過去の因縁
「これが、クローズ・ド・リユニティを結成しようと決めた事件でした」
「どういうことですか?話が全くつながらないんですけど」
理事長が子供のころに辛いことを経験したことは理解できた。だが、そこからクローズ・ド・リユニティを結成しようと決めたと言われてもピンとこないのだ。
「つまり、あなたは幼馴染のミレディという人を助けるために作ったと考えていいですか?」
「えぇ、それは正しくもあり、間違ってもいるわ」
「どういうことですか?」
「つまり!彼女は、幼馴染になど執着していないという事さ!」
「......」
「彼女は、幼馴染ではなく違うものに惚れてしまったのだよ!ここまで言えば頭のいい君ならわかるだろ?」
「さすがに、今の話しとそこまでのヒントを出されたらバカでもわかりそうですね」
つまり......
「理事長....あなたは魔人族のその強さに見惚れてしまったんですね」
「そう!彼女は魔人族の強さに心を打たれた!そこから彼女はクローズ・ド・リユニティを立ち上げたというわけさ」
この話が本当だとしたのなら、クローズ・ド・リユニティは......
「君の思っている通り、この世にもう一度魔人を降臨させるための組織さ」
魔人を降臨させるための組織....それは、禁忌に触れるけ研究と言っていいだろう。それをこの人は、やっていたのだという。 だが、一つ気になることがある。
「理事長....一つだけ聞かせてください、魔人の降臨には成功したんですか?」
「いいえ、成功しなかったわ」
やはり成功していなかった。それもそうだろう、魔人の降臨に成功していたのなら、理事長という役職についていないはずだ。何かしらの要因があり、魔人の降臨は不可能と結論付けたのかもしれれい。私は、魔人の研究をしたことがないので、憶測でしか物事を図ることしかできないが、それでも彼女は何かしらの経験を経て、今のこの立場に収まったのだろう。
「実際には、一度だけ降臨を成功させることができたわ」
「......」
前言撤回、降臨は成功していたみたい。やっぱり、憶測で物事を考えるものではないわね。なぜかはわからないけど私の横から、ジト目で見てくる敵のアルビオンがいるのだが
なぜだろうか?
「実際には、失敗よりの成功って言った感じだったんだけれどね....」
「どういう事ですか?」
「魔人を降臨させることには成功した....だけど、それ以外のいすべてを奪われてしまったわ」
「すべてを奪われた?」
「そうです、奪われたんです....研究所も、人もみんな魔人族の一人にやられてしまったのです」
世間一般では、魔人族は人をおもちゃの様に殺すと言い伝えられてきている。話の中で出てきた、ガレットという魔人が特別だったのかもしれない。邪神の話しにしたって、おかしい点がないわけでもない。
「その魔人は、こう言っていました『裏切者は必ず殺す』....と、多分それがガレットの事なのでしょう」
「裏切者ですか....」
「私には、さっぱりわかりませんでしたが魔人族の間で何かがあったのは間違いないのでしょう」
また、話が分からなくなった。ガレットという魔人族が同じ魔人族に目の敵にされている状況。中々きな臭いことになってきている気がする。
「ですが、私にはどうすることもできませんでした....あの魔人族を倒すこともできず、また一人だけ生き残ってしまったです」
魔人の降臨に出くわし、二度も生き残っているのまぎれもなく理事長だけだろう。だがそれだけに、その時の記憶が鮮明に残ってしまい後悔する羽目になる。あの時ああしてればよかっただとか、こうしていれば助けられたのではないかとか、考えてしまうのではないだろうか。
「だから私は近いました、魔人の研究はここで終わらせようと....これは私が始めた事です、なら私が終わらせるのは必然だとそう思っていました、ですが研究を終わらせたかったのは私だけのようだったのです」
「ここからは、私が話させていただきましょう」
スネークブラッド五傑、アルビオン......こいつは、危険だと最初出会った時から私の頭が警報を出していた人物。彼に敵意らしいものがなかったので、無視をしていたのだがここで出てくるのは、想定の内だった。彼からスネークブラッドの成り立ちを聞くとしよう。
「そもそもの話しですね、魔人族を降臨させる技術を手に入れたクローズ・ド・リユニティをそのまま、解散させるとお思いですか?答えは否です、その力を上の連中は見逃すわけがありませんでした」
「でも、クローズ・ド・リユニティの研究していた人たちは全員、魔人が降臨した時に死んだんじゃ....」
「そう!現場にいた人たちはね?」
「まさか!あのジジィどもが、作ったっていうの!」
「その通りだよ、元老院の人たちがこの組織を組み立てたんだ!」
元老院....また新しい単語が出てきた、私は最後までこの話についていく事ができるのか心配になってきた。
本当に大丈夫だろうか......