リタのうt……チョコパフェ
んー……。じゃあ、ちいちゃんと見てる朝のアニメの歌にしよう。あれならちょっとは分かるから。
番組名は……確かこうで……。んー……。なんだかたくさん歌が出てきてる。どれか分からない。
「朱音さん。どれか分かる?」
「え? わ……。日曜の朝のアニメだね。ああ、でもそっか、あれすごく長い間やってるアニメだから、たくさんの歌があるんだよね……。今の歌?」
「そう」
それなら、とすぐに曲を出してくれる。漫画を描くだけあって詳しいみたいで、操作に迷いがなかった。さすがだと思う。
少し待つと、曲が流れ始めた。
『ついにくるぞ』
『リタちゃんの生歌が』
『とっても上手です!(素振り)』
『生きてて良かった(素振り)』
『感想が早すぎるw』
感想は求めてないから、聴かずに切ってくれてもいいよ。
そして、歌い出そうとして。
「お待たせしました!」
ドアが開いた。
「…………」
「チョコパフェです。どうぞ」
「…………」
「では失礼しましたー」
チョコパフェを置いて、店員さんは去って行った。
『うおおおい!?』
『仕方ないんだけど! 店員さん仕事しただけなんだけど!』
『生歌は……?』
そんなことよりパフェだ。マイクを置いて、一緒に持ってきてくれたスプーンを持つ。
パフェは大きなガラスのコップみたいなものに入ってる。底はクリームやケーキ生地みたいなものを切ったものが入っていて、その上にはコーンフレーク、かな? それがたっぷり。さらにその上、コップから上の部分には丸いチョコのアイスが三個。チョコケーキを四角く切ったものも三個。さらにその上にチョコソースがかかったクリームがたっぷり載せられていた。
「おー……」
『あかん、完全にお菓子モードだ』
『リタちゃんの目がすっごいきらきらしてる』
『できない……俺にはパフェを取り上げることなんて……できない……!』
スプーンでクリームをひとすくい。それを口に入れると、ほどよい冷たさを感じる甘さが口いっぱいに広がった。チョコとミルクの味が調和していて、とても美味しい。チョコアイスも冷たくて甘くて、好き。
そうしてお口の中が甘くなってきたら、コーンでお口直し、だね。ザクザクとした食感がとっても楽しい。冷たさと甘さがほどよく中和されて、よく考えられてると思う。
一番底のクリームとケーキ生地は、一番上のものよりちょっとだけ苦い、かも? 飽きないようにするための工夫かもしれない。
うん……。とっても、満足。
「んふー」
私が満足感に浸っていたら、一瞬だけ明るくなった。見ると、みんなが私を撮ってる。スマホだったり、カメラだったり……。なに?
「すみません、つい……」
「だって美味しそうに食べてるから……!」
「チョコパフェ食べたくなりました……。あとで注文しよ」
『配信で見てるだけでも食べたくなるからなあ』
『直接見てたら余計にだろうなw』
『出前でチョコパフェ頼んでみた』
うん。すごく美味しかったから、たくさん注文するべきだと思う。パフェはとてもいいもの。
師匠まで写真を撮ってるのはよく分からないけど……。まあ、今更いいかな。
「それよりも、リタちゃん! 改めて歌を……!」
「ん」
いつの間にか曲は終わってたみたい。しっかり味わっていたから、かな? でもすごく美味しかった。満足。
それじゃあ……。歌、がんばってみよう。パフェ美味しかったから。
朱音さんがまた曲を入れて、音楽が流れ始めて……。よし、いこう。
「あの……」
「失礼します、パフェお持ちしましたー」
「…………」
『草』
『お前ら注文するタイミング考えろ馬鹿!』
『それ以前にカウンターに撮りに行くとか選べただろ!』
「リタちゃんが歌うのに部屋を出るなんてとんでもない!」
『言いたいことは分かるがそれで歌が止まってるんですがそれは』
さすがに、知らない人にまで歌が聴かれるのはちょっと恥ずかしい。朱音さんも苦笑いしながら曲を止めていた。
そうして、店員が出て行ったところで、改めて曲を入れてもらう。もういいんじゃないかなと思うけど、どうしても私の歌を聴きたいらしい。
『三度目の正直』
『二度あることは三度ある』
『変なフラグを立てるなw』
あまり言葉にすると、その通りのことが起きちゃうよ?
幸い今回は邪魔されることなく、無事に歌うことができた。歌って、難しいね。音程だっけ。そういうのがちょっと大変だ。魔法とは違うから、難しいと思う。
『とてもかわいらしい声の歌でした』
『シッショがずるしたぐらいだから、正直リタちゃんは下手だと思ってました』
『とびきり上手ってわけじゃないけど、初めてのカラオケなら十分以上では?』
そうらしい。私にはよく分からないけど、でも大きな声で歌うのはちょっと楽しいかもしれない。
その後も知ってるアニメの歌とかを歌わせてもらった。それなりに楽しかった、かな?
そうして、夜の七時前。私と師匠は先に帰ることになった。
「リタちゃん、今日は来てくれてありがとう!」
「写真大事にします!」
「配信でもコスプレしてね!」
「んー……。考えておく」
コスプレは……楽しかったけど、頻繁にやるものじゃないかな、とは思う。やっぱりいつもの服の方が私は好きだし。
最後にみんなで写真を撮って、カラオケを出た。朱音さんたちはまだしばらくカラオケをしていくのだとか。打ち上げってやつかな? 楽しそう。
私は……カツカレーだ!
「師匠。師匠。早く行こう」
「はいはい……」
師匠の手を取って、真美のお家に転移した。カツカレー、早く食べたい……!
壁|w・)チョコパフェ>>>|越えられない壁|>>>カラオケ。
カラオケのご飯は謎の魅力があります……。





