心桜島観光
壁|w・)ここから第38話のイメージです。
土曜日。真美のお家に行くと、朝ご飯を作って待ってくれていた。
「いらっしゃーい。朝ご飯できてるよ」
「ん」
朝ご飯は……。アヒージョ。アウトドアクラブに作ってもらったものと同じだ。量が多くてもいいようにアレンジはしてるみたいだけど、雰囲気はほぼそのまま。
食べてみると、やっぱりあのアヒージョだ。とっても美味しい。
「どう?」
「すごく美味しい」
「良かった。それで、今日はこの島を見て回るんだよね?」
そう。今日は心桜島をちゃんと見て回ろうと思う。今まですごく限定的にしか見てなかったから。私が頷くと、真美は嬉しそうに笑ってくれた。
「うん。興味を持ってくれて嬉しい。案内すればいいんだね?」
「ん。でもちいちゃんは大丈夫?」
「お母さんとお出かけしてるから大丈夫だよ」
それなら安心、かな?
「これが心桜島の地図ね」
そう言って真美が地図を見せてくれた。
心桜島は楕円形の島みたい。東側が観光地として開発されてるエリアで、西側が田畑や港など昔ながらの産業が残ってる。
住民は真ん中から西側に住んでるみたいだね。会社とかもだいたい西側で、東側は観光に携わる人が住んでいたりするみたい。
銭湯は東側寄り。このマンションは中央より、だね。んー……。あまり東側には行ってないのかも。仲が悪かったりするのかな?
「東と西でケンカしてる?」
「そんなことないよ? 単純に東側が空いていたから、そこにレジャー施設をってなっただけだから。レジャー施設とかは私たちももちろん使えるから、遊びに行く人も多いし」
「へえ……」
それなら良かった、かな?
「どこに行ってみたい?」
「じゃあ……。港」
「行ってなかった……?」
「まだゆっくり見てなかったから」
そう言うと、真美も納得してくれたみたい。それなら、ということでまずは港に行くことになった。
「はい皆さんおはようございます! 異世界魔女の配信チャンネルへようこそ!」
「…………」
「今日は心桜島の散策をしていくことになりました! よろしくね!」
「…………。ん……」
『今日も始まった、と思ったら真美ちゃんに乗っ取られてるw』
『日本JKの現代配信?』
『何がおもしろいんだそれw』
よく分からないけど、真美が配信するなら私は見るよ。
『それでいいんかリタちゃん!』
「真美が楽しそうだからいい」
『あ、はい』
真美に指定された場所に転移する。心桜島はあまり大きな島ではないけど、それでもやっぱり歩いて移動となるとさすがに厳しい。移動するだけで一日が終わってしまう。
そうして転移した先は、先日来た港だ。まだ漁に出ているのか、船は少なめ。でもすでに帰ってきてる船もあるみたい。近くの大きめの建物からは明るい声が聞こえてきてる。
「ここが心桜島漁港です。ここの名産品は……」
「名産品は?」
「わかんない!」
「え」
『ちょwww』
『案内する気あるんかこの子w』
あははー、なんて真美は笑ってる。ちょっと照れくさそうに。真美は光球へとぴしっと指を指して、言った。
「それなら聞きたい! 東京の人! 東京の港でよくとれるお魚はなに!?」
『え』
『あー、その、え―と……』
「そういうことだよ!」
えっと……。つまり、地元に住んでいようと知っているわけじゃないって言いたいのかな? それは、うん。仕方ないかもしれない。私なんて、そもそも漁港があることすら最近まで知らなかったわけだしね。
「市場にはホテルの人とかも買い付けに来るらしいよ。あと、近くに住んでる人も普通に買いに来てるから、せり、だっけ? ああいうのとはまたちょっと違った雰囲気かも」
「なるほど」
「でもリタちゃんが興味あるのは、あっちだよね!」
真美について歩いて行く。先日入った建物の隣が目的地らしい。ちょっと大きな建物で、食堂、なんて書かれてる。
「ここでは新鮮なお魚を使ったごはんが食べられます! 観光に来た人もツアーでここまで来たりするから、調べてみてね!」
『港の側の食堂か』
『ええやん』
『海鮮丼とか食べられそう』
海鮮丼。ちょっと気になる。お魚を使ったごはん、だよね。食べてみたい。
「真美。真美」
「うん! もちろん入るよ! 海鮮丼、食べよう!」
「食べる!」
『ええなあ、海鮮丼』
『早速海鮮丼を注文……したかった』
『朝からやってる出前はそうそうないから……』
まだ朝だからね。やってるお店の方が少ない。そう思うとこの食堂はどうなんだって思うけど、漁師さん向けでもあるみたいで、朝からやっているのだとか。
「むしろ今が空いている時間、のはず!」
「おー」
「じゃあ、行こう!」
「ん!」
真美と一緒に、お店の中に入った。
壁|w・)本編完結した後に始まる、主人公の拠点(?)紹介!
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