女子会みたいな何か
「ただいま」
師匠の側に戻ると、師匠は私を一瞥して、何かを言おうとして、でもやめてしまった。どうしたんだろう?
「まあ……うん。あの程度ならいいだろ」
「ん?」
「こっちの話だ」
『やり過ぎかどうかかなり悩んでそう』
『あんなクソ客どもは死んだ方がいいから』
『痛みでおかしくなるかも、はちょっとぞっとしたかな』
次はもうちょっと加減した方がいいかな? 次なんてない方がいいけど。
改めて、のんびりと。椅子に座って本でも読もう。
そうして本を読んでいたら、世菜さんたちがこっちに来た。手にはビニール袋がある。もう結構いい時間になっちゃってるけど、どうしたのかな。
「あの、リタちゃん」
「ん?」
「お礼、言えなかったから……。さっきはありがとう。リタちゃんがいなかったら、危なかったと思う」
『それはそう』
『ああいうのは関わらないのが一番』
『次からはちゃんと気をつけるように!』
『お前らのそれは何目線なんだw』
でもそのコメントは正しいと思う。今回は私がいたから良かったけど、普段は守ってあげられるわけじゃないから。
そのコメントを見せてあげると、世菜さんたちは神妙な表情で頷いた。
「大丈夫。私たちも普段は無視するから」
「そうなの?」
「うん。その……。せっかくキャンプに来てくれたのに、嫌な思い出になってほしくなかったから……」
つまり私のためにやってくれていたらしい。あまり気にしなくていいのに。私も誰もいなかったら、あいつらだけ結界で囲んで音が聞こえないようにしただけだっただろうから。朝にゴミの片付けぐらいはさせたかもしれないけど。
あ、そういえば、まだあそこはゴミが散乱したままだ。朝にちゃんと片付けてもらおう。最後まで責任を持ってもらわないと、ね。
「それでだな……。これ、お礼と言っちゃなんだけど、みんなで食べようと思って持ってきたんだ」
部長さんが差し出してきた袋の中は、お菓子がいっぱい。ポテトチップスとか、棒状のクッキーにチョコをかけたお菓子とか、いっぱいだ。
「お菓子!」
『お菓子でテンションを上げる魔女』
『子供かな? 子供だったわ』
『なお実年齢』
『それに触れてはいけない』
テーブルの上を片付ける。片付けるというほど物もないけど、とりあえずお皿とかは全部アイテムボックスに入れてしまおう。
そうして空いたスペースにお菓子を並べてもらう。いっぱいだ。
「師匠! お菓子!」
「俺はいいからみんなで食べな」
「ん」
『シッショの苦笑いがお父さん特有の仕方ないなあに見える』
『さすがチッチ! 話が分かる!』
『お前らいい加減師匠さんの呼び方統一しろよ! シッショも混乱するだろ!』
みんなで好きに呼べばいいと思う。
とりあえずは袋に入ったポテトチップスから。開封して、一枚。このパリパリした食感が好き。うすしお味。ほんのりと塩辛くて美味しい。
「オレンジジュースもあるよ!」
「おー」
「ほらほら、食べよ食べよ」
使い捨てのコップにオレンジジュースをたっぷりと。お菓子もポテトチップスからチョコ菓子まで多種多様。なんだろう、すごくすごい。
ばりばり食べて。こくこく飲んで。ぽりぽり食べて。ごくごく飲んで。
「んふー」
『めっちゃ満喫してるやん』
『なんか、ちょっとした女子会って感じ』
『大人になったら控えるものばかりだなあ……』
『悲しい発言はやめるんだ』
こんなに美味しいのに、あまり食べなくなるなんてもったいない。お菓子はいっぱい食べないと。
みんなで食べながら、いろんなお話も聞いた。
三人はすぐ側にある高校でアウトドアクラブに所属していて、その活動でここに来てるみたい。何をするクラブなのかなと思ったら、とっても単純でいろんな場所でキャンプをするだけなんだとか。
『絶対あのアニメの影響で生まれた部活だろw』
『でもすごく楽しそう』
うん。すごく楽しそう。私も地球に生まれていたら、そういった部活に入っていたのかな。
「よければ学校にも来てくれよ。いろんな道具もあるからさ」
「んー……。わかった。そのうち行く」
「それ来ないやつじゃん!」
みんなで話して、笑って。とっても楽しい時間だ。
私の話もしたけど……。だいたいは配信でやっていたと思う。配信していないことの方が少ないし。していない時は、だいたい森にいる時ぐらいだと思う。
他にも魔法の話とか。やっぱりそういうのに興味があるみたい。ただ、覚えるのに年単位は確実にかかると聞いたら、やっぱり覚えようとは思わないみたいだね。
そうして、のんびりとお話をして、お菓子がなくなった頃に解散。また明日、帰る前にお話ぐらいできるかな?
それじゃあ、そろそろ……。私も寝ようかな。テント、楽しみ。
壁|w・)お菓子ぱーりぃ!





