プロローグ ~いつもと同じ朝~
今日も、いつもと同じ満員電車に乗る。
何も変わらない日常。
社会の歯車の一つとして、毎日が、忙しく同じように、過ぎていく。
課長になって、半年が経った。ようやく、仕事は、慣れてきたが、忙殺される毎日は、変わらない。
今日は、何時に帰れるかな。
水曜日。一週間の真ん中だが、既にかなり疲労が、溜まり始めている。
しかし、金曜日には、新規プロジェクトの資金調達を募る為の金融機関や投資家たち一同への合同説明会がある。
今が踏ん張り所だ。そんな事を考えながら、満員電車に一時間ほど揺られて、会社の最寄り駅に着く。
会社近くのいつもと同じコンビニで、朝飯に、おにぎり一つとアイスコーヒーを買って、会社のビルへと入っていく。
弊社は9時始業だが、私はいつも8時には自分のデスクに着いている。
ノートPCの電源を入れる。
立ち上がるまでの間に、さっき買ったおにぎりを頬張り、アイスコーヒーで流し込む。
食べ終わる頃には、ノートPCが立ち上がる。
メールアプリを開き、海外支社から夜中に受信している大量のメールを捌き始める。
一人、また一人と、課員たちが出社しては、各々の業務を開始する。
弊課では、毎週、月曜日、水曜日、金曜日に、第1会議室で、朝会を行う事にしている。
9時に始業のチャイムが鳴るが、その数分前から、全課員が第1会議室に移動し、始業チャイムと同時に朝会を始める。
各自が、業務の進捗状況や懸念事項、今後実施する業務等を5分程度で述べていく。
課員が15人いるので、朝会だけで、1時間が消化されていく。
10時を過ぎた頃に、全員の発表が終わり、各々が会議室から出て、自席に戻っていく。
私は全員の発表を聞いて、業務の調整や懸念事項への対応策を少し考えて、最後に席を立ち、会議室を出ようとした所、入社2年目の期待の男性課員が入口で待っていた。
「課長。すみません、少しだけお時間宜しいでしょうか?」
11時から、部長へ新規プロジェクトについて説明する予定があり、その準備をしたいのだが、ここで無下に断ると、今の時代、すぐにパワハラ認定されてしまう。
その上、彼の表情がいつもと違うように見えたので『少しなら時間は取れるよ。』と言って、二人で第1会議室の中へ戻った。




