誘拐
「この『暴食王』の魔剣はな、とある魔人族から殺して奪い取った物だ!俺は他の奴らとは違って魔人族を殺せる男だぜ?万が一にもお前に勝ち目はねぇんだよ!分ったならおとなしく突いてこい」
確かにあの男は魔人族を殺して奪ったのだろう。「魔剣」は自ら認めた物意外には大きな呪いを施すという。その呪いは、一生癒えない傷となり体を蝕んでいき、やがて死に至る。魔剣とはそういうものだ。人の手に扱える物ではない。
「能書きはいいからさ...早くかかってきなよ?私はあなたたちについて行くつもりもないし、ここに長いするつもりもないの......だから、早く終わらせましょ...?」
「そうか...そんなに死にてぇのか、いいぜ...!お望み通り殺してやるよぉぉぉ!!!!!」
男が地面を蹴り、魔剣を振りかぶり私めがけて振り下ろす......
「なっ!?」
ことはできなかった。魔剣を振り下ろそうとした瞬間に、突如地面から生えてきた鎖に拘束されてしまったからだ。
「そこまで...!これ以上ここで暴れるのなら私もそれ相応の対応を取らないといけないのだけれど、それはお互いに取って、望まない結果しか生み出さないとは思わない...?」
「なんだぁ?お前...どっから沸いて出てきやがった...!」
「どこから...?ここからだよ?」
そう言い、後ろにある自身のお店に指を指し、こう言い放った。
「人の店の前で、暴れられるとこっちとしても困るのよ...?ねぇ...暴食のグレンさん?」
「へぇ~...俺のこと知ってんのか?」
「えぇ...だって冒険者の中であなたは有名だったもの...けど、あなたは変わってしまったわ...闇ギルドのせいでね」
闇ギルド...これは、私が知らない情報だ。悪滅のゲームに、冒険者ギルドはあっても、闇ギルドという名前を聞いたことがなかった。
「闇ギルド...ねぇ〜」
「昔のあなたは若者にも慕われていたSランク冒険者だった...それなのに、なぜそのようになってしまったの?」
「フハハハ!!お前がそれを言うのかよ...!」
グレンの持つ魔剣が更にどす黒く輝き出し、無理やり鎖の拘束から抜け出そうとする。
「どれもこれも...お前のせいなんだよ!史上最年少SSランク冒険者になったお前がなぁぁぁあ!!!!!」
だが、鎖はピクリとも動かなかった。それどころか、拘束力ご更に強まっている気がする。
「ようやく、わかった気がするぜ...お前の力の根源を」
「それで...?私の力の正体がわかったところで、あなたはこの鎖から逃れるすべはあるのですか?」
「ある...と、言いたいところだが...俺にはどうすることもできねぇな」
「でしたら、このまま引かれたらどうですか?それと、今後リンちゃんに手を出さないでください...この条件を飲むことができるのなら、今回のことは不問として見逃してさし上げます」
「なんとまぁ...SSランク冒険者には相応しくない発言をするもんだなぁ...?」
「元SSランク冒険者なので、ギルドに報告したとしても無駄ですよ...?そもそも...あなたがギルドに赴いたとしてもギルドはあなたを相手にしないわよ...?」
「ハッ...!そのつもりは毛頭ねぇよ、ここでお前をらを殺すすことで俺はさらなる高みに立てるってもんだ...!」
「ですがこの状況でどうするつもりですか...?あなたは拘束されたまま、身動きがとれないではないですか...?」
確かに...グレンは拘束され身動きがとれない...にも関わらず、余裕の籠もった表をしている。それが、ポーカーフェイスなのか、はたまた本当にまだ何かあるのか...だが何かしら警戒しておいた方がいいだろう。
「誰がここにいる奴らで全員って言ったよ...?俺らはお前はが言っていた様に闇ギルドの人間だぞ?得物は確実に仕留めるのが仕事だ...残念だが、今回の得物はアルベド、お前じゃねぇんだよ」
そういえば、アルベドさんが乱入してきて曖昧になっていたが、元々は私を狙ってきた相手だったのをつい忘れる所だった。だが、アルベドさんが乱入してくれたおかげでこちらの方が圧倒的な優位に立てていることは変わりはない。だからこそ、そこに隙が生まれやすくなる......
「これでチェックだ...アルベドそこの女をよこせ、それなら、無駄な血を見なくてすむ」
「今の状況でよく交渉ができるわね...?あなたの立ち位置が分っていないようね」
「違うな...お前らが俺の命を握っているんじゃねぇ、俺がお前達の命を握っているんだよ!」
「本当にそうかしら...?」
「あぁ...?何が言いたい」
「分らなければいいのよ、それがあなたの限界...SSランクまでいけなかった原因じゃないかしら?」
「そうか...そんだけ死にたいなら、今すぐ殺してやる!吠えろ!『暴食王』!!!!!!!!!」
グレンがそう叫んだ瞬間「魔剣」がうねり声を発するかのように、とてつもない音が当たり一面に鳴り響いた。
「な、何...!?この嫌な音は!」
「分りません...!こんな音初めて聞きました、体がまともに動かない......でも、この音の中なら相手の方も動けなくなる...は...ず.......」
「あ~ようやく出られたぜ...この窮屈な鎖の中からなぁ」
「そんな...!?」
グレンを拘束していた鎖が弱まり、鎖の拘束から抜け出していた。それに比べ、こちらは、『暴食王』が放った咆哮で、両方ともダウンしてしまっている。
「くっ...!私としたことが、こんなことでやられてしまうとは、情けない......」
「SSランク冒険者とあろうものが、この手に引っかかるとは...冒険者も落ちた物だな」
「元...ですけれどね」
「こいつはもらって行くぞ...」




