スライダーと流れるプール
スライダーはプールの滑り台みたいなものみたい。水が流れていて、下の方のプールに入っていく形だね。この一番のスライダーは本当にまっすぐ流れるだけだ。
一番上の場所で座って、ちょっと体を押し出す。するとそのまま滑っていって、プールの中に入った。どぼん、と。
「ぶくぶくぶく……」
「リタちゃーん!?」
『リタちゃんが溺れた!』
『この人でなし!』
『誰も悪くない上にリタちゃん普通に泳げるだろw』
プールから顔を出して、少し考えて……。
「何よりも長さが足りない」
「ええ……」
『草』
『まっすぐのスライダーはあっさり落ちるだけだからな』
『子供の頃はそれでも良かったけど、大人になると物足りなくなるよね』
『そして危険なスライダーへ……』
楽しいことを目指して危ないことをするのは本末転倒だと思うけどね。
このプールには六種類のスライダーがあるみたいで、私は六番だけはだめらしい。だからとりあえず、五番までは滑っておきたい。
「真美。真美。次」
「うんうん。行こうね」
『なんだかんだリタちゃん楽しんでるな』
『微妙に面倒そうにしてたはずなのにw』
次のスライダーは、なんだか滑る部分がくねくねしているスライダー。入るところが三カ所あって、それぞれコースが違うらしい。つまり二番は三回楽しめる。とってもお得。
『確かそのプールで一番人気のスライダーのはず』
『一番王道なスライダーかな?』
『その分待ち時間もあるんだけどな!』
待ち時間は、そうだね。ちょっと並んでる。ちゃんと待つよ。まだかな。まだかな。そわそわ。
『そわそわしていらっしゃる』
『魔法要素が皆無になってる件について』
『もう完全にちっちゃい子のプール遊びだなw』
ちっちゃい言うな。ちっちゃいけど。
少し待って、私の順番。それじゃあ、早速……。
滑り始めると、さっきのスライダーと同じぐらいの速度。そしてくねくねと曲がってる。他のスライダーの下側を通ったりして、なんだか不思議な感じだ。
そうして、下側のプールに落ちていった。
「ぷは……」
『おかえりー』
『おかえりも何もずって見ていたんですが』
『どうだった?』
「ん。なかなか楽しい」
不思議な感覚だね。勝手に滑っていくのはやっぱり楽しい。
「リタちゃん、次いくよー」
「ん!」
真美と一緒にスライダーを巡っていく。これもなかなか楽しかった。
そうして、スライダーを全部滑り終えた後は。
「つ、疲れた……」
「真美?」
真美がばてていた。
『そりゃそうだw』
『何がやばいって、スライダーを滑るためには階段を上る必要があるわけで』
『しかも一部は浮き輪を抱えながらだからな』
『真美ちゃん、お疲れ』
そう、だね。振り回しすぎたかもしれない。私は魔法でどうとでもなるけど、真美はそうじゃないことを忘れてしまった。
「ごめん」
「あはは、いいよ。私が誘ったわけだしね」
「ん……」
次は、せめてゆったりと、ということで。最後は流れるプープというやつだ。
流れるプールはかなり広いプール。川みたいにくねくねとしているけど、一応は円形になってるらしい。流れるプールの中側は、島か何かをイメージしてるのかな? かわいい木とかが植えてあって、ここもちょっとした休憩スペースらしい。
それじゃあ、入ろう。
「おー……。本当に流れてる……」
『川ではあり得ないぐるぐる回るプールだぞ』
『疲れたら流水プールに浮き輪を浮かべてのんびり流れていくのがオススメ』
『だらーんってできるよ!』
ふむふむ……。じゃあ、浮き輪をつけて、流れてみよう。ぷかぷかと。
「ぷかぷかしてる」
『ぷかぷか』
『そういえば真美ちゃんは?』
『リタちゃんの後ろを流れてるぞ』
『ぐったりしてるけどな!』
『思った以上に疲れてるっぽいw』
しばらくはここで流れるから、ゆっくり休憩してほしいね。
んー……。でも、これはいいかも。力を抜いて流されていくだけでも楽しい。
「森の川でも同じことができるかも?」
『いや普通に危険では?』
『やばいお魚とかいそう』
『ピラニアとかがかわいく思えるお魚とかな!』
「入ってきた魔獣を食べるお魚はいるね」
『いるんだ……』
いるよ。精霊の森ってそういうところだから。私と師匠ならどうとでも対処できるけど。
森の川でのんびり流れるのもいいかもしれない。ちょっと考えてみようかな。
『なんだろう、無茶振りされる気がするんだが』
『がんばれシッショ』
『お前ならできる!』
『期待して待ってる!』
『他人事だと思って……』
でも、楽しそうだから師匠とやりたいよね。帰ったら相談してみようかな?
そんなことを考えながら、のんびりプールに流されていった。ぷかぷか……。
壁|w・)とりあえず浮き輪を買いに行くシッショがいるらしい。