ギルドの反応
四人を引きずっててくてく歩く。途中で大きい人が目を覚ましてまた剣を振り上げて襲ってきたから、剣だけをばくっとしておいた。顔が青くなって、その後は引きずられるまま。これで安心だね。
『持っていた剣が手元数センチ残して消失した人の気持ちを答えよ』
『恐怖以外の何がありますか?』
『商人さんが泡吹いてるぞw』
起きていたらうるさいだけだから、そのまま気絶しておいてほしい。
他の人も何も言わなくなって、大人しく引きずられてる。最初は歩こうとしていたけど、また何かされるとそれも面倒だし、立とうとしたら魔法で転がしてる。最初は抵抗していたけど、今はもうみんなされるがままだ。
「どうして……こんなやつがいるんだよ……」
「魔女が出てくるなんて……」
「ちくしょう……」
『ざまあとしか思えない』
『殺していいのは殺される覚悟のあるやつだけだ!』
『なんか違うw』
因果応報、だっけ。そういうものだと思うよ。
ギルドに到着。隣の酒場はルドガーさんがあの料理を作った場所だ。みんなが私の方に怪訝そうに視線を向けてくる。
みんな私を怪訝そうに見ていたけど、私が引きずっているものを見ると目の色を変えた。あり得ない、とでも言いたげに。
「どうなってんだありゃ……」
「どうしてあの人たちが?」
わりと有名、なんだね。今回の一件で評価は地に落ちると思うけど、これからまた頑張って欲しい。
私が受付の前まで行くと、そこにいたお姉さんは頬を引きつらせたまま聞いてきた。
「いらっしゃいませ。あの、その人たちは……」
「強盗みたいなもの。裏道で襲われた」
「強盗……? その人たちが?」
「そう」
信じられないとでも言いたげな受付さん。受付さんでもこの人たちを信じていたのなら、とてもうまく隠していたらしい。それはそれですごいと思うよ。
私が捕まえていた三人のうち、女の人が叫んだ。
「た、助けて!」
「はい?」
「こいつにいきなり襲われたの! あたしたちが護衛していた商人さんも掴まっちゃって……! こいつ、あることないこと言って、あたしたちを売り飛ばすつもりよ!」
いや、急に何を言ってるの? 受付さんも困惑してるよ?
『かなりめちゃくちゃ言ってる』
『本当にそうだして、なんでギルドに来るんだよって話なんだよなあ』
『バカなのかな?』
バカなんだと思うよ。
でも、それを信じる人もいるらしい。その部屋にいた一部の人は、険しい顔になって私のことを睨んできた。
そしてそれは、受付さんも。
「どういうことでしょうか? 詳しいお話を伺いましょうか」
私のことを睨んできてる。私が悪いとでも言いたげに。
このギルド、大丈夫なのかな? ちゃんと調べもせず確認もせずに疑うって、それはだめだと思うよ。だってそれをするということは。
私も、怒っていいってことだと思うから。
少しだけ魔力を解放。この部屋にいる全員に叩きつける。物理的な衝撃はないはずだけど、みんな魔力を感じ取ることぐらいはできるみたいで、顔を蒼白にしてへたり込んでいた。
受付さんを見る。ひっと短い悲鳴を上げて後退った。
『何があったし』
『あれだよあれ。魔力の解放とかそういうの』
『俺らには分からないやつだ』
『かなしみ』
これだけはどうしても、ね。映像に出すのは難しいから。
「仮に、こいつの言う通りだとして」
杖で変なことを言った魔法使いさんを指し示す。それだけでひぅっと変な声を出してる。もうちょっとがんばってほしい。
「私に何の得があるの?」
「お、お金……とか……」
「お金には困ってない。本当にお金が欲しいなら、あなたを殺してお金を奪う方が手っ取り早いよ」
もちろんそんなことはしないけど。でも本気だと思ってしまったのか、魔法使いさんはぷるぷると震えてしまった。もうちょっと、どうにかならないの?
内心で呆れながら受付さんに向き直る。受付さんも何故か震えてる。そこまで怖いことはやった覚えがないんだけど。
「こいつらが、私を襲ってきた。間違いなく殺すつもりだった。だから捕まえて、連れてきた。分かった?」
「で、ですが……。この者たちはギルドに貢献していてですね……」
「まともな方法で貢献していたのか疑わしいね」
商人さんの逆恨みの依頼を受けて襲ってきたぐらいだからね。普通の依頼でも、他の誰かから何かを奪っていたとしても私は驚かない。
それにしても……。そろそろ、ちょっと面倒になってきた。もういいかな。まだ続くようなら、一応は命を狙われたことだし、さくっと殺すけど。早く美味しいものを食べたいから。
その意志を込めて杖を向ける。きっと察したのだろう、三人組が悲鳴を上げて、
「何の騒ぎだ!」
カウンターの奥から誰かが出てきた。
「おー……」
たてがみ! ライオンみたいな獣人さんだ。かっこいい。しっかり手入れしてるのか、もふもふしてるのが分かるたてがみだ。おじさんみたいだけど、もふもふしたらだめかな?
その獣人さんは私を見て、何故か頬を引きつらせた。
「おい……。お前ら、この子にケンカ売ったりとか、したのか……?」
「ケンカ、というわけでは……。その、ギルドに貢献してくれているパーティを捕まえてしまっているので、誤解を解こうと……」
「アホが。その子はSランクの隠遁の魔女殿だ。スタンピードを一人で解決してしまうような化け物相手にケンカ売るな。この街が滅びるぞ」
「むう。そんなことしないよ」
「するかしないかじゃない。できるだろ?」
「できるけど」
ぴかっとすれば、この街ぐらいは消滅させられるから。可能かどうかで言えば、可能だね。
「やはり魔女は化け物しかいないな……」
「また化け物って言われた……」
二回も言われた。ちょっとひどいと思う。
『まあ事実ですしね?』
『こんなにかわいいリタちゃんを捕まえて化け物だなんて!』
『ちょっと際限なくごはんを食べるだけなのに!』
『ちょっとぴかっとして相手を消滅させるだけなのに!』
『化け物だったわ』
怒るよ?
壁|w・)ぴかってするぞ!





