初めてのカツカレーあるてぃばーじょん
のんびりとアニメの映画を見て、夜。ついに晩ご飯の時間になった。ちいちゃんも帰ってきて、みんなでご飯だ。ちなみにちいちゃんは、同じマンションにいる友達の家に遊びに行ってたらしい。
「あ、あの……。アルティ、です」
「中山千帆です!」
アルティとちいちゃんのやりとりはなんだかちょっと懐かしいものがあった。ちいちゃんは人見知りしないよね。最初アルティを見た時はちょっと固まっていたけど。
「ちいちゃん。ちょっと見せて」
「うん!」
せっかくだから、ちいちゃんの修行の成果を見ておこうと思う。ちいちゃんが両手を組んで意識を集中し始める。むむむ、とうなって……。んー……。ちょっとだけ、魔力が練られているような、そんな感じ。ちょっとだけ。
「どう!?」
「まだまだだね」
「そんなあ……」
こればっかりは才能の世界だ。のんびり頑張ってもらうしかない。
「あの……。リタ。何してるの?」
「ちいちゃんに魔法を教えてる」
「え……。つまり、守護者の弟子……!?」
「んー……。そうなると思う」
つきっきりで教えてあげてるわけじゃないから、私と師匠みたいな関係にはどうしてもなれないけど……。それでも、うん。ちいちゃんは弟子だ。
きっと、大人になるまでに洗浄の魔法が使えるかどうか、ぐらいだろうけど……。それでも、ちいちゃんが頑張る間は私の弟子だよ。
『そう考えるとちいちゃんのポジションってやばいな』
『現状、世界で唯一の魔女の弟子だからな』
『しかも言い伝えとかじゃなくてモノホン』
『モノホンとか久しぶりに聞いたわw』
『うるせえw』
この世界の人で魔法が使えそうな人はいないから仕方がない。私の世界よりも魔力が希薄みたいだから、みんなが魔法を使ったらすぐに枯渇すると思う。だから魔法が根付かなかったのかもしれない。
だから、私も魔法を広めるつもりはない。この世界には科学っていうすごいものが発展してるし、きっと必要ないから。
そんなことよりも。
「できたよー」
今はカレーライスだ。
『リタちゃんの目がカレーライスに釘付けになってるw』
『世界で一番美味しい料理って間違いなく言う子だからね』
『カレーより美味しい料理なんていくらでもあるのになあ』
『上コメのやつ、消されても知らないぞ……』
いや、さすがにそんなことで消したりはしないよ。納得もしないから無視するけど。
「これが……カレーライス?」
「ん。カツカレー。世界一美味しい」
いただきますをして、早速スプーンを手に取って食べる。んー……。真美のカツカレーはやっぱり絶品だ。
「わあ……。さくさくのお肉だ……。こんな料理があるんだね。それに……このスープみたいなものも、ちょっと刺激があってすごく美味しい……!」
アルティも気に入ってくれたみたい。でも。
「トンカツにカレーをかけて、ご飯と一緒に食べる。これが一番」
「えっと……。こう、かな?」
そうして、一口でぱくりと食べて。
「……っ!」
アルティの目が輝いたのが分かった。
「すごい……美味しい……なにこれ!」
「カツカレー。世界一美味しい料理」
「うん! これは世界一美味しい!」
よし。アルティにもしっかり伝わった。
『こうしてカレー信者がまた一人』
『やっぱりエルフはカレーが好きなのか?w』
『カレーはエルフ特攻の料理』
『なんだその区分』
カレーライスは美味しい。エルフじゃなくても絶対にそう言うと思う。
お代わりもして、完食。カツカレーはやっぱり美味しかった。満足だ。
「うーん。いい食べっぷり。美味しかった?」
「はい! ありがとうございます!」
「いえいえ。いっぱい食べてくれると作ったかいがあるよ」
真美も嬉しそう。やっぱり連れてきてよかった、かな?
晩ご飯の後は帰るだけ。せっかくだからと、アルティにはお土産を持って帰ってもらおう。
「リタちゃん、これとかどうかな」
「ん。美味しいやつ。いいと思う。あ、これもいいかも」
「なるほど。さすがリタちゃん、目の付け所がいいね」
「あ、あの、二人とも、なにを……?」
真美と一緒に、アルティに渡すものを選んでいるところ。カップ麺とかレトルト食品とか。疲れた時に美味しいものがあると、少しは気晴らしになるだろうから。お湯とかは魔法でどうにかなるはず。
「このお菓子もいいよね。カントリークッキー。柔らかくて美味しいよ」
「ん。美味しい。クッキーに見えるのにやわらかくて、甘くて、美味しい」
個包装がたくさん入った大袋、だね。
とりあえず……。カップ麺を五個と、レトルトのカレーとごはんも五個ずつ、あとは大袋のお菓子をいくつか。それをアルティのアイテムボックスに入れてもらった。おみやげはこれでばっちり。
「こんなにもらっちゃっていいんですか……?」
「いいのいいの。リタちゃんと違って、いつでも来れるわけじゃないんだし」
「ん。なくなったら、また分けてあげる」
「あ、ありがとう……!」
それじゃあ、お土産も持ったところで、帰ろう。
壁|w・)ちょっとずつ増えるカレー信者さん。





