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犬喫茶

 私たちが椅子に座ると、犬たちが足下に集まってきた。本当に人なつっこい犬だね。撫でても全然嫌がらない。むしろもっと撫でろとばかりに集まってくる。すごくかわいい。


『なんだこの殺人毛玉』

『このお店の犬、人なつっこすぎない?』

『やべえ、俺もここ行きてえ……!』


 とってもいいお店だよ。癒やされる。


「飲み物は決まった?」

「あ、私はオレンジジュースで! リタちゃんは?」

「ん。同じもので」


 すぐにジュースが運ばれてきた。飲んでみると、甘いけど酸味が感じられる味だ。こっちではみかんみたいな果物ってこういう味らしいね。みかんもどきとは全然違う。どっちも美味しいけど。

 犬たちは、私たちにじゃれつくのが飽きてきたのか、少し離れたところで遊び始めた。別の犬の体によじのぼろうとしたり、失敗してころんと転がったり。見ていてとっても和む。


『子犬が遊んでるのを見るのすごく好き』

『わかる。とてもかわいい』

『動画見てたらいつの間にか時間が飛んでるよね……』

『あなた疲れてるのよ。いやマジで休め』


 限界を迎える前に休もうね。

 まだ足下にいるままの子犬を抱き上げてみる。すごくふわふわもふもふ。ちなみに足下には小さい犬だけじゃなくて、大きめの犬もいる。ハスキーっていう犬種らしい。誰かがフォレストウルフに似てるって言ってた子だよね。大きさだけの話だっけ?

 確かに似てると言われれば似てるかもしれないけど、そこまでだよね。何よりも色が全然違うし。フォレストウルフは森に紛れることを想定していたのかわりと緑色だったからね。

 ハスキーを撫でてみる。子犬とはちょっと感触が違うけど、こっちもふわふわだ。


「真美。この子持ってて」

「え? あ、うん」


 子犬のじゃれ合いを眺めていた真美に私が抱き上げていた子犬を渡す。ハスキーに両手を差し出してみれば、両前足をぽふんと置いてきた。賢い。


「わあ! なにそれかわいい! 私もやりたい!」


 私よりも真美の方が大興奮だけど。


『賢いわんちゃんやなあ』

『多分いろんな人に求められて覚えたんじゃなかろうか』

『うちのわんこより賢い……教えようかな……やってくれるかな……』

『そこはがんばれとしかw』


 でも教えたらやってくれるんだね。それはすごいと思う。

 たくさんの犬を撫でながらジュースを飲んでいると、少しずつ人が増えてきた。スーツ姿の人もいれば、学生服の人もいる。みんな、犬と遊ぶのかな。

 その人たちは店内に入って私たちを見つけると、ほとんどの人が驚いてるみたいだった。でもみんな、犬と遊ぶことを優先してる。気付けばそれぞれの人にちゃんと犬が遊びに行っていた。

 私たちの側には少なくなったけど、みんなが遊んでるのを見るのもいいね。店主さんが言うには、常連さんにはお気に入りの子がいるんだって。犬たちもそれをなんとなく察してるらしい。


「リタちゃん、ごめんね。満足できたかな?」


 店主さんがそう聞いてきたので、最後まで残ってくれてるハスキーをなでなでしながら頷いた。


「ん。すごく楽しかった」


 だからまた来たい。あのもふもふはすごく気持ちよかったから。


「それじゃあ、リタちゃん。そろそろ行こっか?」

「ん。そうだね」


 人も増えてきたし、そろそろお店にとっても邪魔かも。そう思って、真美と二人で立ち上がる。すると、店主さんが少し慌て始めた。どうしたのかな。

 店主さんが店の奥に走って取ってきたものは、スマホだった。


「あ、あの! 最後に写真、いいかな!?」

「ん? いいよ。少しぐらいなら」

「お店に飾ったりとかは……?」


 写真を、かな? 正直それに何の意味があるのか分からないけど、私の方は特に問題ない。勝手にやればいいと思うよ。いつかのコスプレイベントの写真がたくさん出回ってるぐらいだから、今更だ。

 でも、さすがに真美はだめ。真美は私と違って、この世界で生活してるからね。認識阻害の魔法があるから写真を飾られても問題はないはずだけど、念のために気をつけておいた方がいい。


「真美。ごめん。ちょっと待ってて」

「うん。一緒に写れなくてごめん」

「ん。それは気にしなくていいから」


 真美には扉の側で待ってもらいながら、私は店主さんにたくさんの写真を撮ってもらった。何枚か見せてもらったけど、なかなか良い写真になってたと思う。

 最後に真美のスマホで真美と一緒に撮ってもらってから店を出た。真美の家にもプリンターがあるらしいから、あとで見るのが楽しみだ。




 次の場所はさっきのお店から三十分ほど歩いた場所にある猫喫茶だ。ある程度転移したから、五分ほどしかかかってないけど。

 そこのお店はさっきのお店と違って、猫がたくさんいるんだって。楽しみだ。


「ここ?」

「ここだね」


 猫喫茶にも行くと咲那に伝えたら教えてくれたそのお店は、大通りから外れた場所にある静かな区画にあった。ビルの一階にあるみたいで、すごく広く造られてるみたい。看板には、自由に猫たちと触れ合えますとあった。

 猫。猫もかわいいよね。どれぐらいの大きさなのかな。


「猫ってどれぐらいの大きさ? これぐらい?」

「大きすぎるからね?」


 腕をいっぱいに広げて聞いてみたけど違ったらしい。猫もちっちゃいんだね。それは楽しみ。


『基準が精霊の森の魔獣だから仕方ないけど、毎度のスケール違いに笑いそうになるw』

『リタちゃんはアニマル動画を見るべきでは?』

『名案かもしれない』


 アニマル……。動物だっけ。動物がたくさん見れる動画かな。真美に聞いてみたら、そうだと頷いてくれた。それは見てみたいかも。


「美味しそうな動物もいるかな」

「リタちゃん!?」


『アニマル動画で食べ物を探そうとするなw』

『この野生児ちゃんはさあ! ほんとにさあ!』


 ん。だめだったみたい。少し控えよう。日本にいれば、食べ物には困らなくて済みそうだし。


壁|w・)アニマルビデオにしようと思いましたが、リタには動画の方が通じるのではと考え直してアニマル動画にしました。



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― 新着の感想 ―
[一言] アニマル動画 野生でも、動画に撮れるような;動画に撮られるような動物は絶滅しちゃうから、食っちゃ駄目(笑)
[一言] リタちゃんはプロのわんこにご満悦の様子 そういえば大学のときどこかの下宿が不思議なハンバーグを出すって話を聞いたことがあったな なんでも妙な食感のその肉が出た翌日から近所の野良猫を見なくな…
[一言] ふむ、そこは動物園とかに行けばいいのでは?もちろん動画がお手軽でしょうけど転移でどこでも行けるならふれあいパークがあるような所もいけるでしょうからね。 所でリタちゃんって日本円持っているので…
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