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特別編・フランスのパン


 その後もいろんな国のパビリオンを巡ってみた。イタリアっていう国もすごかったね。真美が予約してくれていたものの一つだったんだけど、イタリアの国宝をたくさん持ってきてたらしい。

 石像とか、絵画とか……。普段はイタリアまで行かないと見れないのだとか。

 ただ……。私はあまり芸術方面はそこまで詳しくないから、すごいものがあるんだなっていう感じだね。興味がないわけじゃないけど、何時間も待ってまで見ようとは思えないぐらい。


「絵画とかが好きなら、楽しめるんだと思う」


『リタちゃんにとってはちょっと微妙だったか』

『感性がお子様だからね! 花より団子の子だからね!』

『食べ物が描かれてる絵画とか見たら美味しそうとか言いそうw』


 そんなことはない、と思う。多分。

 あとはヨルダンも印象的だった。砂漠の土を持ち込んだとかで、実際に裸足で歩けるやつ。普通の土と違って、砂粒が小さいのかな? すごくさらさら。

 他にもたくさんの国のパビリオンを見て回ったけど、工夫を凝らしていてすごかったなって。ちょっとした旅行に行った気分。きっと現地に行った方が感動はあるんだと思うけど。

 今は買い置きしていたメイプルのソフトクリームをなめながら、のんびりと会場を歩いてる。いろいろと見て回って、そろそろ夕方。夜にもイベントがあるらしいから、それを見てから帰るつもり。だからまだちょっと時間がある。


「もむもむ……。ソフトクリーム美味しい」


『俺もソフトクリーム食べたい』

『リタちゃんがなめたソフトクリームが食べたいです』

『へ、変態だー!』

『俺に石を投げていいのは、そんな発想をしたことがないやつだけだ!』

『いろんな人が見てるからそれでもかなり投げられると思うがw』


 そんな変な発想をする人の方が少ないと思うよ。

 そうして歩いていたら、不意に声をかけられた。


「ん……?」


 なんか、呼ばれた気がする、というか……。へい、みたいな言い方。日本語じゃないと思う。振り返ってみたら、日本人とは明らかに違う人がいた。男と女二人ずつのグループ、だね。

 そして何か話しかけられてる。間違いなく私が話しかけられてるんだけど、日本語じゃない。どうしよう。困った。意味が分からない。


『外国人さんだ!』

『これは英語か? そうなのか?』

『一般人の俺たちが外国語の種類を判断できるわけないだろうが!』

『悲しいことを自慢げに言うなw』


 英語……なのかな? どうしよう、よく分からない。

 私が悩んでいたら、グループの女の人がまくしたてる男の人を手で制した。何かを話して、今度は女の人が話しかけてくる。


「あー……。おどろかせて、ごめんなさい」


 ちょっとたどたどしいけど、日本語だ。これなら大丈夫。


「ん……。大丈夫。どこの人?」

「フランスから、来ました」

「おー」


 フランス。すぐ側のパビリオンがフランスだね。そういえばパンとか売ってるんだっけ。まだ行ってないから、後で行こうかな。


「わたしたち、あなたの配信を、見ています」

「ん。ありがとう」

「おいしいものが、好きとか」

「う、うん……」


『草』

『外国人さんからも美味しいものが好きな子だって思われてるw』

『間違ってないからね! 仕方ないね!』


 なんだろう。それはそうなんだけど、改めてこう言われると、ちょっと恥ずかしいって思ってしまう。


「マジック……魔法。魔法とか、使えるの?」

「ん。使えるよ」

「ちょっと見てみたい、とか……」

「んー……」


 どうしよう。多分、魔法を使ったら怒られちゃうと思う。でも少しぐらいなら……いいかな? 小さいシャボン玉を一個だけ、ぽこんと。


「わ……! あー……。かわいい!」

「ん」

「ふふ……。これお礼ね」


 そう言って渡されたのは、紙袋。中を見てみたら、パンがいっぱい入ってた。いろんな種類のパンが入ってる。どれも美味しそう。

 最後に四人と一緒に写真を撮って、手を振って別れた。


「シャボン玉がパンになった」


『言いたいことは分かるけどw』

『めちゃくちゃ並んでるからよかったね』


「ん」


 そうなんだよね。朝に並んだ方が良かったらしくて、列を見てたらずらっと並んでる。さすがにあれに並ぶのは面倒だったから、ちょうどよかったかも。

 入っていたパンは……結構いろいろ。こんなにもらっちゃってよかったのかな?


『いいと思うぞ』

『SNS見てきた。結構有名な人だったみたいで、リタちゃんと写真撮れたことを自慢してる』

『羨ましいんですが』


 じゃあ……パンの代わりにはなったのかな?

 まず一つ目。チョコレートのパンだ。大きなチョコが入っていて、表面には砂糖みたいな粉をまぶしてる。ぱくりと食べてみると、濃厚な甘さが口に広がってとても美味しい。

 もう一個……。クロワッサン、かな? なんだかちょっと赤い線の入ったクロワッサンだ。苺だったりするのかな。食べてみたら、ちょっと甘酸っぱい気がする。不思議なソースが入っていた。苺……と思うけど、ちょっと違うような。なんだろうこれ。


『調べてみた。フランボワーズソースだって』

『なんぞそれ』

『わからん!』

『ラズベリーのことだな。木イチゴってやつ』


 苺の仲間、でいいのかな? うん。すごく美味しい。これはとてもいいもの。

 パンをお供に、もうちょっと万博を巡ろうかな。もぐもぐ。


壁|w・)(お値段はともかく)とても美味しいパンでした。


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― 新着の感想 ―
フランスパンはあの硬さがいいのだ!! 煎餅とかフランスパンとかそういう 硬い食べ物が好きなのだ!!
フランスパンは硬いぞ。クロワッサンにするんだ。あとエスカルゴは美味しい。僕がそう判断した。
食べ物を渡すとリタちゃんと写真が撮れるイベント会場はこっちですか?!
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