魔法学園の人とおはなし
てくてく歩いて、学園長の部屋へ。
『てくてくリタちゃん』
『とことこリタちゃん』
『ちょっとゲーム作ってくる』
『ゲーム!?』
何のゲームを作るつもりなのか、ちょっと分からない。でもゲーム、楽しいよね。真美と一緒に遊びたい。
エリーゼさんたちは、何か聞きたそうにしてるけど誰も何も言わない。別に気にせずに質問とかしてくれてもいいのに。
少し歩いて学園長の部屋にたどり着いて、すぐに開けた。
「え、リタさんノックは!?」
「別にいらないかなって」
「ええ……」
『学園著の扱いよ』
『別に不仲でもないだろうにw』
師匠がいるはずだし、何をしているのか気になったから。
そうして、ドアを開けた先の光景は。
「いちいち抱きついてきやがって」
「うぐぐ……」
師匠が、学園長を椅子にして座っていた。
なにこれ。
「ええ……」
『何のプレイですか?』
『男同士でのプレイなんか見てもおもしろくもねえんだよクソが!』
『落ち着けwww』
何やってるのかな?
「師匠?」
「お? リタ。こっちに来たのか」
「ん」
「な、なに!? まさか、生徒も……」
「いるな」
学園長が慌てたようにこっちを見て、分かりやすいほどに頬を引きつらせてるエリーゼさんたちを見て、顔を青くした。慌てたように師匠をどけて立ち上がる。
「くっ……! コウタ! 私たち貴族は体面が大事だと言っただろう!」
「体面が大事なら抱きついてくんな」
『つまり……抱きつかれたんやな?』
『何があかんのや! 感動の再会やぞ!』
まあ……。嫌だったんだと思う。私も学園長に抱きつかれたら嫌かな。ばくっとしちゃいそう。
学園長は咳払いすると、椅子に座ってため息をついた。じろっと師匠を睨んでる。師匠は気にした様子もないけど。
それで、エリーゼさんたちの様子はといえば。
みんなが、師匠を見て固まっていた。特にミトさんが目をまん丸にしてる。
「生きて……いたんですね……」
ミトさんがそう言うと、師匠は苦笑いして頷いた。
「ああ。悪いな、心配かけて」
「本当ですよ……! てっきり、ワームに相打ちになったかと……」
「いやあ……。リタから聞いていたけど、ワームと相打ちになったと思われてたって、いくらなんでもあり得ないと思ってほしかったよ……」
それは、うん。ワームだからね。丸呑みされても私と師匠なら平気だよ。むしろそのままお腹を突き破って倒せるから楽だと思う。
「お前でも油断するとかあるかもしれないだろ?」
学園長がそう言って、師匠は鼻で笑った。
「油断してても負けない相手なんだよ、ワームとか」
「言われてみればそう、ですよね……」
師匠はとっても強いからね。ふふん。
『なんか微妙にリタちゃんがどや顔になってる気がする』
『大好きなシッショが褒められたりしたら喜ぶ子だから』
『お父さん大好きな子供かな?』
変なことは言わなくてもいいよ。
その後はみんなでちょっとお話し。ただみんな授業中とかだから、夜に集まってご飯を食べることになった。ギルドの側の料理屋さんの予定。楽しみ。
そうして学園を後にしたら、次はギルド。ギルドマスタ―とも一応は知り合いらしいから。ただ学園長みたいに、元守護者というのは知らないらしいけど。
「リタもあそこのギルドには入ったんだよな?」
「ん」
「あそこのサブマスター、確かいい雰囲気の相手がいたんだよな。どうなったか楽しみだ」
「んー……。サブマスターって、女の人?」
「ああ。知ってるか?」
知ってる。すごく印象的な人だったから。そっか、師匠がいなくなる前はまだ結婚、とかいうのをしてなかったんだね。
『だれだれ?』
『尻に敷かれた冒険者さんだな』
『あれは衝撃でした』
「え……。何かあったのか?」
「んー……。ケンカを売られそうになった」
「よし分かった。ちょっと殺してくる」
『こらwww』
『やめなさいw』
大丈夫、師匠もきっと本気じゃないから。…………。本気じゃないよね? 微妙に早足になってるよ?
師匠は少し足早に歩いて、ギルドのドアを勢いよく開けた。たたき開けた、と言ってもいいかもしれない。
「テメエのせいで! 有能な新人か別の街に行っただろうがゴルァ!」
「ま、待ってくれ! 俺の、俺だけのせいじゃないはずだ! なあ、そうだろうみんな!?」
「オラ他のやつ首を振ってるぞやっぱテメエだろうが! 正座だ正座! 早くしやがれ!」
「く、くそう……」
「誰が座れって言ったんだボケが殺すぞハゲ!」
「理不尽! ハゲてねえよ!」
わあ。なんだか聞いたことのあるようなやりとりが聞こえてきた。とっても懐かしい気がしてくる。師匠は絶句してるけど。
『これだよこれ』
『まさかいきなり見れるとはw』
『相変わらずサブマスターさんが怖い』
今回も何かあったんだと思うけど、サブマスターさんがずっと怒ってる。
壁|w・)サブタイトルがあまりにも思い浮かばなかった。
シッショと学園長に何があったかと言うと……。
再会→学園長が感動のあまり抱きつこうとする→シッショが押しとどめる→それでも抱きつこうとする→シッショキレる。
なお、本人にそっちの『け』はありません。





