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獣人国のギルマスさん

 動かなくなってしまったおじさんは放置して、ギルドの奥、カウンターへ。もうその時には周りの人の視線がちょっと変になってしまっていた。恐る恐るとこちらをうかがい見てる人が多い。


『めっちゃ警戒されてね?』

『仕方ないじゃん、人が死にかけてんだぞ』


 だから殺そうだなんてしてないってば。

 とりあえずカウンターについて……。どうして受付のお姉さんも緊張してるの? 私、何もしないよ?


「よ、ようこそ、魔女様。どのようなご用件でしょうか?」

「ん……。ただの挨拶。それだけ」

「そ、そうですか! よかった、さっきの文句かと……」


 いや、別にそんなことするつもりないよ。まあ、ああいうのはやめた方がいいとは思うけど。

 とりあえずルドガーさんとも合流できたし、これで終わりと思ってたんだけど……。


「Sランクが来てるらしいな?」


 カウンターの奥から誰か出てきた。

 出てきたのは、なんだかたくさんの髪……髪? たてがみって言うのかな? それがある人。ライオンの獣人さんだね。二足歩行のライオンみたいな人だ。


「ギルドマスター!」


 受付さんがそう言った。なるほど、この人がギルドマスター。


『らしいっちゃらしいけど』

『ライオンがギルマス……。定番すぎてつまらん』

『わんこのギルマスでもいいと思うんだ!』


 ちょっと視聴者さんたちは失礼すぎると思う。


「ちょっと来てもらっていいか?」


 ギルマスさんがそう手招きしてくる。んー……。どうしようかな。


「何か用があるならここで聞くけど」

「あー……。詳しい話を聞きたくてだな……」

「用がないなら帰るよ」


 挨拶しに来ただけだから。それよりもごはんが食べたい。美味しいごはん。

 私がそう言ってきびすを返すと、慌てたのはルドガーさんだった。待ってくれ、なんて言いながら、ギルマスさんに言う。


「ギルマス、久しぶりだな。ところで何か、こう……。食べ物はないか?」

「あん? 腹が減ってんのか? それならメシも注文してやるよ」

「ギルマスの故郷の料理とか……どうだ?」

「は? いや、かまわんが……。どうした……?」


 ふむ……。ふむ。それはつまり、ギルマスさんのお話を聞けば、そのギルマスさんの故郷の料理が食べられるってことだね。それなら話は変わる。ごはんが食べられるなら付き合うよ。


「分かった。聞く」

「ええ……。じゃ、じゃあこっちに来てくれ……」

「…………。魔女殿は実は扱いやすいのか……?」


『ルドガーさんが真実に気づきつつある』

『そうなんすよ。その子、食べ物をエサにすればほいほいついていくんすよ』

『あめ玉一つでついてきそうw』


 さすがにそこまでではないけど……。そんなに分かりやすいかな?

 ちょっとだけ疑問に思いながら、ギルマスさんの部屋に向かった。




 カウンター奥のドアを抜けて、さらにいくつか廊下を通って、階段を上がって。そうしてギルマスさんの部屋にたどり着いた。

 ギルマスの部屋ってどこも似てるのかな。部屋の奥にデスクがあって、中央に来客用のためなのかソファやテーブルもある。壁際には大きな剣。ギルマスさんの武器かな?


「さてと……。まずはメシだな。取ってきてやるから待ってろ」

「ん。どんな料理?」

「おう。香草で巻いて焼いたもの……」


 香草……?

 ちょっとだけ私が警戒したのが伝わってしまったのか、ギルマスさんは言葉を止めてルドガーさんをちらりと見た。そしてなるほどと頷いて、


「魔女殿……。ルドガーのメシを食ったんだな……」

「ん」

「あそこの里はな、嗅覚がおかしいんだ。俺のはまともだから安心してくれ」

「ギルマス。怒るぞ」

「テメエの鼻がおかしいことは自覚しろやマジで」


 そう言って、ギルマスさんは部屋を出て行った。ルドガーさんの故郷は、もしかすると獣人族の中でも特殊だったりするのかな。もちろん悪い意味で。


『悲報、ルドガーさんの故郷、獣人族から見ても嗅覚が異常だった』

『くちゃい料理はルドガーさんの故郷だけかw』

『逆に本当にどんな場所なんだよw』


 私もちょっと気になってきた。積極的に行きたいとは思えないけど、それでも一度見に行くのはいいかもしれない。臭かったらやめるけど。


「魔女殿。勘違いしないでほしいのだが、俺の故郷は普通だ」

「普通」

「そうだ。あの素晴らしい香りを理解できない者がおかしいだけで……」

「つまり私がおかしいと。なるほど分かった」

「いや待ってほしい。そういうつもりじゃない。頼むから」


 そういう意味にしか聞こえなかったけどね。

 でも……。ルドガーさんからすれば、故郷で育ったならそれが普通だったわけで。ある意味では、ルドガーさんからの視点では周りが騒ぐ理由が理解できないのかも。

 人は慣れる生き物だから。きっと、そういうことなんだろう。


「ギルマスさんの故郷の料理はどんなの?」

「ああ……。でかい肉に香草で香りをつけて、塩を振ったシンプルなものだ。だが、その肉が絶品でな。肉汁があふれて、美味しい」

「おー……」


 それは……すごく美味しそう。早く食べたい。


「是非ともあの肉で俺の故郷の……」

「それ以上言ったら怒るよ」

「口に出すことすらだめなのか!?」


 口に出したら本当に作り始めるような気がするから。さすがに次は本気で怒っちゃうかもしれない。ルドガーさんには悪いけど。

 落ち込むルドガーさんを放置して少し待つと、ドアが開かれて料理を持ったギルマスさんが入ってきた。


壁|w・)あめ玉でつれる魔女!


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― 新着の感想 ―
>壁|w・)あめ玉でつれる魔女! やべぇ、簡素な釣り竿の糸に飴玉結び付けてたらしたら ぱく!ってリタちゃんが食いついた絵が浮かんだw 飴玉は何がいいかな?  今手元には、メントールの甜茶飴しかないん…
ルドガーさんのお母さんは嫌がってたし嫁いで来た人だったのかな? 結婚式にあの料理を出したら里に嫁いでくれる人が居なくなったって歴史がありそう……
まあ世の中には臭い靴をわざわざ嗅ぐ動物もいるからね!
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