精霊様の嫉妬、よりもカレー!
精霊の森に戻ってきた。お家の前に転移して、ドアを開く。
「ただいま」
「ああ、おかえり」
師匠がのんびりと本を読んでいた。頭の上にはなぜかカリちゃん。何やってるのかな。
「カリちゃんは何やってるの?」
「なかなかーいい感じなのでー」
「地味にうっとうしいから引き取ってくれ」
「ええ……」
だったら自分でどかせばいいのに。
カリちゃんは仕方ないですねー、なんて言いながら、今度は私の頭の上に移動してきた。頭の上がお気に入りなのかな。そんな様子なかったと思うんだけど。
『人の頭の上が大好きなペット枠』
『ペット枠が限定的すぎるw』
『にしても、リタちゃんをのせてるカリちゃん、かわいいなあ』
『かわいいはいいけど逆だ逆』
『リタちゃんが上はもう虐待なんよ』
小さすぎて乗りにくいからね。能力的な意味なら、カリちゃんは管理精霊だったから人一人の重さ程度気にしないだろうけど。
「師匠。牛タンカレーあるよ。世界樹に行こう」
「おー。いいな」
師匠、カリちゃんと一緒に世界樹の前に移動。すでに精霊様は世界樹の前にいて、そしてちょっとだけしょんぼりしていた。
「精霊様……?」
『しょんぼり精霊様』
『何があったし』
何か、大変なことでもあったのかな。私はいつでも手伝うけど。優先は精霊の森だし……。
「リタが……真っ先に行くのが家になってしまいました……」
「え」
「コウタが、コウタがいるからですか……!? 私に! 母性が足りないのですか!?」
「…………」
『草』
『師匠を優先されて拗ねる精霊様』
『そして無言でカレーを取り出し始めるリタちゃん』
いや、だって……。まあ、うん。師匠を優先してるのはそうかもしれないけど……。
「結局どっちにも行くから一緒だと思う」
「違うんですよ! こう……気持ちが違うんです!」
私には分からない。どっちでもいいと思ってしまう。むしろ精霊様はあまり動けないんだから、師匠を連れてきた方が無駄がない。
「まあまあ、リタ。俺がこっちに転移してくればいいんだから、世界樹に来るようにしよう。精霊様もそっちの方が嬉しいだろうから」
「なんですか勝者の余裕ですか!?」
「うわめんどくさ」
『シッショwww』
『いやまあ確かにめんどくさいけどw』
どっちでもいい、とやっぱり思ってしまうよね。
「そんなことよりも私はカレーが食べたい。早く座って」
「そんなこと!? 私にとってはとても大事な……」
「座れ」
「はい」
『すん』
『カレーを前にしている時のリタちゃんを怒らせてはいけない』
『緊急事態ならともかく、謎の嫉妬だからなw』
精霊の森に何かあった、だったらそっちを優先するけどね。何もないなら、私は早くカレーが食べたい。牛タンカレー。食べよう。牛タンカレー。
ぱぱっとお米を用意して、牛タンカレーをたっぷりと。もちろん牛タンもいっぱいだ。師匠と精霊様、そして小さい器に入れてカリちゃんに。最後に自分の分を用意して、と。
「いただきます」
んー……。
「やはりカレー。カレーは全てを解決する」
「お前は何を言ってるんだ」
「コウタ、リタが地球に毒されてる気がするのですが」
「俺もそんな気がする」
『ごめんやで』
『ちゃうねん、リタちゃんがいろんなものを読んじゃうのが悪いねん!』
『だからついついネタを教えてしまうねん!』
「教えてんのかい」
視聴者さんはいろいろ教えてくれるよ。いろんな言葉や意味があって楽しいと思う。
「それにしても、やっぱ牛タンは美味しいなあ。この食感がいいんだよ……」
「そうなの?」
「子供の頃は嫌いだったけどな……」
私は牛タン好きだけどね。
「デザートにずんだ餡の大福もある。食べよう」
「食べようって言いながら開封するのはさすがだよもう」
「食いしん坊になっちゃいましたねえ……」
「誰の教育だろうな」
「誰かが日本の料理の再現に失敗していたからかもしれませんね」
「黙秘する」
『たまにリタちゃんが語るおもしろ料理エピソードがなかなか楽しいです』
『カレーを作ろうとして茶色の水になったりな!』
『アイスを作ろうとして牛乳を凍らせた話が俺的ベスト』
「やめて?」
それでも、当時の私にとっては美味しいごちそうだったんだけどね。まあ、日本の料理を食べると全然違ったんだってなったけど……。でも、試行錯誤して再現しようとしてくれてたのは分かるから、そんな師匠の料理は今でも好きだよ。
「たまには師匠のカレーも食べたい」
「うん。あのなリタ。今のタイミングだと皮肉にしか聞こえないからな?」
「あれ?」
『草』
『やはり魔女は人の心が分からないのかw』
『人の心が分からない悲しき魔女……!』
私だって怒るよ?
ずんだ餡の大福は、そのままずんだ餅とあまり味は変わらないけど……。柔らかいお餅に包まれていて、食感はまたちょっと違ったものだった。これも美味しい。
「もぐもぐもぐもぐ」
「…………。まあ、俺はリタが幸せそうにご飯を食べていたら満足だよ」
「ふふ……。そうですね」
『幸せそう……?』
『無表情にしか見えないんですがそれは』
「幸せそうだよ」
ここには師匠も精霊様もいるからね。みんなで美味しいものを食べる。とても、幸せ。
そんな私の頭を師匠が撫でてくれた。好きな撫で方だ。
「んふー」
師匠と精霊様はなんだか二人で笑っていた。
壁|w・)やはりカレー、カレーは全てを解決する!
なお、ちゃんとしたお話だったのなら、ちゃんと精霊様が優先されます。
次回からは、また獣人国……に行く前に、お師匠視点のお話が入るかも?





