お土産の判定
真美に手を振って、精霊の森に転移。一応精霊様に報告しておこうかなって。お土産も持たせたから、何か言われちゃいそう。
「いや、えー……。さすがに、それは……」
うん。やっぱりちょっと難色を示してる。当たり前かもしれない。カップ麺の入れ物とか、この世界には間違いなくないものだろうから。
『お土産はやっぱりだめっぽい?』
『本来こっちに持ってくるな、ぐらいの勢いのはずだったからなあ』
『そういえばそんな話もありましたね』
『判定ガバガバで忘れてたわw』
私もあまり気にしないようになってた。
「こ、コウタ! コウタからも何か言ってくれませんか!?」
精霊様が話を向けた先は、私の帰りを待っていたらしい師匠。師匠は私の顔を見て、アルティのちょっと不安そうな顔を見て、
「あー……。アルティ」
「は、はい!」
「食べる時は自分の部屋で、誰にも見られないようにな。ゴミはアイテムボックスに入れて、リタと会った時に回収してもらえ」
「コウタ!?」
『さすがシッショやで!』
『話が分かる!』
師匠はあっさりと許可を出してくれた。ゴミの回収ぐらいなら、定期的にしてもいいと思う。アルティはたった一人の肉親だから、それぐらいはするよ。
スランドイルとタイテーニア? あれはただのゴミだから。
「精霊様。これぐらいは別にいいんじゃないか? 赤の他人ならともかく、アルティなら信用できるよ。精霊を一人監視につけてるんだし、ついでに見てもらっておけば……」
「え」
「ん?」
「あ」
『監視?』
『なにそれ?』
アルティ、私、精霊様の反応。師匠は首を傾げて、そしてまさかと精霊様に視線を向けた。精霊様が目を泳がせてる。私にも言ってないことがあるみたい。
「精霊様?」
「いえ、あの……。違うんです。そう、リタの双子ですから、大切な存在でしょう? そんな子が他のゴミに危害を加えられたらと思うとですね……」
「んー……。そういうことにしておく」
「はい!」
うん。まあ、多分ほんとのことだろうと思うから。だからそれでいいと思う。
『ところでさらっとゴミだと言い切った件について』
『アルティちゃんの頬が引きつってますねえ』
『ほんと、アルティがいなかったらマジであの里は滅んでるんだろうな』
そんなことは……あるかもしれない。仕方ないってことで。
精霊様は小さくため息をつくと、アルティのお土産を許可してくれた。これで一安心だ。
それじゃあ、そろそろ帰ろう。
「アルティ。送るね」
「あ、うん……。あ、あの! ありがとうございました!」
アルティが頭を下げると、師匠は笑顔で、精霊様は苦笑いで手を振っていた。
エルフの里に転移。謁見の部屋のど真ん中。
「おお! アルティ様、おかえりなさいま……」
ハイエルフの一人がアルティに声をかけようとして、私を見て固まってしまった。そしてその場で静かに膝をついて頭を下げた。なにこれ。
『なんか草』
『まあ相手は守護者やし、精霊様からの脅迫の後だし……』
『つんつんしようぜ、つんつん』
それはさすがにかわいそうだと思う。
「つんつん」
「リタ? 何やってるの?」
ぷるぷる震えてるハイエルフを枝でつんつんしてるだけ。頭をつんつん。特に反応はない。
『本当にやるとは思わなかったw』
『まあ嫌いな奴らだしな!』
普通のエルフ相手にはするつもりはないけど……。ハイエルフならいいかなって。
「だって、ハイエルフ嫌いだし」
そう言ったらハイエルフがびくっと体を震わせた。ちょっと楽しい。
『リタちゃんwww』
『もうやめて! ハイエルフの胃はぼろぼろよ!』
ん……。まあ、もういいかな。あまり楽しくはないし。
「それじゃあ、アルティ。聖域に来てくれたら、また行くから」
「う、うん……。リタ。今日はありがとう。すごく楽しかった」
「ん。私も楽しかった。またね」
アルティに手を振って、その場から転移する。
そうして精霊の森に帰ってきて、あとは寝るだけ、だね。晩ご飯も食べたから。
アルティ、最初は心配だったけど、元気そうになって安心した。アルティなら、また一緒に日本に行ってもいいかも。温泉とか、だめかな? 精霊様、許してくれないかな?
あれ? でも、もしかしたらこっちにも温泉あるかも? また探してみよう。
とりあえず、今日は……。
「お夜食」
『さらっとお菓子を出すんじゃありません』
『夜のお菓子は美味しいからね、仕方ないね!』
そう、仕方ない。だから私は悪くない。
のんびりとお菓子を食べながら、視聴者さんとお話をした。
壁|w・)つんつんするのはかわいそう。(やらないとは言ってない)
アルティの精霊の森来訪編、終わりなのです。
次回からは、即売会編。





