大盛りスイーツ
壁|w・)ここから第三十七話のイメージです。
九月。日本では学校……えっと、二学期だっけ。それが始まる時期。そんな平日のお昼に、私はコンビニの前にいた。じりじりと太陽の光でアスファルトが熱されて、なんだかとっても暑く感じる……らしい。私は結界で関係ないけど。いつでも快適です。
『リタちゃん行きつけのコンビニ』
『定期的にリタちゃんが出没するコンビニ』
『俺心桜島に住みたい』
『移住希望者が増えすぎたせいで、今はストップされてます』
『ちくせう』
どうしてここに引っ越したいのかな。いいところではあると思うけど、東京とかと比べると不便だって真美が言ってたよ。自然がいっぱいのところに住みたいなら、心桜島は中途半端に開発されてしまってる、とも。
私はここ、好きだけどね。真美もいるし。
とりあえずここでぼんやりしていても仕方ないし、お買い物だ。今日はアイスを買おう。暑い時はアイスだよね。
自動ドアに近づく。勝手にスライドして開くドア。とっても便利。
「いらっしゃい……ませ!」
レジにいる店員さんが一瞬だけ固まって、すぐに笑顔で言い切ってくれる。それ以上の反応はしない。それがちょっと、嬉しい。
「ただいま大盛りセール中でーす」
「…………。ん?」
大盛りセール……? なんだろう?
アイスのコーナーを後回しにして、他のコーナーを見に行く。えっと……。サンドイッチのサイズが大きいみたい。他にも、まだ入荷してないみたいだけど大きなおにぎりもあるのだとか。
『その系列のコンビニで定期的に開催されるやつ』
『デザートとかマジでお勧め』
『都会住みワイ、大盛りデザートが買えなくてむせび泣く』
『入荷直後に売り切れるらしいっすね……』
大盛りのデザート。ちょっと気になる。私も食べてみたいけど、入荷の時間が分からない。聞いてみたら、教えてくれるかな?
そう思っていたら、ガラガラと音が聞こえてきた。何かを転がす音。そっちを見ると、店員さんが平べったい箱を台車に載せて運んでくるところだった。デザートがいっぱい入ってる。
「いらっしゃいませ! ちょうどデザートが入荷しました!」
「おー」
『嘘だ!!!』
『駐車場に入荷の車とまってないやろがい!』
『絶対リタちゃん用にいくつか残してあるだけだろ!』
そんなコメントが流れていってる。それを言ってみたら、店員さんはにっこり笑って言った。
「店長指示なので何も知りませーん」
『店長に全責任かぶせやがったw』
『まあアルバイトってそういうものだし……』
『店長「え、そんな指示出してないんだけど!?」』
『あり得そうで笑うわwww』
別に特別扱いとかしなくてもいいんだけどね。でも食べられるのは嬉しい。是非買わせてもらいたい。
「じゃあ全部レジに持っていきますねー」
「あ、うん……」
『流れる用に全部買う流れになってるw』
『知ってたw』
『まあ常識だしね?』
そんな常識いらないよ。
とりあえず、最初の目的のアイスも買っておく。アイテムボックスに入れておけば溶けないから、あとで真美たちと食べるのもいいかも。
レジでお会計。デザートが十個と、アイスを五十個ぐらい買っておいた。いっぱい。
『いや多すぎぃ!』
『デザート十個……まあこんなもんか。アイス五十個……ふぁ!?』
『頭キーンってなるよ!』
それも悪くないと思ってる。
とりあえず全部アイテムボックスに入れて、お店を出た。出る前に店員さんに手を振る。ふりふり。店員さんも振り返してくれた。ちょっと楽しい。
『子供かな?』
『(見た目は)子供です』
『いつものことだけど見た目言うな』
外に出て、早速デザートを食べる。プレミアロールケール、だって。ロールケーキを細く切ってるやつみたい。そんなロールケーキに、クリームがいっぱい盛られてる。普段は盛られてる部分がないのだとか。
もらったスプーンで、クリームを一口。ぱくり。
おー……。クリームがなめらかで、美味しい。生地の部分もふんわりしていて、一緒に食べるといい感じ。今回はクリームが多いから、一緒に食べるというのはあまりできないけど。
でも、クリームがとっても美味しいから、きっとクリーム好きな人にはたまらないデザートなんだと思う。これはとってもいいもの。
『最近はコンビニのデザートも侮れなくなってきたよなあ』
『マジでそれ。洋菓子店よりも美味しいって思う時がある』
『これが企業努力さ』
商品を開発してる人たちは本当にすごいと思う。
「もぐもぐ……。もう一個……」
『もう一個(四個目)』
『あの、リタちゃん?』
『何個食べるねん!』
だって、美味しいから……。もっとないかな? 師匠や精霊様へのお土産にもしたいし……。まだないかな? 入荷って何時かな? 買いに来るんだけど……。
ふと、人の気配がして振り返る。店員さんがにっこり笑顔で立っていた。
「当店の入荷は夕方ぐらいです。十七時頃なら間違いなくあります。取り置き、しちゃいますよ?」
「ん……。しちゃってください」
「はい。かしこまりました」
『なんだこのやりとり』
『俺も……食べたい……!』
『入荷時間調べるか……』
あとでちゃんと買いに来よう。いっぱい買いたいね。
壁|w・)架空のコンビニです! 誰がなんと言おうと架空のコンビニです!





