終わりのない戦い
最終局面に入り。戦いはより激しく佳境に差し迫っていた。
「中々しぶといですね」
やはり、能力を模倣したからと言って劇的に強くなるわけではないか。
結局のところ、使用者の使い方は下手ならばその能力は宝の持ち腐れとなってしまう。今の私がその状況に陥てしまっているのは言わずもがな、世界能力自身の性能に振り回されてしまって体が追い付いてこない。
相手は一歩、足を踏み出すだけで、こちらの間合いを詰めてくるのに対し、私はそれを躱すので精一杯だった。唯一回復能力のおかげで、致命傷になっていないだけであって回復能力がなかったらすでに5回ぐらい死んでいてもおかしくないだろう。
それでも私が劣勢なのは変わらず、お互いに決定打が打てない状況が続いていた。
「そろそろ、くたばってほしいのですがねぇ」
「ハァハァ...まだこれからでしょ!」
私が一歩踏み出し、アルビオンとの間合いを詰めロングソードでの一閃を放つ。
しかし、アルビオンが一歩後ろに後退するだけで、私の放ったロングソードは空を切り、アルビオンに届くことはなかった。
「そんなへなちょこの攻撃が私に届くことはないでしょう!」
そのまま、後ろに後退していたアルビオンが前に飛び出し、私の心蔵めがけ強烈な一撃をたたき込んでくる。
「クッ!」
それを寸前のところで躱すも、避けきれず肩に強烈な一撃を食らってしまう。しかし、致命傷でなければフェニックスの羽衣で、一瞬で治療ができてしまうてめ何の問題もない。
「本当にあなたのその能力は厄介ですね...私はあなたに決定打を与えられず、またあなたも私に決定打を与えられていない、こんなにじり貧な戦闘は初めてですよ......ならもっと早く切り刻む必要がありそうですね」
「レイピアで切り刻む?アルビオンあなたは何をい......」
「誰も私の持ち武器がレイピアなんて言っていないですが?」
「まさか!?」
「今頃気がついてももう遅いですよ!」
すべてを察した私はフェニックスの羽衣で体全体を覆い防御の体制に入る。
アルビオンの戦い方は、スピード特化の近距離戦...ではなく、遠距離戦で自分の有利な位置から敵を狙うこと、つまり......
《纏う鎧は弾け集う・一つの形を成して・敵を穿つ物となる》《ロード・オブ・プロメテウス》
アルビオンの本当の柄物は......2丁拳銃、すなわちピストルだ。
「回復されるのなら、回復速度が追いつけない位に相手を痛めつければ、問題はないですね!」
アルビオンが地面を蹴り、縦横無尽に駆け回る。先ほどと違い私の方に向かってくるのではなく、木を足場にして移動している。
「さて、あなたはどこまで耐えられるでしょうか?」
アルビオンピストルを私めがけ乱射している、そのすべてを私のフェニックスの羽衣が防ぎきる。
「やはり、この弾じゃあの壁は越えられませんねぇ~...なら!」
《装填・雷双ゲイボルグ》
雷の銃弾を拳銃に装填し、標的を捉える。
「貫け、ゲイボルグ!」
雷の銃弾がフェニックスの羽衣と衝突した瞬間、フェニックスの羽衣を貫通しそのまま私お腹を貫いた。
「コポッ...」
これは...まずい!ここでアルビオンの接近を許してしまったら私の死が確定してしまう。体制を立て直さないと......
「そこが君の限界みたいだね!」
クッソ...本当にここまでなの?
こんなところで終わっていいの?
私はまだ何もしていない......なら、こんなところで終わっていいはずがない!それが、分かっているのならやることは一つ...全力で迎え撃つ!
「カハッ...こんなところでくたばることなんてあり得ない!」
《装填・炎双ブレイズルミナス》
アルビオンが炎の銃弾を装填する。
《炎剣・サウザンドレイク》
そして私はロングソードを地面に突き刺し、千本の炎のロングソードが空中に漂う。
「燃えさかれ、ブレイズルミナス!」
「焼き尽くせ!サウザンドレイク!」
二つの深化がお互い、使用者めがけて突き進んでいく。
アルビオンは木をうまく使いながらサウザンドレイクを次々と躱していく。
私はと言うと、サウザンドレイクの何本か使いブレイズルミナスを止めていた。しかし、ブレイズルミナスは減速するどころか、サウザンドレイクが割られていくたびに炎を吸収し威力が増している。
これは、先に深化を当てた方に勝機の道が開かれる。
「なら、先に当てるしかないでしょ!」
「その、サウザンドレイク...どこまで持つか見物ですね」
ここが正念場だぞ、私!
すべてを出し尽くせ!