アイスもぐもぐ
コンビニを出た後は、のんびりお散歩。今日は夕方から行きたいところがあるけど、それまで暇だから。
「夕方まではのんびりする」
『夕方からどこ行くの?』
『まさか……俺たち以外と遊ぶつもりか!?』
『そんな! 俺たちリタちゃんの配信がないと生きていけないのに!』
「かき氷美味しい」
『完全無視……だと!?』
『草』
コンビニで買った、カップに入ったレモンのかき氷、みたいなアイス。薄切りのレモンも入っていて、とっても美味しい。暑い季節に最適だと思う。私は暑さ寒さは関係ないけど。
「もむもむ……。レモンすっぱい……。でも美味しい……」
『平然とレモンを食べちゃってる……』
『アクセントにいいよね……』
『ごめんかき氷部分が食いたい俺としてはいつも邪魔に感じてる』
『その気持ちも分からんでもない』
人それぞれ、だね。私はこのレモンも気に入ってるけど。
でもこのかき氷なら、私の世界でも作れそうだと思う。問題はシロップ、かな? 師匠もシロップが作れなくて手を出さなかったのかもしれない。
つまり……シロップをたくさん買って帰れば、お家でいつでもかき氷が食べられる……!
「シロップをいっぱい買う」
『急にどうした!?』
『多分あれだろ。シロップがあれば異世界でもかき氷が食えるってことだろ』
『ていうかぶっちゃけかき氷ってわりと単純だから、異世界側の街にもあるのでは?』
『氷なら魔道具で作れたりしそうだしね』
それは……考えてなかった。どこか街に行ったら探してみよう。でもとりあえずシロップは買っておこう。
次のアイスは……ちっちゃいアイスが六個入ったもの。チョコで包まれたアイスが入ってる。フタをぺりっとはがして、中のフォークみたいなもので刺して食べる。
甘いチョコとアイスの相性がばっちり。とっても美味しい。
『それも定番のアイスだね』
『定期的に食べたくなる不思議なアイス』
『ちょっと買いに行ってくる』
『近くのコンビニがすでに買い尽くされていて絶望した』
美味しいから仕方ないと思う。アイスはとってもいいものだ。
『そういえば話が流れてたけど、夕方からどこに行くんだ?』
『安価を期待してたのに……』
「ん……。キャンプの時に知り合った人に会いに行こうかなって」
師匠と一緒のキャンプで知り合った、世菜さんたち。学校にも遊びに来てって言ってたから、行ってみようかなって。
真美にも相談したら、夕方、つまり放課後の方がいいと思う、ということだったから、夕方までのんびりお散歩だ。
『なにそれめっちゃ羨ましいんだけど』
『学校の前でカメラを構えておきたい。どこの学校?』
『不審者で通報されるだけだからやめとけ?』
私もそう思う。変なことはしない方がいいよ。
この島を、心桜島をのんびり散歩ってあまりしてなかったから、観光がてらにゆっくり回ろうと思う。銭湯とか真美の学校とかしか行ってなかったから。
「何があるかな?」
『知らん』
『開発中、だからね』
『観光地としてはまだ中途半端なイメージ』
ん。困る。困った時は……。
「真美。真美。どこに行けばいい?」
『真美ちゃん授業中では?』
『平日なのに学生に助言を求める魔女』
『港とかどうかな。美味しいお魚が食べられるよ』
『勉強しろ女子高生!』
『あとは、アーケードの商店街とか。地元でとれた野菜やお魚を取り扱ってるお店が多いかな』
『だめだこの学生、早くなんとかしないと』
聞いた私が言うのもなんだけど、真美はちゃんと勉強してるのかな?
とりあえず……港に向かおう。美味しいお魚、食べたい。
てくてく歩いて港へと向かう。心桜島は区画ごとに何の場所か決まっているみたいで、そこをちょっと広めの道が繋ぐ形だ。
車通りは少ない。これが早朝とかだと、お魚をお店に運ぶ車とかでまた変わってくるらしい。それも機会があったら見てみたいね。
もちろん今も少しは通ってる。お店にお魚を運んでいるのかも。
『景色がいいなあ』
『開発中ってことだけど、この自然は大切にしてほしい』
『ほんそれ』
背の低い草の草原が片側に、林がもう片側に広がってる。とても、いいと思う。
そうして歩き続けて、港にたどり着いた。
お船がいっぱいだ。全部漁船かな? 港の端っこに建物があって、そこでお魚を売ってるみたい。今も大きな声がたくさん聞こえてくるから。
ドアを開けて、建物の中に入る。ひんやりとしてる。涼しい建物。
「あれ? リタちゃん!?」
私が中に入ると、近くにいた人が声をかけてくれた。若いお兄さん。ツナギっていうのかな? そんな服を着てる。私を見て、目をまん丸にしていた。
「みんな! ついにリタちゃんがきたぞ!」
「なんだって!?」
「おい! 鮮度のいい魚持ってこい! 貝もあっただろ!」
「リタちゃんはこっちね」
「え、あ、えと……。ん……」
『リタちゃんが押されてるwww』
『大歓迎じゃないかw』
『心桜島に来てることは知ってただろうから、今か今かと待ってたんだろうなあw』
そうなのかな? よく分からない。
椅子に座って待っていたら、たくさんの人が集まってきた。目の前のテーブルにいろいろと並べられていく。お刺身とか、焼き魚とか、貝とか……。いっぱい。
食べていいみたいだから、遠慮なく……。おお、お魚がぷりぷりしてる……。ふんわりとろけるのに、しっかりとした歯ごたえ。美味しいお魚だ。
「美味しい」
「だろ!?」
「いやあ、ようやく来てくれて嬉しいよ! もっと食べてくれよ!」
そんな感じで、たくさんのお魚を食べさせてもらった。どれもとても美味しかった。満足。
でも……。もうちょっと、見て回りたかった、かな……?
壁|w・)心桜島は架空の島だからぶっちゃけ書きにくい……。





