表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
475/484

お化け屋敷


 お昼ご飯を食べてすぐに激しい動きのあるものは避けるべき、みたいなことを言われたから、あまり動かないものに行くことになった。つまり。


「お化け屋敷」

「おばけ?」

「お化け」


 怖い施設、らしい。ただ危ないことはないらしいから安心だ。


『お化け屋敷はね、幽霊とかが出てくるんだよ!』

『暗がりから急にわっと、とかな』

『雰囲気からして怖いから』

『俺、ここのお化け屋敷怖すぎて無理』


「ふむふむ……。えっと、幽霊とかが出てきて、怖がらせてくる、みたいな感じらしい」

「幽霊? ゴーストってこと? 倒せばいいの?」


 んー……。でも、日本がそんな危険なことをさせるとは思わないから……。違う、はず。多分。


『くっそ異世界との常識の違いが!』

『なに? あっち側にはゴーストみたいな魔物でもいるの?』

『幽霊は存在しているだけで怖いんだよ! 触れられないし!』


 ああ、なるほど。つまり。


「ゴーストが出ても攻撃しちゃだめ」

「だめなの!? そっか、それは確かに、怖いね……。一方的に襲われるだけなんて……」

「ん」


『待って違うそうじゃない』

『つまり反撃できるなら何も怖くない、てこと!?』

『リタちゃんマジで攻撃しちゃだめだからな? ほんとだめだからな? 中の人、普通に日本人だからな?』

『おいシッショ! テメエも笑ってないでなんとか言え!』


 振り返ると、師匠がお腹を抱えてうずくまっていた。お腹痛いのかな? おトイレ行く?

 そんなことを話していたら、私たちの順番になった。何故か案内してくれる係の人の顔が引きつってるけど、どうしたのかな。


「あ、あの……。絶対に、攻撃とか、魔法とか、だめですよ?」

「ん。大丈夫」

「わかりました!」

「ほ、本当に分かってる……? えっと……。はい、どうぞ。…………。骨は拾うよ、みんな……」


『ぼそっと最後につぶやくなw』

『諦めるなよwww』


 それじゃあ、出発だ。ちなみに師匠も一緒で、後ろからついてきてる。基本的には何もしないらしいけど。

 てくてく歩いて建物の中へ。建物は洋館みたいな感じだけど、なんだか暗い雰囲気だ。中も、廃墟をイメージしてるみたい。

 とりあえず暗いから魔法で明るくしよう。ん、これでよし。


「やめなさい」

「いたい」


 師匠にチョップされてしまった。理不尽だ。


『魔法禁止って言ってるでしょうが!』

『お化け屋敷が明るくなったら怖くなくなるでしょうが!』

『一切の魔法禁止です!』


「むう……」


 魔法を使ったらだめだなんて、ずるいと思う。だって、暗いと危ないよ。足下とか……。まあ、いいけど。ちゃんと配慮してくれてるって信じるから。

 でもやっぱり暗いのは危ないから、せめて暗視の魔法を使おう。アルティにも使ってあげるね。これでよし。


「ありがとう、リタ」

「ん」

「…………。もう、何も言うまい」


『おい何があったシッショ!?』

『お前何を諦めたんだ!?』


 大丈夫。問題ないよ。

 てくてく歩いて建物の中へ。暗視の魔法のおかげでちゃんと中を見通せるから安心だ。暗がりに潜んでいる人もちゃんと分かる。そして勢いよく出てきたのも。


「…………」

「…………」


『お化けさんが黙って戻っちゃった……』

『一切驚かれずに無反応とか』

『ちょっとは驚いてあげて?』


 いや、だって、見えるから……。何も驚くことがない。とりあえず進んでいこう。


『いや、あの、普通に歩くスピードなんですが』

『お化け屋敷って、もっとこう、こわごわ進むものなんですが……』

『これはあれや! 急に驚かせるやつに期待や!』

『言うなバカ!』


 驚かせるやつがあるんだね。どんなのだろう?

 ドアがあった、開けてみると、死角から急に人形が出てきた。すごくぼろぼろの、死体を模したみたいな人形だ。


「わ……!」


 アルティがちょっと驚いたけど、少しして、


「り、リタ! これ人形だよ! すごい! リアル! すごい!」

「ん。とてもすごい」

「すごい!」

「驚く意味合いが違う」


 師匠が何か言ってるけど、気にしない。


『俺分かっちゃった。驚かせることはできても怖がらせるのは無理だこれ』

『多分幽霊に対する捉え方が根本的に違うやつ』

『幽霊出てきたら攻撃しようとか思ってそうだから……』


 もしかして、魂のこととか言ってるのかな? よほど執着がないと魂は縛られないし、縛られてる魂があったらちゃんと精霊様に報告しないと。地球にも担当の精霊がいるんじゃないかな。

 そうしてちょっとだけ驚きながらも歩き続けて、お化け屋敷の外に出た。


「人形がリアルでびっくりした!」

「ん」

「だめだこれ」


『だめですねこれは』

『お化け屋敷は異世界人には通じない、と』

『多分この子たちが違うだけだと思う。思いたい』


 次はちょっと激しい動きのあるものでも大丈夫かな? ジェットコースター、行こう。


壁|w・)幽霊に対する捉え方が違う……!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
お化けの居る世界 お化けの居ない世界の対比 慎重制限が最大の敵かな?
世界が違えば常識も違うのは当然なんだが………。取り敢えずシッショは全お化け屋敷スタッフに謝罪とお見舞い金の支払い位はするべきなんじゃなかろうか………。(物理的)消滅の可能性がありながら、決死の覚悟で仕…
お化け屋敷みんな……まぁ、うん、きっといいことあるよ!(慰め方が下手)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ