お菓子専門店
二階は比較的小さいお店がいくつか入ってるらしい。だいたいが専門店で、小さいながらも書店とかもあるのだとか。
「でも! リタちゃんに来てほしかったのは、こっち!」
「ん?」
そうして真美に案内されたのは、たくさんお菓子が並ぶお店だった。
そう! お菓子だ!
「お菓子!」
「はい! お菓子専門店です! 駄菓子もあるしスナック菓子もあるし、小さいジュースもあるよ!」
「おー!」
『これはまるでリタちゃんを狙ったかのようなお店』
『島にお菓子の専門店? 妙だな』
『何が妙なんだよw』
お菓子の専門店。とってもとっても素晴らしいお店だと思う。是非ともたくさん買わないと。
お店のスペースに入ってみると、いくつかの棚が並んでいて、その全てにお菓子がたくさん並んでいた。駄菓子ももちろんある。透明なケースに入ったおせんべいとか。一枚ずつ取って、必要な分だけお会計する形らしい。すごい。
「真美。真美。お菓子いっぱい。いっぱい。お菓子」
「あはは。いっぱいだね」
『リタちゃんが興奮しておられる』
『お菓子に興奮する魔女』
『かわええ』
駄菓子。いいよね。少ないお金で買えるお菓子。とてもすごいと思う。小さいチョコとか、ガムとか……。いっぱい買おう。
でも、あまり買いすぎると他の人に迷惑かなとも思う。他にもお客さんはいるみたいだから……。
「…………。みんな見てる」
「気にしなくていいよー」
「ん」
『相変わらずの注目度』
『お菓子の専門店なんてあるなら、絶対に紹介してくれるって分かるからな』
『俺でも待ち構えるわw』
『なおちらちら見える店員さんは緊張しっぱなしです』
『かわいそうwww』
『そう思うなら草を生やすな』
店員さん。カウンターの方にいるね。なんというか……。直立不動で私を見てる。別に視線が鋭いってわけでもないけど、ちょっと緊張しそうになる視線だ。どうして緊張するのかは分からないけど、もうちょっと力を抜いていいと思う。
それよりも。お菓子。
「これ好き」
きなこ棒。爪楊枝に刺さってるお菓子。これも一本から買えるみたい。私に送られてきた時は一箱だった。側の小さいビニール袋に入れればいいみたいだね。
「ビニール袋に必要な本数を入れるんだね」
「そうそう」
「じゃあ一箱で」
「なんでやねん」
『草www』
『草に草を定期』
『真美ちゃんの貴重なツッコミw』
『お前はどこのエセ関西人だw』
『リタちゃんも、袋に入れることを確認したのになんで箱買いになるんだよw』
いや、だって……。きなこ棒、美味しいから……。
でも、そうだね。ここは駄菓子屋さんの雰囲気を味わっておこう。袋を開いて、一本、二本、三本……。
「いや何本入れるの!?」
「三十本ぐらい?」
「もう箱買いしなさい!」
「理不尽……」
『コントかな?』
『真美ちゃんの言いたい気持ちも分かるけどw』
買い過ぎ、ではあるかもしれない。他にも買いたいものがあるし、十本だけにしておこう。
他にも駄菓子お菓子含めていっぱい買った。ほくほくだ。
レジに持っていって、お会計。全部のお値段は、二万円ほど。電子決済でぴっと終わり。まだまだお金はいっぱいあるけど、ちょっと買いすぎたかもしれない。
「お菓子屋さんで二万円支払う人なんて初めて見たかも」
『真美ちゃんに同じく』
『まあリタちゃんやしな!』
んー……。まあ、買い過ぎだね。みんなからももらったお菓子を含めれば、結構な量になってしまっていると思う。いっぱい食べないとね。
お店から出る前に、店員さんに頼まれて写真も撮っておいた。後日飾るらしい。別に好きにしていいけど、邪魔にならないのかな。
それじゃあ……。お菓子だ。
「きなこ棒」
「そんなに好きなんだ?」
「ん。ほんのり甘くて美味しい」
駄菓子の中でもかなり好きな方。水飴か何かをねりねりしてるのかな。それにきなこをまぶしただけのシンプルなお菓子だけど、ほんのりと甘くて美味しいお菓子だ。
ぽくりと食べて、もむもむと。食べ終えた後の爪楊枝はちゃんと捨てて……。あ、先端が赤くなってる。
「ちょっとだけあるこの赤いやつって意味あるの?」
「え? あ、そっか。箱でもらってたら関係ないよね。それ、当たりだよ。お店に渡したらそれを引き換えに新しいものをもらえるの」
「おー……!」
それは知らなかった。じゃあ、もらいに行こう。
ちょっと赤い爪楊枝を持って、店員さんへ。店員さんは私が持ってる爪楊枝を見ると目を丸くした。
「当たり、だよね? もらえるの?」
「は、はい! お待ちください!」
あっさりともらえてしまった。これはすごくいいものだと思う。とても嬉しい。
「リタちゃんの……食べたばかりの、爪楊枝……」
『おいこら店員さん』
『何考えてるんや!』
『おう売るなら買うぞ。万単位で金を出すぞ』
そんなコメントが黒い板に流れてる。店員さんはそれを見ると、すぐに濡れたタオルを持ってきて、爪楊枝を拭っていた。汚かったのかな?
「リタちゃん。こういうものを渡す時は、必ず洗ってから渡してね」
「ん」
『ぐう有能』
『ちくしょう余計なことを!』
変なこと考える人が多いってことかな……?
真美の元へと戻ると、なんだか苦笑いしていた。私にはいまいちよく分からないよ。
それじゃあ……。お菓子もたくさん食べたし、次、だね。
壁|w・)魔女ほいほい専門店。





