照り焼きチキンバーガー
精霊の森、世界樹の前に転移。すでに師匠が待っていて、精霊様とお話ししていた。
「ああ。おかえり、リタ」
「ん。ただいま。買ってきた」
アイテムボックスから師匠希望のダブルチーズバーガーを取り出す。渡してあげると、嬉しそうに受け取った。そんなに好きなのかな?
「リタの配信を見てたら、久しぶりに食べたくなったんだよな。もう長いこと食べてないからなあ」
『転生してから初めてかな?』
『でもハンバーガーぐらいこの世界にもあるのでは?』
どうなんだろう。私はまだ見たことがないけど、お肉をパンに挟んだだけだと考えると、あっても不思議はないと思う。
師匠は包装紙を剥がしながら、苦笑いして言った。
「似たようなものはあるんだよ。似たようなものは。でも、やっぱりソースとか全然違うんだよな……。これじゃない感って言えばいいのかな。そんな感じだ」
「それはそれで気になる」
『リタちゃんに同じく』
『わりと気になるよね』
一度食べてみたいよね。こっちの世界の料理も、美味しいものはちゃんと美味しいから。
「精霊様はどれがいい? いっぱいある」
「そうですね……。ダブルチーズバーガーはまだありますか?」
「ん。美味しかったから追加頼んだ。あるよ」
追加で十個ほど注文したからね。ちゃんとある。ただ、ピクルスは抜いてないけど。
精霊様もダブルチーズバーガーを一口。しばらくもぐもぐ食べて、なるほどと頷いた。
「とてもシンプルではありますが、悪くありませんね。美味しいです」
「ん」
精霊様も気に入ってくれたみたい。
私はポテトを食べよう。お店でも食べたけど、これも美味しい。ジュースはもうないから……アイテムボックスからオレンジジュースを取り出して、と。
ポテトは塩味がしっかりときいていて、さくさくしてる。結構細く切られてるね。食べやすいけど、太いのも欲しいかなってちょっと思ってしまう。
でも、この薄すぎてカリカリになっているもの。これがとても好き。
「ポテト美味しい」
「ケチャップつけるのもいいぞ」
「ケチャップ」
もらってない。頼んだらもらえたのかな?
でもアイテムボックスに買い置きがあるから安心だ。小皿と一緒に取り出して、ケチャップをとろりと。ポテトにつけて食べてみると……。うん。すごくいい。
ケチャップ、いいよね。しっかりとした甘みに、ほのかな酸味。とっても濃厚で美味しい味だ。それがポテトの塩味にしっかりと合ってる。とても、美味しい。
「ケチャップ好き」
「味覚は子供そのものだよな……」
『子供が好きそうなものはだいたい好きそうなイメージ』
『そして子供が嫌いなものはだいたい苦手なイメージ』
『サルミアッキとかな!』
『あれは老若男女変わらないから』
大人になると苦いものを好むようになる、というのはどこかで聞いた覚えがある。苦いものは食べられないわけじゃないけど、好きじゃないかな。
ハンバーガーは他にもたくさん。ちょっと気になってるのが、これ。
「照り焼きチキンバーガ―」
『ああ、とても美味しいやつ……!』
『いいよね、照り焼き……あのタレがいいよね……』
『ぶっちゃけ照り焼きチキンは白ご飯と一緒に食べたい』
『まあ分かるけどw』
真美に作ってもらったことがあるけど、白ご飯にとっても合うお肉だった。すごく美味しかった。また食べたい。
そんなお肉だから、パンにも合うと思う。合うからこうして販売されてるわけだろうし。
包装紙をはがして、ぱくりと一口。
んー……。濃厚なたれの味が、鶏肉の味を引き立たせてる。タレはちょっと甘辛い。それがとてもいいアクセント。シャキシャキのレタスも挟まれていて、食感も良くしてる。
「んふー」
「美味しそうに食べるなあ……」
「ふふ。食べたくなってきましたか?」
「ああ……。また個人的に買いに行くよ。地球への転移魔法は覚えたし」
『おい近くのハンバーガーショップ、長蛇の列になってるんだが!?』
『完売! ダブルチーズバーガー完売です!』
『それが完売ってどんな状況になってるんだよ!?』
みんないっぱい食べてるのかな。いいよね、ダブルチーズバーガー。すごく美味しいからね。
「もぐもぐもぐもぐ」
「リタ。すごい勢いで食べてるけど……。おやつにするんじゃなかったのか?」
「ん……」
そうだった。あまり食べ過ぎずに、あとはアイテムボックスに保管しておこう。小腹が空いた時に食べる。
「でもあと一個……」
「食べるのか……」
『食欲に忠実な子だからね』
『目の前に美味しいものがある。ならば食べるしかない!』
『それでこそリタちゃんだぜ!』
なんかバカにされたような気がするのは気のせいかな?
あとは、デザート。こっちに戻ってくる前にコンビニに寄って、大盛りスイーツをいっぱい買わせてもらった。みんなで食べよう。
「すごいな……。今はこんなこともやってるのか」
「ん。すごく美味しい」
「はは。リタ向けのデザートだな」
クリームは正義。とっても美味しい。
そうしてデザートを食べていたら、師匠が言った。
「で、今後の予定は?」
「ん……。土曜日に心桜島を見て回ろうと思う」
いつもお世話になってる島なのに、全然見てなかったことに気づいたから。観光地にしようとしてるみたいだし、おもしろいものが他にもあるかも。
「心桜島か……。正直、とっくに開発が終わってるものと思ってたんだけどな……」
「師匠も来る?」
「いや、やめておく。のんびり見て回ってこい」
「ん」
どんな場所があるのか、楽しみだね。美味しいものがあればいいなあ。
壁|w・)というわけで、次回からはリタの拠点(?)の紹介です。
オリジナルの島なので、いろいろツッコミ禁止、ですよ。





