スーパー
美味しい海鮮丼を食べた後は、次の場所だ。
「次はどこ?」
「そうだね……。銭湯はもう行ったし、飲食店は別に心桜島に特別なものがあるわけでもないし……。コンビニもよく行ってるしね……」
「ん」
「じゃあ……。スーパーに行こっか」
「すーぱー」
スーパーって、確かいろんなものが売ってるお店、だよね。料理の素材がいっぱい、みたいな、そんなイメージだ。お買い物がすごく楽しそう。
『心桜島にスーパーってあんの?』
「うん。観光地化で流通とか整備されたからね。それでスーパーも作られたらしいよ。住人もどんどん増えてるからね。私も引っ越ししてきた側だし。あ、リタちゃん、この辺り」
真美にスマホを見せてもらう。スーパーの場所だ。西側の住宅地にあるスーパー、だね。駐車場も結構広いみたい。それじゃあ転移、と。
心桜島のスーパーは結構大きい、みたい。横にすごく広い建物で、二階建て。二階はいろんなお店が入っているんだとか。屋上も開放されていて、ここでは遊ぶための道具がたくさん置かれてる。
「ついた」
「うんうん。どうかな、リタちゃん」
「楽しそう」
「あははー」
転移した先は、屋上。子供たちがいっぱい遊んでる。動物を模した乗り物に乗ってる子もいるね。ゆっくりのんびり歩く乗り物だ。楽しいのかな?
『あれまだ現役だったんだ……』
『なんかちょっとしたデパートの屋上みたい』
そっちの方が私は分からない。
いろいろと気になるものはあるけど……。まずはスーパー、だね。視線もいろいろ感じるし、声をかけられる前に移動しよう。
「さすがに子供は自分の遊びに夢中だね」
『その代わりに親御さんたちがめちゃくちゃ見てるんですが』
『声をかけたそうにしてるw』
『俺ならどうせ子供は遊んでるし声をかけに行きそう』
『クソ親だぞそれ』
「ん……。自分の子供を最優先にするべきだと思う。私の親みたいになったらだめだよ」
『あ、はい。すみません。気をつけます』
『リタちゃんが言うと重いねん』
なんで?
とりあえず、建物の中に入る。エレベーターで一階へ。二階も気になるけど……。とりあえず、後回し。
「二階はね、あとで是非見せたいお店があるから後でね」
「ん……」
なんだろう。とても、気になる。
エレベーターを降りると、乗ろうとしていた人たちが固まってこっちを凝視してきた。早く乗らないと閉まっちゃうよ?
「ほらほら、行くよ」
「ん」
真美に手を引かれて、スーパーの中へ。
「おー……」
食べ物がいっぱいだ。食べ物だけじゃなくて、日用品って言えばいいのかな。そういうのもたくさんある。ここに来ればなんでもそろってしまいそう。
お野菜とかお肉もあるけど……。やっぱり全部、素材、だね。すぐに美味しく食べられる状態じゃないかも。一部はそのままでも食べられそうだけど。
「日本はこんな感じで、お肉は部位ごとに売られてたりするんだよ」
「おー」
「お魚とか野菜もいっぱいでしょ?」
「ん。どれも美味しそう」
きっと真美なら、どれも美味しく料理するんだと思う。でも、こんなにたくさん食べ物があると、何を作るか迷いそう。毎日晩ご飯を作ってる真美はすごいと思う。
「真美すごい」
「えっへん」
『お前らも晩ご飯作ってくれる親に感謝しろよ』
『一週間連続でカレーライスだったんだが?』
『お、おう……』
「ん……? 一週間連続、カレーライス。とてもいいと思う。羨ましい」
『あ、はい』
『これだからカレー狂いは……』
なんだかすごく失礼なことを言われた気がする。真美も苦笑いしてるし……。そんなに変なことかな。
さらにちょっと歩くと、お菓子のコーナー。お菓子の、コーナー!
「真美。真美。お菓子。お菓子」
「はーい。あとでお菓子買うからねー」
「お菓子……」
『ずるずる引っ張られていく魔女』
『親子かな?』
『親子だよ』
「違うけど!?」
お菓子、欲しいけど……。真美に従って、後回し。急がなくてもお菓子は逃げないから。
スーパーの端っこは、お惣菜、というものが並んでるコーナーだった。あと、パン。お店でパンを焼いてるらしい。すごい、パン屋さんみたい。
「私がいなかったりしたら、ここでお惣菜を買うのもいいかも」
「ん……。覚えておく」
今日は真美がいるから気にしないけど、真美も忙しい時があるだろうし、その時は是非ここを利用してみよう。どのおかずも美味しそう。
あ、おかずだけじゃなくて、お寿司まである。すごい。
「ここのスーパーのお魚はどれも美味しいからね。産地直送、だから」
『どちらかと言えば地産地消の方が正しいのでは?』
『スーパーで新鮮なお魚とかマジで羨ましいんだけど』
お寿司もきっと美味しいんだと思う。今度、買いに来ようかな?
パン屋さんも気になるけど、真美に手を引かれて二階に向かうことになった。ちょっと後ろ髪を引かれる思いになったのは、内緒。
壁|w・)お菓子は……また別であるから……。





