忍者とか剣士とか賢者とか
どれでもいいらしいけど……。んー……。じゃあ、とりあえず、師匠の希望しているものっぽい服があるから、これでいこう。
選んだのは、アニメや漫画でよく見かける忍者の服。赤色の忍者服で、黄色いマフラーやリボンもある。ちなみに師匠はこのゲームのシリーズがすごく好きらしい。
「どう?」
さっと着替えて朱音さんたちに声をかけると、いきなり写真を撮られた。
「え、どうしようこの子、すごく好み」
「これは……いい! とてもいい!」
「銀髪忍者っこ! 最高じゃない!?」
どうしよう。なんだかすごく怖い気がする。目がやばい。ぎらぎらしてる。こわい。
その場で写真を何枚か撮られて、更衣室から出ることになった。ドアを開けて、外に出て……。
「ただいま、師匠」
「ああ、おかえり……」
師匠が私を見て固まった。何度か頷いて、なるほどとつぶやいて……。
「よし、リタ。ポーズだポーズ」
「ん……。どんなの?」
「こう、剣を構えたポーズで……」
「剣」
道具として持たされてる。背中に背負う形のもの。でもこれ、ちょっと長いせいか一人じゃ抜けない……。いいか、魔法で抜こう。するっとね。
「リタちゃんが出てきてる!」
「忍者リタちゃんだ!」
「写真いいっすか!」
「ん……。勝手にしてほしい」
気づけばいろんな人が集まってきた。みんな私の写真を撮りたいらしい。いつも以上に物好きだと思う。人数がすごく多いし。
『銀髪忍者……ええやん』
『シッショ希望のキャラやんけ!』
『やっぱり最初はシッショの希望かw』
目についたから、というのもある。忍者、かっこいいと思うから。
「うーむ……。リアリティが足りない」
「シッショさん? 何言ってるんですか?」
「誰がシッショだ。よし、リタ。これを使え」
「ん?」
師匠がアイテムボックスから取り出して、渡してきたものは……。剣。刀の形をしてるけど、多分ちょっと違うと思う。それにこれ……。本物だし。
「リアリティは大事だよな!」
「うおおおい!? バカがいるぞー! 運営さーん!」
「マジの武器を渡すやつがあるかバーカ!」
「日本の法律知ってる? 知ってるよなお前?」
なんだかとっても大騒ぎ。まあ、でも、とりあえず……。こういうポーズ、かな?
ポーズを取ったら騒いでいた人たちがみんな写真を撮り始めた。なんだろう、変な人たちだ。ケンカをしようとしてたと思ったんだけど。
その後、すぐに運営の人が駆けつけてきて、師匠は怒られた。私でも当たり前だと思う。
忍者の次は……。剣士、とか? 普段は絶対に着ないものだから、ちょっと気になる。ねっとげーむ、というものの職業の服らしい。
一応ちょっとした鎧部分はあるけど、さすがに本物の鉄とかではないみたいで、すごく軽い。着れなかったら意味がないから、こういうものなんだろうね。
私は魔法でどうとでもできるけど、日本の人はあまり鍛えていない人が多いから。
さっと着て、表に出る。師匠が真っ先に写真を撮ってきた。いつものこと。
「剣士なリタちゃん、いいですなあ」
「リタちゃん、ちょっとこう、技をですね……」
「リタちゃんなら……剣でビームを撃てそう……」
『阿呆、余計なこと言うとこの子マジでやるぞ』
『元ネタ知らない人―、リンク貼っておくぞー』
『有能』
剣と言えばアリシアさん。ちょっとだけ、憧れる。剣もいいよね。ちょっと学んでみたい、と思う程度には。
まあ……。剣を学ぶぐらいなら、魔法の研究をすると思うけど。
なんだかまだまだたくさんあるらしいから、次々いこう。人も増えてきてるけど、気にしない。
『コスプレエリアがかつてない状態になってる……』
『具体的に』
『入場規制されてる。リタちゃん目当ての人は列に入って、写真を撮ったら順番に出て行く感じ』
『なんか楽しいことになってるw』
次は……んー……。賢者? 師匠のコスプレ? 違うの? 職業の賢者……。とりあえず、着てみる。白い簡素な服に青いマント。不思議な服だね。
「ちっちゃい賢者だ!」
「かわいい!」
「へえ……。いいんじゃないかな」
そういえば、写真を撮ってる人が左から右に流れる順番みたいな感じになってるけど……。師匠は一番前で陣取ってる。いいのかな、あれ。周りがいいなら私から言うことはないけど。
「師匠。師匠」
「どうした?」
「職業の賢者って意味が分からない」
「あー……。魔法使いの、すごいやつ、みたいな……?」
「…………。なるほど」
「あ、これ分かってないな」
『でえじょうぶだ、リタちゃん。ぶっちゃけ俺らもよく分かってないから』
『いろんな魔法が使える魔法使いだよ!』
『つまり魔法使いでは?』
本当に……よく分からない。
「賢い人って自分で言っててむなしくならない?」
「…………」
『無慈悲な流れ弾が師匠を襲う!』
『シッショは他称だから! 自称じゃないから!』
師匠のことを言ったつもりはないけど……。ちょっとだけ、ごめんなさい。
師匠が、私を見てぼそりとつぶやいた。
「隠遁の魔女……」
「着替えてくる」
『おいwww』
『リタちゃんの二つ名も自称みたいなもんだしなw』
でも決めたのはミレーユさんだから私は悪くない。はず。きっと。
その後も何着かいろいろ着て……。夕方ぐらいに終わり、ということになった。
いろんな服を着てたくさん写真を撮られたけど……。結構楽しかった、かな?
壁|w・)コスプレ魔女さん。
元ネタが分かっても書かないようにお願いします……。





