理段階に有る現在、ルナリアは先ほどから忙しなく入ってくる情報を処理しているニールロッドへと問いかけた。

 問われたニールロッドは困った様な表情を浮かべ、頬を数回掻いた後、ルナリアへと答えた。


「うちらだけで見れば良いんですがねぇ。死者は……、まぁ学院に行った奴1名だけで他は命に差し障る程じゃねぇですわ。問題はセレスタン辺境伯の私兵です、三分の一が壊滅してます。次にまずいのは宮廷から来た魔術師連中ですね。こちらも2割程が死んでます、緊急で治療が必要な奴が残りの半分、仕事を続けられそうに無いのが更にその残りの2割。んで、まぁ……」


 言葉を濁したニールロッド。僅かの間の後、何も返さないルナリアへと一つため息を付いて続ける。


「師長のゴドラウは死亡が確認された様で、気休めってわけじゃぁありませんが、リリス王女とアルフロッド・ロイルは無事ですな」

「……そう」


 その報告を聞いてルナリアは目を僅かに伏せた。

 ゴドラウ師長に思う所は多分に有る、だがしかし、カナディル連合王国を運営するという観点から見た場合死なれると困る存在でもあった。

 これが及ぼす影響は並大抵のものではない。


「早急に次の師長を立てる必要が有るでしょうね」


 ふぅ、と一つルナリアは息を吐き気持ちを切り替えた。胸の奥に溜まるヘドロの様な不快感を漂わすナニカが消える事は無いが、そこにいつまでも拘っている程現在の状況に余裕が有る訳ではない。


「……彼らは?」

「確認出来ません、なぁ……」


 簡潔なその答えにこめかみを揉み解す様にルナリアは手で顔を覆い、はぁ、と一つため息を吐いた。


「検証は?」

「ゴドラウ師長を攫ったとされる男が使った剣は回収されていますが、意匠からして帝国の物の様ですなぁ。前後の発言からして帝国内部での内乱か、あるいは裏切りか、というのが有力ですわ。ゴドラウ師長をあっさりと切り捨てた所からして技量も生半可な物では有りませんので、ね」

「明確な物を残して行く訳も無いでしょうしね。フィーア・ルージュも攫って行ったというのは?」

「報告段階ですから確実じゃぁねぇですがね。一応リリス王女と、まぁアルフロッド・ロイルも現場にいた様なんで後で直に聞いた方が間違いないかと思いますわ」


 そうルナリアに告げたニールロッドも告げられたルナリアも互いに眉を顰めた。

 誰がやったかなど想像がつく、予想が付く、だが放っておけば恐らくその検証通りに話は進む可能性が高い。

 二人が考えたのは、その話に乗るべきか乗らざるべきか、と言う事だ。

 言うまでもなくニールロッドは後者で、ルナリアはやや前者寄りであった。ゴドラウが殺された、いやゴドラウを殺した、という点と、フィーア・ルージュを強奪したという2点、この大きすぎる2点がルナリアにとって脅威であり懸念を抱くに十分すぎる材料ではあったのだが。


「笑うかしらニールロッド、これでもまだ彼を殺すなという事を」

「……失礼を承知で言いますが、愚かにも程が有るかと思いますがねぇ」


 その言葉にルナリアは薄く笑い、眉間を指で揉んだ。

 そしてそのまま力なく背もたれに寄りかかり、ぶらり、と手を下ろす。


「……最初に彼にあった時、ずいぶんと壊れているな、と思ったわ。貴方は、そうね同席していなかったから見ていなかったでしょうけど、発言も、行動も、随分とヒトとして壊れていたわ。元からそうだったのか、あるいはそう成ったのかは知らないけれどね」


 一国の王女の首筋に剣を添えるなど、狂気の仕業だ。


 ゴドラウが死んだ。ゴドラウ師長を恨んでいた、殺しても殺しても、殺し足りないくらい恨んでいた。けれど、国を守るという意思の元、それを殺していた。

 だが果たして如何だったろうか、ただ単に怖かっただけなのではないか? 自身に刻み込まれた恐怖を思い出すのが怖かったのではないか?

 

 ルナリアは視線を下へと落とした。ほぼ乾いているドレスは肌を見せる事の無いとても大人し目の服であると言えよう。その下に潜む刻印は隅々までルナリアが記憶している。毎日いやでも湯浴みの時に見るのだから。悍ましく、それでいてリリスを縛る枷であり、リリスに対して負い目を作る材料でもある。


 ざわざわと沸き上がる嫌悪感と吐き気、刻印の上から皮膚ごとかきむしった事が果たして何度あったか。その刻印に殺される悪夢を何度見たか。それでも現実は変わらない。


 ――何故、私が、と思った事が果たして何度あったか。

 

 ルナリアは自分の手が震えている事に気が付いた。それを抑える様にもう片方の手でぎゅうと握りしめ、唇を噛み締めた。


「あぁ……」


 思わず声が漏れた。

 ルナリアは自分が笑みを浮かべている事に気が付いた、そしてつぅ、と流れる一筋の涙にも気が付いた。

 ニールロッドがぎょっとした視線を向けるが、ルナリアは気にする事無くその涙を袖で拭い、目を伏せた。


 そして気が付いた、やはり、自分は死にたくは無かったのだと。死は恐ろしかったのだと。

 その呪刻印が命を奪う物であると教えられて来たルナリアにとってそれを行使する可能性があるゴドラウの死は喜ぶべき事だ。だが、自国の民を、自身の部下を、幼き頃から補佐してきた相手を、連合王国として有能な魔術師の死を喜ぶなど、王女として、第一継承権所持者として認めるわけにはいかないのだ。


 ――だが、


「ふっ……、ふふっ……」


 狂っているのは私もそうだ、とルナリアは思った。


「ねぇ、ニールロッド」

「……なんでしょう姫様」

 

 色々問題は有る、色々悩む点は有る、けれども――


「私嬉しいの、とても嬉しいのよ」


 それは果たして、アンの呪いか、ルナリアの本心か、ただの世界の気まぐれか。

 ニールロッドはその言葉に何も返す事ができなかった。


 人目に触れる事の無い様にニールロッドはルナリアを背に隠す、ルナリアは母の死から人前で初めて涙を流した。

 ゴドラウに刻印を刻まれた時も、リリスに腕を焼かれたときも、一度足りとて泣かなかった。弱音を吐かなかった。

 ギリ、と噛み締めた歯と、憎悪に濡れた瞳で世界を見て来た。

 自分は王女であるのだと、自国の為に身を尽くして死ぬのだと、そう自己暗示を掛けて生きて来た。

 全てが全てそうだったとは言わない、彼女とて年相応の趣味は有るし、年相応の我が侭とて考えるし、限度を弁えた程度で行動もする。


 その一方でこの国に献身する価値など無いと考えていた。

 絶望に濡れた瞳で世界を見ていた。

 いつ死んでも構わないと生きていた。

 それは母に会いたかったのか、リリスを見たく無かったのか、この国そのものが憎かったのか、ルナリアにもわからない。


 けれど、ゴドラウが死んだ時、自分の中に産まれた安堵感と開放感は、死にたくなんか無かったのだ、と自覚出来るには十分な要素だった。

 

 王女としては認めない、認められない、けれどこの一瞬だけは――


「母様……、まずは一人、死にましたよ」


 くつり、と笑ったルナリア。手の平で隠されたその口は裂けんばかりに笑みを浮かべていた。


「ニールロッド」


 ぞくり、とする這い寄る様な冷たい声。僅かに眉を顰めたニールロッドが返事を返す。


「殺すのに必要な数は?」


 誰、とはニールロッドは聞き返さなかった。苦虫をかみつぶした様な顔を浮かべ、答えた。


「……1個中隊じゃ足りませんな、それにフィーア・ルージュも付いてるとなると、総力戦を覚悟する必要が有ります」


 そう、とルナリアは呟いた。


「彼を殺したい?」

「……ご命令とあらば」

「残念ね、私は初めて欲しいモノを知ったわ」

「姫、様……?」


 恍惚とも取れる笑みを浮かべ、告げた。


「リリスを呼びなさい。事情を聞くわ」


 拒否権は無かった。


 ○


「スオウ!」


 中央都市ヴァンデルファールにある廃屋の一室、そこは廃屋とは思えない程に物が充実しており、飽く迄も廃屋というのが外観だけである事を示していた。元々は自分が主体となって物を揃え、アインツヴァル達に整備させて来たので当然とも言えるのだが。


 声を張り上げて来たのは黒髪の女性、フィリスだ。その声に思わず眉を顰めた。

 やや離れた場所にワイバーンを置いた後に、アリイアとここまで走って来たのだ。一般的なヒトの枠組みを大きく逸脱している二人だが生憎とアリイアはフィーアを背負っていたし、こちとら片腕が瀕死状態で魔素も欠乏気味。出会い頭に大声を出されると頭に響いて非常に困る。


 その険しい視線とアリイアに背負われている銀の少女に気が付いたのかフィリスはぐ、と問いつめようとして来た口を噤み、睨んで来た。

 そんな様相を無視するかの様にアリイアはいつも通りの無表情面でフィリスへと告げた。


「フィリスそこをどけて下さい。スオウ様の治療をします。スオウ様、“これ”はどうされますか?」

「“これ”は失礼だろう、フィーアという名前が有るんだ。きちんとベットの上に寝かせてやってくれ。フィリス、悪いが秘薬と新しい包帯を出してくれないか」

「〜〜ッ、わかり、ましたッ!」


 言いたい事を色々と強引に飲み込んだかの様に見えたフィリスは、ギロ、とこちらを再度睨んだ後、どすどすと音を立てんばかりに部屋の中へと戻って行った。僅かに苦笑が浮かぶ。

 部屋の中に入ると凡そ40畳程度の広い空間が広がっていた、それなりの広さでは有るが、実際はベットが二つ置かれていたり、机と椅子が配置されていたり、大きめのソファーがあったり、暖炉が設置してあったりでそんなに広々としている感じは受けない。


 その中の一つの椅子へと座る。座った途端全身を覆う疲労感が襲って来た、思わず吐息が漏れる。


 ぽたぽたと髪から雫が落ちた。

 隠していた服に着替えてた為、付いていた血痕は既に消えており、さきほどまで着ていた服も、そしてローブも着替えた場所で焼却済みだ。

 とはいえど雨の中高速で疾走したのだ、再度ずぶ濡れになっているのは言うまでもない。


 準備してくれていたのだろう机の上に置いてあったタオルを一つ取り、近づいて来たアリイアへと投げる。

 遠目にはフィーアがベットの上に寝かされていたのが見えた。後で彼女の服も変える必要が有るだろう。加護持ちとは言えど体力が低下している状況で冷える格好でいるのは良いとは思えない。


 もう一つ置かれていたタオルを取り、髪を拭き、目に見える範囲の雫を拭う。


「アリイア、脱ぐなら席を外すから言ってくれ」


 はぁ……、とため息を吐いた。

 目の前には見事なプロポーションを惜しげも無く晒し、上半身をタオルで拭うアリイアが居た。

 ちらり、とこちらを見た後、直ぐに水滴を拭う作業へと戻った。彼女の過去を知っているが故に余計苛立ちと倦怠感が募る。

 彼女は自分の体に何の価値すらも感じていない、そこらのゴミと同等だとでも思っている。だが自分スオウの物であるから、という理由で多少は考慮している程度だ。


 深く考えても仕方が無い、と自分も濡れた上着を脱ぎ、地面へと放った。

 右腕の感覚がなく、言う事を聞かないため多少苦労したが、べちゃり、と音がして床へと落ちる。


「……む」


 ふと思った、態々そんな事をするまでもなく、体外の水分操作をすれば良いのではないかと考えたのだ。


「……δΣ」


 簡易的な水流操作魔術、ずぁ、という小さな音と共にズボンに染み込んでいた水が外へと引っ張られ、水球を作り出す。同時に引っ張られたズボンに足を取られそうになり、思わずつんのめった。


「便利だが注意しないと危ないな、微細操作も思ったより難しい」


 普通に拭った方が魔素の消耗も考えれば妥当だろう。ゴドラウの高等技術にスオウの下地があってこその芸当だ。才能の無駄遣いとも言える。


 宙に浮いた水球を暖炉の中へと放るとじゅっ、と音がして水蒸気が発生した。


「……スオウ様私にもお願いします」

「あぁ、ついでにフィーアのもやっておくか。――σδωθ」


 フィーアの体が僅かに浮かび、そしてベットの上へと戻る。浮かんだ水球はアリイアから取ったものと含め宙に浮かんでいる。


「さすがにコレを暖炉につっこんだらまずいな」


 間違いなく火は消えるだろう。絶対とは言わないが……。

 雨が降っている中、木窓を開けるのは気が進まないが、少しだけ窓を開けた後水球を外へと放った。

 雨風が中に入ってくる前に木窓を閉める。

 そして地面へと放り投げていた上着を再度着込んだ所でフィリスが戻って来た。


「スオウ、救急箱って、アリイア! 服を着て!」

「騒がしいですね、別にスオウ様以外男性もいないのですし構わないでしょう」

「スゥちゃんみたいな事言わないで!」

「おいまて、スゥイはそんな事言わないだろう」

「うるさいスオウは黙って!」


 叫び声が頭に響く、疲れているんだから静かにして欲しいものだ。

 がみがみと言募るフィリスに相も変わらず表情を変えないアリイアは椅子に掛けていた上着を掴み乱暴に着込む。

 同時にフィリスが持っていた救急箱をひったくり、自分が座っていた椅子の正面に椅子を持って来て座って来た。


「顔を」

「あぁ」


 不満げな表情を浮かべるフィリスを視界の端に入れつつ、アリイアの治療を受けた。

 とはいえど治癒魔術によってあらかた止血は終わっていたので、消毒と化膿止め程度だ。最後にくるくると顔を包帯で巻き上げて完成した。


「ミイラ男に成った気分だな」


 顔の真ん中だけではあるが、包帯で巻き上げられたであろう自分の顔を想像してそう呟いた。


「ミイラ男とか……、そういう問題じゃないでしょうッ! スオウ、貴方いい加減にしなさいよッ!!」


 返事は怒鳴り声だった。


「帝国に行ったと聞けば、作戦の途中で撤退命令ッ! あげくにあの子は何! 一体何が起っているのよッ!」


 詰め寄りながら怒鳴るフィリスを見た。それは明らかに自分を心配して言われている言葉だった。その言葉に思わず感謝した、そしてそんな価値など無いのだが、と同時に思った。言い訳、ではないが、説明をするにしても彼女一人にするのも失礼だろう。

 ちらり、と視線をずらす。フィリスの怒鳴り声でこの部屋に着たのか、タイミングを計っていたのかは知らないが、フィリスが入って来た扉から見えたのは赤い髪だった。


「それは俺も知りたいな、スオウ」

「シュバか、アインツヴァルは?」

「……2階で警戒中だとよ」


 恐らく知っているからお前らは聞いてこい、とでも言われたのだろう。不機嫌な顔を隠そうともせずにシュバリスはこちらへと視線を向けた。

 返事を返したのはアリイアだった。


「別に貴方方が知る必要など無いでしょう? 傭兵は与えられた命令と金銭に見合った活動をすれば良いだけです」

「アリイア、煽る様な言い方をするな。別に理由が無かった訳じゃないだろう」


 誰が見ても気が付く事は無いだろうが、不機嫌そうな顔を浮かべたアリイアはそのまま口を噤んだ。

 アリイア自身も今回の件は思う所があったのかわからないが、兎に角口を出して来ないのならば取り敢えずその間に話をしておきたい所では有る、が……。


「スゥイはどうした?」

「部屋に篭ってるわ、スオウが頼んでいた事が上手く行ったのはアインツヴァルから聞いているんでしょう?」

「まぁ、そうだが」


 恐らく禁書エリアから盗み出した蔵書の解読に勤しんでいるという所だろう。

 それならそれで邪魔する事も無いだろう。「まぁ、いいか」と前置きした後、フィリスとシュバリスへと視線を戻した。


「先ほどの質問だが、帝国に行ったのは三階級を持つ皇帝の現状を確認したかったのと、黒狼の行動を把握するため。作戦の途中での撤退命令は予定通り事が進んだので、証拠隠滅の為に動く部隊の必要性が無くなった事、そこの子供は帝国の加護持ち四階級のフィーア・ルージュだ。他に質問は?」


 ギリ、とシュバリスとフィリスが歯を噛み締めたのを確認出来た。

 どうやら余程ご立腹な様だ。


「何故、黙っていた……」


 絞り出すかの様に語られた言葉には憤怒と、そしてどこか悲しみに満ちていた。

 

「必要だと思ったからだ」


 答えは簡潔、言えば彼らでは動揺しただろう。

 シュバリスとフィリス、そしてアインツヴァルはもしもの為の口封じ部隊だ。それはスオウすらも含んだ形での仕事となる。

 スオウの死体が現場に残る場合、スオウが逃げ切れない場合、スオウを始末し、処理する必要が有る。その為の彼らだ。


「言えば止めただろう?」

「当たり前だ何を考えてやがる! アリイアッ! てめぇスオウが死んだらどうするつもりだったんだ!」

「ご命令でしたので」

「て、めぇッ……!」


 ギリ、とシュバリスが腰に吊るしてある剣の柄へと手を伸ばした所で、手を翳しそれを止める。


「やめてくれ、こんな所で騒ぎを起こすな。シュバリス、心配してくれるのは有り難いが、はき違えられても困る。我々は別に仲良し小好しで集まった訳じゃないだろう? お前のその感性と感情は間違ってはいないし、むしろ好ましいと思うが、自分の目的を忘れないで欲しい」

「――ッ」

「アリイアも態々煽る様な言い方をするな、それなりに長い付き合いなんだ、言葉を選べ」

「申し訳有りません」


 はぁ、と一つ溜め息を吐いた。


「真面目な話」


 そう言って間を置いた。

 フィリスとシュバリスは険しい表情をしている。


「黒狼の連中で一番危険なのは狂犬ガスパーと二双のカール、この二人だ、この二人を始末出来ればどうでも良かったとも言える。が、暗殺急襲が基本のあの部隊をそのままカナディルに入れる訳にも行かない、途中に有る村や街で略奪する可能性が高いし監視役が必要だった」

「だからって……」

「シュバやフィリスが入るか? 後者は絶対に無理だろう、慰み者になる。シュバリスも無理だな、奴らの精神状況に付いて行けるとは思わない。そもそも支援物資を手に入れる伝手も無いだろう?」


 下劣が相応しい彼らの傍でシュバリスがその意思を保てるかどうかと言えばそれは怪しい。

 それに実力的な問題も見てガスパーは兎も角、カールに勝てるとは思えなかった。

 お前はどうなんだよ、という言葉を黙殺し、話を続ける。


「アリイアも同じ理由で駄目だ、まぁ、目的の場所に来る前に殲滅するという事なら別にそれでもよかったかもしれないがな」


 そう言って思わず笑った。それはそれで良かったかもしれない、と。


「だがそうするとゴドラウ師長を孤立させられなかった……、責任を擦り付けられる原因を持った外的勢力という意味で黒狼は最適だったんだよ。帝国との開戦の切っ掛けに成りうる、という意味ではデメリットかもしれないが」


 ガウェイン辺境伯か、あるいはその側近が情報を流布していると言う事はグリュエル辺境伯含め把握している事は確認している。ゴドラウの記憶を奪った事により更にそれは確信と成った。であるならば間違った選択ではなかったという事だ。


 宮廷魔術師の一人より奪った記憶からルナリア王女に刻まれている刻印の概要を理解した事から彼女に情報を流す事も憚れた。ルナリアから情報が漏れる可能性があったし、それでリリスを差し向けられでもしたらとてもではないが勝ち目は無い。


「黒狼の一部が誰かに殺されたとなれば問題が有るんじゃないのか?」

「それは勿論そうだろうが、あれだけの混戦で誰が誰を殺したかまで把握などできないさ」


 フィーア・ルージュを攫ったものは誰か、という点に置いても同様であろう。

 少なくとも上層部は帝国の内乱と打つ。自国が奪ったとでも言えば帝国と完全に敵対する事に成る為だ。今回の件でほぼ敵対関係に成ったとしても、未だアルフロッドが使えるか不明瞭な段階で戦争に踏み込むのは愚策だ。恐らく期間を延ばそうとする。思慮の足らぬガウェイン辺境伯は今回の件でさらに発言力を落とすであろうし、血気盛んなセレスタン辺境伯は私兵をかなりの数で損失したため、直ぐに出る事は無い。復讐あるいは、報復として立つ可能性は十二分にあるが、そこはグリュエル辺境伯とルナリア王女の仕事だろう。

 

 それを告げた所で未だ不満気なシュバリスから声が上がった。


「加護持ちが減った帝国に攻め込もうとするんじゃねぇのか?」


 それもまた妥当な判断とも言える。だがしかしそれはフィーア・ルージュがこちらの手の中に有るという情報を知っているからの話だ。

 帝国の内部分裂である、と銘打つならば様子見をするのが妥当。動く可能性は限りなく低い。そしてそれ以上に考えるのが――


「同盟側の者が二者保有している連合に対抗する為に攫ったと考える可能性も有る、と?」


 答えたのはフィリスだった。それに軽く頷き返事とした。


「まぁ……、今回の襲撃で“意図的に”連盟の高官が死んでるからな、可能性としては薄いと考えるだろうが。知っている者はどうだかな」


 そう言って薄く笑った。

 ゴドラウの記憶の通り、カナディル連合王国の国王がコンフェデルス連盟を、側室である第二王妃を恨んでいるとすれば連盟からの抗議はそれほど大きくは成らないだろう。むしろ、協力的ですら有る筈だ、犯人はこちらにはいない、と早急に明示を出すだろうし、内部犯の探りも徹底的に行なうと考えられる。戦闘向きと防衛向きである2者を確保している連合と友好関係を結ぼうと思うのは必然だ。


 対外的に帝国が絡んでいるとしたとしても、行なわれた刻印技術は連合の技術であり、それを利用したのはその場に居たリリスやアルフロッド、勿論宮廷魔術師の一団が見ていたのだ。その情報が入れば“知っている者”がやったのでは、と考えてもおかしくは無い。


「アルフロッドがコンフェデルスで限度を超えた露骨な対応をされなかった事からして、その辺りに配慮している人物はそれなりに力を持っていそうだからあぶり出しが先だろう、な」


 思わず呟いた言葉、シュバリスとフィリスが怪訝な顔を向けるが軽く頭を振って言葉を濁した。

 女一人に振り回される、巫山戯た話だ。


 だが問題が無い訳ではない。

 ゴドラウにあった知識、加護持ちを識別出来る能力者。制定の子供達。

 彼らの中に加護持ちの位置と能力を判別出来る者が居るとなっていた。

 予定外の情報だ、しかし止まる訳にも行かない。フィーア・ルージュはそれ以上に魅力的な手札だ。

 

 ぐ、と眉間に寄った皺を揉み解しながらフィリスとシュバリスを見て話を続ける。 


「そっち方面から情報の流布をする様にも手は廻した、暫くは混乱が続くだろうさ。……不満はわかるが、話さなかったのは俺が死んだ場合、あるいは拘束された場合俺であると知っていると剣が鈍ると思ったから言わなかった。悪かったな」

「……そういう問題じゃッ」

「ない、か? その気持ちには感謝する。だがお前にはお前の目的が有るだろう?」

「アリイアや、アインツヴァルはいいのかよッ!」


 部屋に響いた怒鳴り声に思わず目を伏せた。

 アリイアやアインツヴァルが良いという訳ではない、だが必要であったというだけだ。

 命令を指示する者に事情を説明する必要、自分一人ではやり遂げられなかった必要。

 いや、違う。アリイアもアインツヴァルも、共に死ぬ様な事に成ってしまっても“仕方が無い”と判断したのだろう。

 

「シュバ、もう、いいよ……」


 憤るシュバリスを止めたのはフィリスだった。

 彼女は力なく項垂れ、シュバリスの腕を掴み、軽く頭を振った。


「ねぇ、スオウ……。何が貴方をそこまで動かすの? 優しい家庭だったじゃない……、アルフロッド君だって、ルナリア王女様なら悪い様にはしないじゃない……。あそこで、穏やかに過ごしたって誰も文句は言わないわ」


 それは、懇願に近かった。

 確かにそうすれば良かったのかもしれない。アリイアは多少不満が有るかもしれないが、大人しく護衛を続けただろう。フィリスも同様だ。

 アインツヴァルとシュバリスはもしかしたら離れたかもしれないが、今回の事でコレだけ怒ったシュバリスだ、あるいはあの街に留まったかもしれない。エーヴェログはどうだろうか、孤児院を経営し、時偶ふらりと出かけ、子供を拾って来ていたかもしれない。

 

 ――だが、


「かもしれないな」


 そう言ってフィリスから視線を逸らした。

 突き動かされる様なこの焦燥感は決して説明出来るものではない。理解してくれるものなど欲しいとは思わない。

 あえて言うなれば、クラウシュラが……。


「……あ?」


 クラウシュラ? そういえば、クラウシュラはどうした?


(何じゃ、惚けたか? ここにいるぞ)

(……? 居る、か……?)


 居た、のか? いつから居た? いつから居なかった? そういえば、俺が話しかけなければ彼女は話そうとしない、か?

 いや、彼女から自発的に話した事はあった筈だ。なんだ、なにかが、違和感が――


(いや、なんでもない)


 呟いた言葉に返事は無い。


「スオウ?」


 急に沈黙したので疑問に思われたのか、フィリスから声をかけられた。

 思わず口を手で覆う。


「いや……」


 言葉が隙間から漏れた。

 カタカタと手が震えていた。感覚のない右腕だ。

 フィリスから見えない様に後ろに隠し、話は終わりだ、と手を振って退室を促した。


 不満げであった二人、舌打ちをしたシュバリスと再度こちらを見て来たフィリスに顔すら向けず、ただ震える右手を隠し続けた。


「スオウ様?」


 二人が出て行った後異変に気が付いたのか、アリイアがこちらを見てくる。

 アリイアを見た、変わらぬ顔だ、いつものアリイアだ。ブロンドの髪が僅かに揺れてこちらを見てくる瞳には色を感じる事は無い。

 アリイアは俺だ、アリイアの記憶を全て持つ俺はアリイアでもあるのか、記憶がヒトを形成するのだとすれば、果たして俺は一体何だ?

 

 スオウ・フォールスというのは一体何だ?


「何か問題でも?」

「……少し、だが、まぁ……。ゴドラウの記憶に加護持ちを探る能力者がコンフェデルスに居るらしい。場所を掴まれる可能性を考慮しておいてくれ、そこまで精度は高く無いらしいが、コンフェデルスが全ての情報を晒しているとは思えないからな。ゴドラウの死亡とフィーア・ルージュの強奪は恐らく数日は伏せられるだろうが、目や根が居た可能性までは否定出来ない」

「わかりました」


 “関係者”以外は近づくものが居れば殺せ、と言外に伝えた後、軽くこめかみを揉んだ。


「少し休む、フィーアを頼んだ。三時間程で戻る」

「……わかりました」


 震える手は収まらず、部屋から出ると同時にその震える手を乱暴に廊下の壁へと叩き付けた。

 ガン、と一際高い音が廊下に響き、手の甲から血が垂れる。

 それをぼんやりと見た後、軽く頭を振って苦笑した。


「動揺でもしているというのか? くだらない、“自分”が不明瞭である事などとうの昔に予測していたじゃないか」


 ハ、と鼻で笑った。

 そして右腕を引きずる様にして一つの部屋へと向かった。

 

 雨の音が壁を叩く、廃屋であるが故に一部の部屋以外は乱雑としており、取り敢えず雨露を凌げる程度でしかない。

 その中でもわりかし手を入れたもう一つの部屋の扉を開く。その部屋は本で溢れていた、隅に申し訳程度にベットが置かれていたが、それも枕元は本で埋まっており、仮眠が出来る程度のモノだ。


 その奥、やや中央よりの机の上、積上った蔵書の中で黒髪の少女が一心不乱に本を読んでいた。ちろちろと揺れる魔術の光は手元を照らすだけで他の場所は薄暗い。

 スゥイの手の中、すり切れた表紙に、所々落丁しているかの様に見えるそれは恐らく盗み出したモノの一つだろう。


 部屋に入ったのに気が付いたのか、こちらを振り向いたスゥイの表情はやや驚きが見えた。


「お約束のものを手に入れてきました」

「……そうか。無事だったか、怪我は無いか?」


 僅かな沈黙の後に答えた。


「えぇ、罠はスオウに教えてもらった通りでしたので。禁書に関しては予想はほぼ当りでしょう。解読はまだですが、カナディル連合王国がなぜ加護持ちに干渉出来る刻印を作り出せたのか解明出来そうです。青月に干渉している様な理論にも思えますし、そもそもあの青月が本当は一体何なのか、興味は尽きません。まぁ暫く時間は頂きますが」

「クラウシュベルグへと戻ってアイリーンにも手伝ってもらえ、多少ははかどるだろう」


 近くにあった本を持ち上げ、答えた。

 僅かに埃が被ってしまっているそれを手で払い、表紙を見る。それは歴史書の一つだった。既に記憶している一冊だ。


「……どうかされましたか?」

「どうかしたかのように見えるか?」


 眉を顰めた。

 スゥイは本を置いてこちらへと近づいてくる。


「いつもの貴方でしたらまず最初に手に入れた書物に興味を持ちそうだったもので」

「そうかもしれんが、心配ぐらいはするさ」


 単独で禁書エリアへと潜り込んだのだ。致死レベルの罠が存在する所に放り込んだ後で心配しない程愚かではない。

 鼻で笑おうと思ったが、思わず止めた。

 左手で口を隠し、眉間に皺が寄る。


「お前から見てスオウ・フォールスとは何だ?」

「……は?」

「他者から見た観点の人物像がその人物を形成する土台の要素として考えるのもまた有るのではないかと思っただけだ。つまり、スオウ・フォールスという人物は他者によって形成され、構築された人格である、と。いや、これは違うか、くだらん事を言った、忘れてくれ」


 ひらり、と手を振って会話を切り上げた。

 記憶を操るクラウシュラ、意思を誘導する呪刻印、面倒な話だ。そもそもが自分自身もまた操作されているのではないか、という考えが浮かんでしまう自分自身に辟易する。自分は自分だ、操作されているかどうか、その疑念は解決しようがないのだ。であるならば、今の自分、として決意するしか無いのだ。


 ――そう、無いのだ。


「邪魔したな、明日俺も解読に加わる」


 そう言って部屋を後にしようとした、が、腰に押し付けられた重みに再度眉間に皺が寄った。

 腰にまわされた手から相手はスゥイで有る事がわかる。


「なに、をッ――!」


 問いが終わる前にぐり、と言う音がしそうな程勢いづけられ、身体強化したであろうスゥイにそのまま傍に置いてあった仮眠用のベットへと押し倒された。

 そして馬乗りになり見下ろしたスゥイはまるで勝ち誇ったかの様な笑みを浮かべ告げて来た。


「右腕が完全に死んでいる様ですね、左腕だけで外すには少々時間がかかります。私に怪我させるほど本気を出すとは思いませんでしたし」

「さっさとどけ、疲れてるんだ」


 ぎし、と仮眠用のベットから起き上がる。ばさばさと枕元に置いてあった本が地面へと落ち音を立てた。


「ここで寝て行けば良いではないですか、添い寝して上げますよ」

「襲われたいならそうしてやる」

「襲う勇気もないくせに口だけは達者ですね」


 ふぅ、とため息を吐いた。どうやら余程ご機嫌斜めな様だ。

 めんどくさ気にスゥイの腰に手を当て、その場から退かせようとした所で左手を強引に捕まれ、ベットへ叩き付けられる様に縫い付けられた。


「おい」

「……別に私としては貴方がどうなろうと知った事では有りませんが、貴方に死なれるのは非常に困ります。貴方は私にとっての後ろ盾であり、貴方が居ないと生活が立ち行きません。確かに以前程無力では有りませんが、それでも庇護が必要な年齢なんです。その当り理解されていますか?」

「その年齢で状況をそこまで正確に把握しているなら十分にやっていけると思うがね」

「生憎と不必要な苦労まで背負い込むつもりは有りません、楽であるならそれに越した事は無いので」

「俺の傍に居るだけで余計な苦労が舞い込んでくるんだがな、今回の件含めそうは思わないか?」

「生憎と好きでやっている事ですので。私が嫌だ、と言えば強制はしないのではないですか?」

「さて、状況によると思うがね」

「思いません」


 じ、と黒い瞳がこちらを射貫く。

 美人が怒ると怖いというが、美少女が怒っても怖いものだな、と他人事の様に考え、僅かに笑う。


「何がおかしいのですか?」

「いや、失礼。この年に成って女性に組敷かれるとは思っていなくてね。さらに同年代ときたモノだ、ヒトによっては喜び感涙するんじゃないか?」

「喜び感涙して頂いても構いませんよ、なんでしたら毎日してあげましょうか?」

「悪いね、残念ながら俺にそんな趣味は無いんだ」

「目覚める趣味も有ると思いますよ」

「俺の中にはそんなものは無い」


 沈黙、すぅ、とスゥイの目が細まった。


「前々から思っていましたが、貴方は自分の命を軽く見積もっていませんか?」

「まさか、自分の命を大切に思っているよ。だからこそ手回しし、力を欲した。奪われない為に」

「それは貴方の命の勘定が抜けていませんか? 貴方の回りの大切な物を、という前提での話でしょう?」

「大きな勘違いだなスゥイ、大切な物なんていくらでも変わる。まぁ、けど今の所俺が欲しいのは一つだけだよ、エゴの塊に過ぎない」

「真実が知りたい、と言っていましたね。それは貴方が貴方である証が欲しいと言う事だと。けれどそれを欲していながら自分の命を軽く見ている。その頬の傷、コンマ数秒違えば死んでいました。貴方はその時恐れましたか? 死を恐れないヒトは既にヒトではありません」


 ベットに押し倒された時にだろうか、アリイアに巻かれた包帯が僅かにズレており、そこから痛々しい傷口が見えていたようだった。

 スゥイは頬の傷をゆっくりと撫でた。

 ぴりぴりと僅かに刺激が頭に届き、僅かに頬が引き攣る。


「貴方は――、ここに生きているのですか?」


 この世界に生きているのか? と。

 スゥイの黒曜石の様な瞳に再度射貫かれる。目を逸らす事は出来なかった。答えは決まっていた。


「それが、――欲しいのかもな」


 答えとともに目を見開いたスゥイは目を伏せ、そして抑えていた腕を離し、覆い被さる様に胸元に頭を置いた。


「結局の所……、逃げているのですよそれは」

「かもしれないな」

「心臓の音が聞こえます、貴方の生命の音です。貴方は確かに生きているのです」

「生憎と、そんな事は知っている」


 それは肉体的な意味ではないのだから。

 

 こちらの答えに満足したのか、それとも諦めたのか、心音を聞くかの様に胸に耳を当てていたスゥイが目蓋を閉じた。

 それを退ける気力はもはや湧いて来なかった。


 ○


 心音が聞こえる。

 ゆったりとした動きの中、静かな吐息が頬を撫でる。


 僅かに開いた目の隙間から見えたのは年相応の寝顔だ。


「私は子を産めません」


 呟いた言葉は“アリイア”の言葉だ。


「だから貴方が枷となるのもまた良いのかもしれません、が」


 それもまた“アリイア”の言葉だ。


「守るものを守ろうとする彼を殺す時、私は何を感じるのでしょうか」


 そして最後のアリイアの言葉、伝えられた言葉は、凍る様な音を持っていまだ耳に残っている。


「共に墮ちるのも好みでは有るのですが、ね」


 つ、とスオウの頬を撫でた。

 心配をしなかったと言えば嘘だ、先ほど言った言葉は真実だ。

 スゥイはヒトを好きになるという気持ちがわからない。愛するという気持ちがわからない。

 両親が壊れてしまったが為に、わからない。わかりたくない。


 彼が来た時に驚き最初に無事を伝えなかった事は薄情だろうか?


 目を閉じた。彼の心音が聞こえる。とくとくと、とくとくと、今日はゆっくりと眠れそうであった。


 ――母を殺す夢をスゥイは初めて見なかった。それをスゥイは覚えていないのだが。

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