特別編・オランダ
次に来たのは、オランダ、という国のパビリオン。大きなウサギの看板が目印、だね。
「ウサギ?」
『オランダのウサギのキャラクターが大人気』
『かわいいウサギのキャラのぬいぐるみもあるよ!』
「おー」
ウサギのぬいぐるみだって。確かにこのウサギのキャラクターはかわいいと思う。どんなぬいぐるみか、楽しみだね。
ここに入るのは予約がいるみたいだけど、真美に取ってもらった予約の一つがここだった。それでも人は並んでるけど。
そうして並んで……。
「どうぞ」
「ん?」
並んでいる間に何かもらった。なんだろう、これ。ウサギの耳……? 周りを見てみたら、頭に被ってる。そういうもの、らしい。周りの人はなんだかそわそわしてこっちを見てる。えっと……。つければいいのかな?
『つければいいんだよ!』
『それをつけないと入れないのだ!』
『お前らwww』
いや、つけてない人もいるから入れないわけじゃないと思う。でも、せっかくもらったんだし、つけておこう。こう、かな?
『うさみみリタちゃんだー!』
『ちくしょう現地で見たかった!』
『オランダ館には入れないけど現地で見たぜどやあ』
『ぐぎぎぎぎ』
何をそんなに興奮しているのか分からない。周りの人もなんだかたくさん写真を撮ってきたし。別にいいけど。
さらに少し並んで、ついに館内に入ることができた。入ってすぐの場所は広い部屋になっていて、なぜか自転車が置かれてる。自転車のカゴにはウサギのキャラクターのぬいぐるみ。かわいい。
「かわいい」
『おまかわ』
『ウサギ耳リタちゃんもかわいいんやで』
「そう」
『スルーw』
正直反応に困るから。
少し歩いて、何かを手渡された。オーブ、だって。いろいろ光るらしい。最初は側の鏡に近づけてください、ということで近づけてみたら、オレンジ色に光り始めた。
「おー……。綺麗」
『子供心をくすぐるしかけ』
『なんか魔力とかこもってそう!』
魔力は感じられないからそれはないよ。
少し歩いて、今度は壁の模様があって、それに近づけるように言われた。今度は、薄い青色。こっちの方が綺麗だね。水をイメージしてるらしい。
さらにまた歩く。オーブを持っててくてくと。所々の壁に模様がある。説明も少し。あとは、小さな本みたいなものが壁に取り付けられていて、開いてみるとウサギのキャラクターと何かの説明が書かれていた。
オランダの人と水との関わり合い、みたいな感じかな? 水と敵対するわけじゃなくて、水と仲良くしていく、みたいなことが書かれてる。そうしてオランダは発展してきた、とか。
そうしてまた部屋に入った。円形の部屋で、周りの椅子に座らないといけないらしい。座って、後ろにもたれてください、だって。天井がモニターになってるみたいで、それを見ることになるみたいだね。
うん。私は平気だけど、ずっと歩いてばかりいる人いるだろうから、これはちょっといいかもしれない。のんびりと、だね。
部屋にしっかり人が入ったところで、モニターに映像が流れ始めた。
ちゃんと日本語が流れてる。続けて英語、かな? そんな言葉も流れてるから、すごく配慮されてると思う。
映像は結構迫力があって良かったと思う。映像に合わせてオーブの色も変わっていって、とても綺麗。炎の映像の時は赤くなったり、すごい仕組みだと思う。どんな構造なのかな。
内容は、水と共存して生きていく、みたいなものだった。
『ちょっと思想強めかも?』
『最近は環境の変化がすごいからね』
『自然を大事にしましょう、みたいなものかな』
そんなイメージだね。私も自然は大切にしないといけないと思うよ。精霊の森の木とか切り倒しに来た人がいたら怒るだろうし。怒るから何かするわけじゃないけど。多分勝手に森の魔獣に食われるから。
映像の後は、また広い部屋。ここでもいくつか展示があって、自由に見て回っていいのだとか。
そうして一通り見て回った後は、オーブを返してから、ショップコーナー。オランダの特産品とか、ウサギのキャラクターのぬいぐるみとか置いてあるみたい。あと、カフェもある。軽食と飲み物を買えるだけみたい。
レストランじゃないのは残念だけど、美味しいものが食べられるなら外でも大丈夫だね。
でもとりあえず……。ぬいぐるみ、買っておこう。オーブを持ってるウサギのぬいぐるみ。万博限定らしい。
ぬいぐるみを買ってから、カフェ。あまり見ないものが多いけど、どれがいいのかな?
「おすすめは?」
『ニシン! 断然ニシン! マジで美味しいから!』
『ストロープワッフルもおすすめ! 甘くて美味しい!』
『ニシンはサンドイッチが美味しいよ!』
ニシンってお魚だよね。お魚のサンドイッチってあまり聞かないから、ちょっと不思議だ。それじゃあ、ニシンのサンドイッチと、ストロープワッフルを買おう。
『ちなみに一度出たらもう入れてくれないからね』
「え」
それは、困る! それじゃあ、十個ずつ買っておこう。
店員さんはちょっと驚いたみたいだったけど、快く渡してくれた。
見た目は……うん。薄いお魚の切り身だね。どんな味なのか、楽しみ。
外に出て、近くの椅子に座る。それじゃあニシンのサンドイッチから。ぱくりと。
「おー……。確かに塩味があるけど、お魚の味もしっかり感じられる。あと、すごく柔らかい。ほろほろって崩れるみたいな食感だね。パンと合っていて美味しいよ」
『食いたい』
『なんで出前がないんですか!?』
『無茶言うなw』
ストロープワッフルもぱくりと。これは、濃厚な甘さ、だね。薄いワッフルが重ねられていて、間にはほんのり溶けたキャラメルが挟まれてる。とても濃厚な甘さだけど、くどいわけじゃない。これも、美味しい。
「とても、美味しい」
『羨ましいんですが。素直に羨ましいんですが』
『リタちゃん、その食べかけのワッフルおくれ!』
『さらっと変態さんがわいてきとる』
さすがに食べかけはあげないよ。
もぐもぐと食べて、完食。両方ともとても美味しかった。食べ物を目的に来ても十分かもしれないね。
次は……。どこにしようかな?
壁|w・)塩漬けニシンのサンドイッチは本当にオススメです。





