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死亡対策と近衛と王位継承権




私が暗殺による死を免れるには、どうしたら良いのだろうか。


美味しい紅茶を口に運びながら考える。


これについてだが、対策の余地がある気がするのだ。


というのも、当てがある。

当てがあるというか、むしろ当てがないというか。


おそらくゲームのセレニアが、昨日までの自分と同じ思考回路だったとしたら、きっと当てがなかったのだろうなと思うのだ。


なんの当てがないのかって?

それは、近衛の、である。


セレーニオンの近衛という概念について、前世を思い出した今となっては、すごく混乱するから、一度整理しておこうと思う。


近衛とは、ただ一人の王族を主と定めて付き従う存在である。

つまり、お父様の近衛は、お父様だけの近衛であり、一応王太女の私の命令であろうと聞かない。

それと同じように、私のまだ見ぬ近衛たちは、私のためなら、お父様の命令を無視する。

そういう権利を有しているのだ。

お父様も私も、命令に逆らわれたとしても、その相手が誰かの近衛であれば、咎めることができない。


だから私の近衛は、私だけの剣で、私だけの盾。

絶対的な味方、なのだ。


そしてなんと、近衛になれるのは武力に優れた騎士のみというわけではない。

主のみのために尽くし、主を守るための一助になる能力持つ者ならば、誰でもなんでもありの特殊集団なのである。

実際、お祖父様の近衛には、戦闘では強くないが、深い医療に対する知識と回復特化の魔法技術を持つ方がいたとか。


セレーニオンの王と、王位継承権第三位までは、この絶対的な味方を持つことができる権利を有している。


この特権、国王(つまり今はお父様)的には内心複雑じゃない?反乱起こしやすそうな感じで。と思うのだが、いまだかつでどの国王も、この制度を廃止しようとしたことはないのだろうだ。

不思議である。


あ、これは余談なのだが、セレーニオン王国の王位継承資格は、男女を問わず、長子継承制だ。

つまり、日本だと皇室は男系男子のみだったけれど、ここでは女性君主も当たり前で、産まれた順に決まっていく。

ただ、ここが特殊なのだが、王家に産まれた子供が金色の瞳を持っていた場合のみ、順位が入れ替わり、即刻第一位になる。

だから、長子であり、金色の瞳を持つ私は当然のように王位継承権第一位に据えられている。


この継承制度だが、複雑なことに、長子継承制ではあるものの、双子の場合は、能力差で決めるとされている。

というのも、この国では双子に長幼の順をつけないのだ。

どちらが姉でどちらが妹か、生まれた時に決めないから、長子継承が成り立たない。

つまり、現在の王位継承権の話をすると、私が一位なのは先述の通りだが、フローレンスとウェンティスが二人とも同率で二位で、三位はいないのだ。

この、ちょっと中途半端じゃない?と思わずにいられない長子継承制のせいで、私が死ぬと、フローレンスとウェンティスが争うことになってしまうのである。


…これ、近衛のシステムも王位継承権のシステムも、ゲームテキトーに作ったせいで、世界が頑張って帳尻合わせてたりしない?

それとも、私が知らないだけで、未完成な国家ってこんな欠陥ありそうな制度で成り立ってるもんなの?


というのはまた後で考えるとして。


私は、この制度についてお父様直々に伝えられた時に、「誰が絶対的な味方で誰がそうでないのかを、ちゃんと見分けられなければ、その先に待つのは地獄だぞ。」「よくよく考えろ。お前は抜けているから不安だ。まずは疑ってかかれ。」と言われた。


それで、そこまで言われてしまうと普通に怖いし、近衛はしばらく付けなくていいなぁ。別に忠誠誓ってくれてそうな人もいないし!と、思ったのだ。


が、今は、もしかしたら、そんな風に先延ばしにしていたせいで、暗殺されたのではないか?と思う。


セレニアがもっと周囲に目を向けて、セレニアだけの最高の近衛になり得る人たちを見つけることができていたら、その人たちと協力して暗殺者を退け、生き残ることができるんじゃないか。


正直、見極めを失敗してお父様の言う地獄みたいな事態になったらどうしよう!と思わないでもないのだが、死ぬ未来を、生きる未来に変えるには、ちょっとくらいリスキーでも、それなりに大きな変化を起こさないといけないんじゃないかと思うのだ。

バタフライエフェクトだとか言うけれど、蝶々を100匹捕まえたところで、私の死亡予定が覆るとは思えない。


ということで私は、ひとまずの行動目標を、私の近衛の編成にすることにした。





ありがとうございました!

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