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エリーゼさんたちの教室


 フードをしっかり被って、ついでに気配を消す魔法も使って、こそこそ歩いていく。エリーゼさんは前と同じ教室にいるみたい。まだ授業中だろうから、隠れて行かないと、ね。


『こそこそ』

『こそこそリタちゃん』

『俺の家にもこそこそやってきていいんだよ?』

『ギルティ』

『しね』


 過激な発言はあまりよくないよ?

 少し歩いて、教室に到着。そっとのぞいてみたら、すぐにエリーゼさんを見つけることができた。フォリミアさんとミトさんも一緒だ。仲良くしてるみたいで、安心、だね。


『ちょっと誰か分からないんだけど誰かくわしく』

『ご新規さんかな?』

『エリーゼさんは灼炎の魔女ミレーユの妹さんだぞ! つまり公爵令嬢だ! でも魔道具オタクだ!』

『フォリミアさんも貴族家だぞ。無詠唱魔法の使い手だ! なおそれをリタちゃんに見せたら無詠唱とは違った何かでがっかりさせてるぞ!』

『ミトさんはリタちゃんの弟子(?)だ! シッショが拉致されるのを目撃して、死んじゃったと勘違いしちゃったぞ! なお弟子といっても本を読まされただけのかわいそうな子だ!』

『全ての説明にいらん部分がまじってないかw』


 間違ってはないから否定しないけど、ちょっと申し訳なく思ってしまう。特にミトさんとか。もうちょっとちゃんと教えてあげたほうがよかったかな?

 ここで授業が終わるのを待ってもいいけど……。学園長室に向かった師匠とも合流したいし、さっさと連れて行こう。というわけで。


「おじゃまします」


 教室の前側のドアを開いて中に入った。みんなの視線が私に突き刺さる。ちょっと、恥ずかしい。


「ど、どなたですか!?」


 そう聞いてきたのは、先生、かな? 若い女の人だ。


「ん。隠遁の魔女。エリーゼさん、フォリミアさん、ミトさんの三人に来てほしい」


 Sランクのギルドカードも出しておく。先生は怪訝そうにしていたけど、カードを見るとすぐに頭を下げてきた。しかもかなり丁寧に。


「失礼致しました、隠遁の魔女様」

「ん……。頭を下げなくてもいいよ?」

「そういうわけにはまいりません。我らにとって、魔女は至高の存在ですから。ですが、はっきりと認識できないのは……。認識阻害の魔法、でしょうか? いえ、魔道具? どちらにしてもなんて素晴らしい……。これが魔女。はるか高みの存在。皆も魔女様の姿を目に焼き付けておくように」


 こわい。


『リタちゃんがどん引きする珍しい光景』

『熱い視線がリタちゃんを襲う!』

『魔法学園だもんな。そりゃ魔女は至高の存在かw』


 気にしすぎだと思う。恥ずかしいから見ないでほしい。

 エリーゼさんたちに視線を向けると、三人とも小さく笑っていた。怒るよ?


「早くしてほしい」

「は、はい!」


 私がちょっと急かすと、すぐに三人は席を立ってくれた。慌てたようにこっちに走ってくる。それじゃあ、早くここを出よう。


「それじゃあ、連れて行くから」

「はい。煮るなり焼くなりお好きなように使ってください」

「先生!?」


『草』

『もうちょっと生徒を守ってあげてw』


 変なことはされない、という信頼だと思う。一応、ギルドカードも出してるわけだから。

 視線から逃げるように教室を出る。ちょっと一息。魔法学園は変な人が多いと思う。


「あの……」


 エリーゼさんがおずおずと声をかけてきた。


「リタさん、ですよね?」

「ん」


 フードを取ると、三人は安心したようにため息をついた。別の誰か、と思ったのかな。ちゃんと私だよ。


「ご無沙汰しております、リタさん。お元気そうで安心しました」


 そう言ってきたのはフォリミアさん。相変わらず髪型が特徴的。


「久しぶり、金髪ドリルさん」

「は?」


『ちょwww』

『いきなりそれは相手も怒ると思うんだw』

『というかドリルの概念ってそっちにあるの?』


 さあ。私は師匠から聞いて知ってるけど、この世界にあるかはよく分からない。

 首を傾げてるフォリミアさんを放置して、次にミトさん。ミトさんは私をじっと見つめてる。ちょっと嬉しそう。


「もう会えないかも、なんて思っていました……」

「ん? なんで? 森に来てくれたら会えるよ」

「そう、なんですけど……」


 んー……。ミトさんからは、もう来るつもりはなかった、のかな? 危ない場所だから仕方ないかもしれないけど、ちょっと寂しい。


「リタさん! 今日はどういう用事ですか? あとローブをじっくり見たいです!」

「エリーゼさんは変わらないね」

「え?」


『さすが魔道具オタク』

『挨拶もそこそこにリタちゃんのローブを見たがるとはw』

『なんか適当に魔道具作って渡したら満足しそうw』


 確かに。何か作ってあげようかな。手間にならない程度のものになるけど。

 それよりも、用事、だね。


「用事は、別にない。魔法学園に来たから、せっかくだし会っておこうと思っただけ」

「わあ……。嬉しいです!」

「あとは……。今から学園長室に行くから、ついてきてほしい、かな」


 そう言うと、三人は不思議そうにしていた。普通なら学園長室に行く用事なんてないから当然の反応かもしれない。

 でも。三人にはちゃんと伝えておかないといけないと思ったから。特にミトさんには。一番気にしていただろうから。


「どうして学園長室なんですか?」

「ギルドマスターの方がまだ分かるのですが……」


 ギルド。そうだ。ギルドにも顔を出しておきたい。きっと師匠も行くだろうから、一緒に、だね。

 ともかく。


「師匠が学園長室に行ってるから」

「え?」

「ん。師匠に……賢者に会いに行くよ」


 そう言っても、三人はぽかんとしたままだった。


壁|w・)こそこそ宣伝なのです。


新作、投稿しました。

『コミュ障少女と月の魔女』

10万文字ちょっとで完結予定の中編です。

こちらもよければ、是非是非。


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― 新着の感想 ―
ドリル 弟子 オタク ドリルつえなあw
>「もう会えないかも、なんて思っていました……」 >「ん? なんで? 森に来てくれたら会えるよ」 まあ、行くのは自由だよな(行けるとは言っていない あれだ、今度から師匠の師匠に来てもらえばいい よ…
こそこそ? 堂々と昭和の不良漫画みたいに フェミリア!会いたかったんだよおりゃ! と、授業中にドアを蹴破る魔女 シッショならその手の漫画も好物だったに違いない! 男の子はバトルな学園好きだからね!
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