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××××が職場にいるとやりにくい。  作者: 夕藤さわな
【05.欠勤編】

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25/33

05-05 胃痛が追加されました。

 ……ーン、ピンポーン。


 ――うるさい。


 ……ピンポン、ピンポン、ピピピピピピンポーーーン!


 ――聞こえてるよ。


 けたたましいチャイム音に千秋は薄目を開けた。チャイムを鳴らすだけじゃ飽き足らず、ドンドン! と、ドアまで叩いている。大声で千秋の名前を叫んでもいる。

 ぼんやりとした頭で、陽太の犯行だと確信した。


 すぐにでも玄関を開けて、


「ヒナ、近所迷惑だからやめろ!」


 と、怒鳴りたいところだけど身体が言うことをきかない。


 ――無断欠勤、しちゃったかな。


 昨夜、仕事を終えて帰ってくる途中から嫌な予感はしていた。

 念のため、帰り道のコンビニでスポーツドリンクを買って床に転がしておいたのだけど。結局、ふたを開ける体力も残っていなかった。

 横になって、次に目が覚めたときにはもう、だるくて、だるくて。起き上がることも、指一本、動かすこともできなくなっていた。


 ――今、何時だろう。


 陽太が来ているということは定時間後。十八時は過ぎているのだろうか。

 たっぷり寝たせいで、少しだけど体力も回復した……気がする。


 ベッドからずり落ち、床を這うように移動して玄関へと向かって。でも、すぐにだるくなって。一休みして、また少し這って、休んで――。


 そのあいだも、チャイム音は引っ切り無しに鳴り続けている。


 ――はいはい。今、出ますよ。


 心の中で返事をしたところで聞こえるわけがない。


 ***


「大家さんですか? こちらです!」


 外が急ににぎやかになった。陽太の声もするけど、陽太の声だけじゃない。

 それに大家さんまで来ているなんて、どういうことだろう。不思議に思っているうちにガチャン、とカギの開く音がした。

 直後に勢いよくドアが開く音もした。


「千秋ぃ~!」


 にぎやかな足音を立てて部屋に上がってきた陽太に、千秋は抱きしめられた。


「生きてる? 千秋、息してる!?」


 ぜぇぜぇ……と、荒い息をしているのが聞こえないのだろうか。

 陽太の見当違いな質問に千秋は心の中で苦笑いした。


 と、――。


「警察です! 事故ですか、事件ですか?」


「自殺よ、自殺!」


「違うわよ、大家さん! 殺人事件よ!」


「救急です! 小泉さん、意識はありますか? 意識はありますか!?」


 雪崩れ込んでくるたくさんの足音に薄目を開けて、千秋は体調不良とは全く別の脱力感を覚えた。


 ――ヒナ、何をしたらこういう状況になるのさ。


 どういう状況かは、さっぱりわからない。

 でも、陽太がやらかして招いた結果だということだけは、よくわかった。

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