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悪役令嬢の異世界終焉戦争〜一人の少女が巻き起こす悲劇の物語〜  作者: 偽りの箱
学園編 第3章 始まりの兆し、壊れていく世界《にちじょう》
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 まずい...ここで相手の手に落ちるのは私たちにとって最悪

の出来事でしかない。そもそも、相手はなぜ私を狙っているのだろうか?狙うのなら、SSランク冒険者であるアルベドさんの方が妥当なはずだ。所詮、私はただの一般学生に過ぎない...目を付けられることは何もしていないはずだ......多分...もし本当に相手が私の身柄が目当てなら殺されはしないだろう。無理に抵抗せずに、一度手のひらの上で踊ってみた方が相手も油断するかもしれない。


「アルベドさんここは私に任せてください...!」


「...わかったわ、ここはあなたに任せるわ」


「ありがとうございます」


 理解が早くて助かる。アルベドさんは私が何をしようとしているのか瞬時に理解し、手を収めてくれた。アルベドさんがSSランク冒険者になれたのは、引き際を理解していたからだろう


「話し合いは終わったのか...?」


「私たちの話し合いを待ってくれるなんて、優しいじゃない」


「ハッ...!笑わせんじゃねぇよ、この状況化の中ではお前らは俺に手も足も出ねぇ...だから何を企んでようが俺には関係ねぇってことだ」


「そうね、確かにこの状況化なら私たちは動けない...だから決めたわ」


「ほぅ~...で?いったい何を決めたんだ...?」


「あなたに従うわ」


「そうか、もう少し骨があるやつらだとは思っていたんだがな...残念だ」


 魔剣の咆哮が止まり、体が自由に動くようになる。


「あなたにとってはいいことなんじゃないの...?」


「あぁ、そうだな...俺らにとってはいいことかもしれないな」


 グレンのテンションがあからさまに下がっていた。それは言わずもがな、私たちが抵抗をやめてしまったからだろう。いわゆる戦闘狂というやつだ。


「お前には寝てもらうぞ...俺たちの拠点を知られちゃ困るからな」


「どうぞお好きに...」


 その程度の事は想定済みだ。十中八九闇ギルドの元へ連れて行くのだろう。それはもしかすると、私にとって有益な情報をもたらしてくれるかもしれない。


「リンちゃん...本当に大丈夫?」


「心配ありがとうございますアルベドさん...でも、大丈夫だと思います。相手が本当にっ私が目的なら殺しはしないと思いますし、自分の身ぐらい自分んで守ることはできると思います」


 ついでに、アルベドさんの世界能力も、使用可能な状態になった。いざとなれば、全員拘束して逃げ切ることだってできるだろう。


「そう...リンちゃんを信じるわ」


「ありがとうございます」


「うん...何もできなくてごめんね...」


「アルベドさんは十分にやってくれています...ここから先は私自身でどうにかして見せます」


 これ以上アルベドさんに何かを求めるのは間違っている気がする。彼女は冒険者を引退した身だ。これ以上むやみに、事件に巻き込むことはないだろう。アルベドさんには、平穏な日常を送っていてほしい。


「終わったか...?」


「えぇ...話したいことは話したわ」


「ならお前には少しの間、眠っていてもらうぞ」


「構わないわ」


「すべてを飲み込め...『暴食王(グラトニー)』《ダークホール》」


 魔剣から発せられる咆哮の時とはまた違った、高音で強制的に意識が遠のいていく。次に起きた時には、奴らのアジトの中...闇ギルドにいるだろう。それまでは、ゆっくり休ませてもらうとしよう。


「リ...ンち......ゃん」


 任せてください...アルベドさん、うまく立ち回って見せますから。そこで、私は意識を手放した。


「ようやく、意識を失ったか...ダークホールを食らって、1分以上意識保てることができたやつを見るのは始めてだな...」


「グレン...!リンちゃんに取り換えしのつかないことが起これば、今度こそ私はフル武装であなた達の闇ギルドを潰しに行くわ」


「前の仲間みたいにか...?」


「...えぇ、悲劇は繰り返されるものよ...?知らなかった?」


「知ってるさ...俺が一番よくわかってる」


「ならわかってるわよね...?これが元仲間としての最後の忠告よ、リンちゃんを無事に返して...!これが破られた場合、私は今ある最大戦力で世界を破壊へと誘うでしょう......これは、提案ではなく命令です。そこのところを頭に入れておきますようお願いします」


 殺気の籠った声色で、淡々と話していくアルベドはまさしく人類の敵と言ってしまっていいほどの禍々しいオーラを放っていた。そして、尋常じゃないほどの殺気に少しでも気を緩めれば、意識が持っていかれてもおかしくはなかった。


「......頭に入れておくよ」


「お願いしますね...私はこれ以上は我慢ができませんので...」


「あぁ、上にもそう伝えておくよ...それじゃ、こいつは預かっていく」


「......」

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