松島
「ええ……。俺のおすすめでいいの?」
「ん」
「じゃあ……。松島かな。とても景色がいいんだ。あと、俺の知り合いも飲食店やってるから紹介するよ。まだホヤを出してたはずだから」
「ほや?」
「ホヤ」
ホヤ。なんだろう。聞いたことがない。食べ物、なんだよね? 飲食店って言ってたから。
『ホヤはな、海のパイナップルとも呼ばれてる美味しい食べ物だ』
『果物なん?』
『いや、なんて言えばいいんだろう、あいつ……』
『どういうことだってばよ』
説明がしにくいってことだね。それはちょっと見てみたいかもしれない。美味しいらしいし、食べられるなら食べたい。
「分かった。行ってみる」
「ああ。でも最後に」
「ん。写真だね」
「あざーす!」
ということで、店主さんと写真を撮って、握手。
「ちっこくてぷにぷにだ……」
『おいテメエぶっ殺すぞコラ!』
『お前の動画炎上させてやるからなあ!』
『幼女の手をにぎにぎした変質者だってな!』
「やめろよ! しかも否定しにくいし!」
にぎにぎしたのは事実だよね。私は何も気にしてないけど。
「ありがとう。美味しかった」
「あ、いや。こちらこそ。初のコラボ配信者になれて光栄でした」
「ん……?」
『言われてみれば、確かにコラボ配信は初かも!』
『これをコラボ配信だと言い張るのは首を傾げるけど、まあコラボ配信だな!』
『羨ましいのでやっぱり炎上させます』
「やめて?」
コラボ配信。確か、他の配信者さんと一緒に配信をやること、だっけ? そう考えてみると、店主さんも配信をやってるみたいだし、コラボ配信って言えるのかも。
店主さんにお店の場所を聞いて、転移することにした。ホヤ、どんな食べ物かな。
転移した先は、松島の上空。是非とも海の方を見てほしい、なんてコメントがあったからそうしたんだけど……。
「おー……」
これは、うん。確かにすごい。大きな島があるわけじゃなくて、小さな島がたくさんある。不思議な場所だ。
『松島在住の俺、大歓喜』
『空からの景色がすげえ』
『日本三景、なんて言われてる場所の一つだよ』
それだけ綺麗な景色ってことだね。確かにこれはなかなかすごいと思う。
「でも景色なら精霊の森だって負けてない」
『なんでそこで張り合おうと思ったw』
『リタちゃんの森は森しかないから……』
『でも世界樹はすごいと思う!』
一面の緑の絨毯にそびえる、おっきな精霊様の世界樹。私の森もすごいと思う。だめかな?
景色を楽しんだ後は、改めてご飯。目印がないから探しにくいけど、磯島という人工島に近いらしい。
磯島もちょっと気になる。人工島、だって。島を作ったってことだよね?
「島を作るって、良くも悪くも日本人はおかしい」
『そこまで言う?』
『だが待ってほしい! 日本だけじゃないから! 地球のあちこちだから!』
『でも言われてみるとわりとおかしい気がしてきたw』
使いやすい土地が欲しかった、というのは分かるけどね。
磯島は……あそこ、だね。お船の形みたいになっていておもしろい。確かにこれは天然ではあり得ない形かも。
そこから、北西の海の側で……。お店の前でそこの店主さんが手を振ってくれてるはずで……。あ、見つけた。
その人の側に転移。突然目の前に現れた私に驚いていたけど、すぐに笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい! 待っていたよ!」
そう言ったのは、女の人。白い服を着てる。この人が店主さんなのかな?
「店主さん?」
「ええ。あいつから電話がかかってきて、馬鹿なことを言ってると思ってたけど……。まさか本当にリタちゃんが来るなんて!」
『扱いが地味にひどいw』
『昔からこういうやつなんだよ……』
『幼なじみかな? 羨ましいやつめ。炎上させてやる』
『ことあるごとに俺の動画を炎上させようとするのやめて?』
お肉の方の店主さんももう動画に戻ってきてるみたい。お片付けとかはいいのかな?
改めて、目の前の店主さんにお店の中に案内してもらう。お店はわりと古風というか、昔ながらのお店、みたいな感じ。もちろん日本の、だよ。
店主さんが言うには、先代の彼女のおじいさんから継いだお店なんだとか。
「お父さんじゃないの?」
「父さんは普通のサラリーマン。ちなみに客として毎日来てるよ」
「へえ……」
『ええんかそれでw』
『娘の店なんだかそりゃ応援したいだろ。かっこいい親父さんじゃないか』
『こういう店、絶対に安くないだろうに、尊敬するわ』
「魚に飽きてきたって言われた時は殴ってやろうかと思ったけど」
『草』
『毎日来てるならそりゃ飽きそうだわなw』
『でも飽きてきたは確かにキレるw』
それでもやっぱり毎日来てるらしくて、それだけ美味しいってことだと思う。
お店に入ってみる。お店は、入ってすぐの部屋はカウンター席になっていた。カウンターは右側にある。そしてお店の奥は、お座敷、だって。畳の部屋になっていて、机がいくつか置かれてるらしい。
でも……。
「ほとんど満席だね」
『ねえこれお父さんいる?』
『お父さん来なくても絶対に困らないよなこれ』
『お父さんの存在意義が問われる』
さすがにかわいそうだから、それ以上はだめだと思うよ。
壁|w・)ほやほや。
今年の投稿は今日が最後となります。
今年もありがとうございました!
来年ものんびりまったり続けていきますので、よろしくお願いします。
新年の更新は通常通り1月3日です。
それでは、良いお年を!





