1日目
今日も生き延びてしまった。
何もない、何もしない、何にも関わらない。
だって何かしたらきっと最後の扉が開くから。
人と関わるのは怖い。
話してしまえば、視界に入ってしまえば、意識してしまえば、それがどこの誰であろうと殺してしまう方法を自然と考えてる。
そんな自分に気付いてしまった。
だからもう人と関わりたくない。
この最後の理性が残っているうちに風化していく石のように消えてなくなりたいと心の底から思う。
きっといつか脳内で完全犯罪が成立した瞬間にやってしまうから。
それが現実的かどうかは問題じゃなく、自己の中で成立しただけできっと。
だからこうして電気も付けない、誰もいない、ただキャンドルの揺れる光と甘い香りに包まれて惰性で時を過ごす。
気が付いてたら死んでいたらいいのに。
この繰り返しから抜け出したいのか、そうじゃなく変えたいのか。
何もわからない。
わからない。
わかりたくない?
何もコントロールなんてできない。
狂気が目覚めないでくれ。
テレビも冷蔵庫も洗濯機もないこの部屋で、朽ちるまで時が流れてほしい。
そうすればきっと俺は俺の狂気に呑まれない。
幸せ、未来、希望
なんだよそれ。
結婚、子供、社会生活
ただの絶望だろ。
ああ、ただただ静かな空間で何も意識しなくていい状態でそのまま死んで朽ち果てる。
それ以上の幸せで希望に満ち溢れた未来なんてありはしないんだよ。
助けてくれるというなら殺してくれ。
頼むから。
ほんとに心の底からそう言ってるんだ。
誰も理解なんかしてくれやしないが。