情報収集!
聞く相手はとりあえず……店主さんで。
「店主さん、聞きたいことがある」
「ひっ……!」
「ええ……」
『ガチビビリである』
『まあ目の前であんな光景が繰り広げられたらなあw』
『大丈夫だよ店主さん、リタちゃんかまないから』
私は犬じゃないよ。わんわん。
「聞きたいことが、ある。いいよね?」
「あ、ああ……。な、なんでしょうか……」
「すごく丁寧になってる……」
『気にしてやるなよ』
『店主さんはね、怖かったの』
『目の前で人が吹き飛んでいってたからなw』
店主さんには何もしてないのにね。あ、でも、お店に穴が空いちゃったのは申し訳ないと思う。店主さんは悪くないから、修理してあげた方がいいのかな。
「ごめん。お店に穴を空けちゃったよね。修理した方がいい?」
「い、いや! いい! あいつらに弁償させるから!」
「ん……。分かった」
店主さんが何もしなくていいって言ってるなら、何もしないでおこう。
「それじゃあ、聞きたいことだけど」
「ああ……」
「スラムに大きな犯罪組織があるよね? 子供を誘拐してるって聞いてるけど」
「な……。そ、それを聞いてどうするつもりだ?」
「壊滅させる」
「は……」
おー……。店主さんが絶句しちゃった。と思ったら、なんだか小刻みに震え始めてる。なんだかひどく怯えてるけど……。どうしたんだろうね。
「お、俺も……」
「ん?」
「俺も……構成員だ……」
「…………」
なるほど。
「殺した方がいい?」
「ひぃ……!?」
『相手に直接殺すべきか聞くのは草なんだ』
『やめたげてよお!』
『情報を吐いたら見逃してあげる、でいいのでは?』
『司法取引ってやつだな!』
『なんか違う気がするw』
司法取引。日本であるやつなのかな。正直に話す代わりに減刑する、みたいな感じだと思う。是非はともかく、ここではいいかも。
「じゃあ、教えてほしい。教えてくれたら、店主さんは見逃してあげる」
「ほ、本当か!?」
「ん」
店主さんはすごく嬉しそうだけど、大丈夫かな。周りの人がちょっと殺気立ってる。多分、構成員が含まれてるのかも。
守ってあげた方がいいのかな、とちょっと思っていたら、その周りの人が叫び始めた。
「おい! ずりぃぞ!」
「お、俺も! 俺も正直に話す! だから見逃してくれえ!」
「こんなやばいやつが関わってくるなんて聞いてなかったんだよ!」
わあ。なんだか思ったよりも多いね。
『必死である』
『やばいやつ扱いw』
『構成員多いなあ。もしかしてたまり場とか、そんな感じなんか?』
改めてみるとほとんど全員、だね。中には何も言ってない人もいるけど、そんな人たちは黙ってどこかに行ってしまった。
逃げたのか報告なのか……。報告だったら話が早くていいんだけど。
「聞きたいことだけど……。本拠地っていうの? どこにあるか分かる?」
「あー……。すまない。俺は下っ端だから、上のやつらがどこにいるかは知らないんだ」
「へえ……」
「あ、で、でも待ってくれ! 幹部がここに来る時がある! それを待てばいい!」
「いつ来るの?」
「え……。さ、さあ……?」
「…………」
『論外じゃねえか!』
『何の情報も! 得られませんでした!』
『処す? 処す?』
いや、さすがにこれぐらいで怒ったりはしないけど……。でもなんだかみんな顔色が悪い。お互いにちらちらと視線をやっていて……。本当になんだろう?
「ど、どうすんだよ……。俺らあの人らの場所なんて知らねえぞ……」
「な、なあ。いっそあいつを全員で襲った方が……」
「バカお前、今の壁にささってるあいつら見ろよ。手段も分からないのに二の舞になるだけだぞ」
「何もせずに殺されるよりはマシじゃないか……?」
「それはそう、なのか……? だめだわからねえ……!」
んー……。ここでは情報は得られない、かな? 別のお店に行った方がいいかも。言い方は悪いけど、ここにいても時間の無駄になりそうだから。
それに……。他に心当たりもできたからね。
「分かった。もういいよ」
「え……。い、いや待ってくれ! すぐに! すぐに思い出すから……!」
「ん……。別に殺さないから安心してほしい。軽く結界をかけていくから、この建物から出ないでね。裏切り者って思われてるかもしれないから」
「そりゃありがてえけど……」
じゃあ、次の場所に行こうかな。次はもうちょっとちゃんと情報が得られるお店だといいな。
酒場を出て、建物全体に結界を張ってあげる。とりあえず翌朝までの維持にしておいた。今日中には終わらせるつもりだからきっと大丈夫。
それじゃあ……。追いかけようかな。
壁|w・)情報収集(失敗)!





